山靴通信

2002年8月1日号(毎月1日発行)

近くにプールが出来たので行ってみた。
50mプール場では誰も泳いでいない。
監視員は退屈そうに見張り台に座っていた。
手足をぴんと伸ばして、格好よく泳いでみようとしたが、
なんだか監視員に見られているようで、うまくいかなかった。

Summer


#95 『エミリーへの手紙』

遊佐未森が、命みじかし恋せよ乙女と唄う。
そう、人生は短いか。
それでも、短いと嘆いてみても仕方がない。
人は年月とともに誰でもくたびれてくるのは、
それはそれで仕方がないこと。
そんな疲れた貴方に、元気の出る小説『エミリーへの手紙』を贈ろう。
そして、「What's new ?(ごきげんいかが)」と、
J. J.ジョンソンのトロンボーンが語りかけてくれる。
さらに嬉しいことに、T.フラナガンがポロポロンとピアノの鍵盤をたたいている。
なんだか、おいしいコーヒーが飲みたくなった。

手紙


#96 『ビール・スプリッツァー』


暑きとき冷えしビールほど恋しきものはない。
されど下戸と申す人ありて、この楽しみ知らざるを悲しむ。
さればビール・スプリッツァーなる飲み物を紹介せむ。
そはビールのソーダ水割りなる代物なり。
グラスにビールとソーダ水とを入れ、
氷を加えてのち軽く混ぜたまへ。
あら不思議、下戸の貴女も暑気払い。
さらに涼味をお望みとなら、
レモン半分を絞りたまへ。
甘口を好むなら粉砂糖をスプーン一杯。
されど、くれぐれも酒飲みは遠慮すべし。
飲めども酔わず、腹の中洪水となりし不幸。

ビール・スプリッツァー
ビール・スプリッツァー
稲保幸著『カクテル事典315種』より


#97 『小川の葦』


これは坪田譲治の童話『小川の葦』の冒頭の部分です。

明治のつい前までは、ほうぼうに、
まだてんぐやかっぱというものがおりました。
野原では、キツネの嫁入りなんかも見られました。
だからそのころは、おもしろい話がたくさんありました。

この話のあらすじはこうです。
太一は村の子供たちと、すだれにする葦で弓合戦をしていて、
おじいさんの庄屋甚七に見つかって叱られてしまいます。
皆で葦を刈りに行くことになったのですが、
途中でけんかになり、
太一ひとりで葦をさがしにゆきました。
夜になっても太一は帰らず、
村人はキツネに化かされたんだろうというので、
たいこを鳴らしてさがしたのでした。
朝になり太一は川下で、一束の葦をかたくにぎりしめて、
葦の根もとに流れついていました。
おじいさんは太一をあわれにおもい、
葦の生えたたんぼを買い取り、
葦が茂るままにしました。
しかし、山にてんぐがいなくなり、
野原にキツネが出なくなると、
太一の葦場も耕されてしまい、
太一の話をおぼえている者もいなくなってしまいました。


村人は、
「返せい、もどせい、あずき餅を三つやろう ーー」
と呼んで太一をさがしたのでした。

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また9月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

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