ツールロンド北壁
7月27日 晴れ後曇り 大森・古屋
シャモニへ移動した我々は、早速高山事務所へ足を運び、係の兄ちゃんに山のコンディションを尋ねた。「ツールロンド北壁とダンデュジェアンを登りたいが雪の状態はどうか」「ノープロブレム。グッドコンディション」こんなやりとりを、天気待ちの間に都合3回ほどしたか。いつ尋ねても答えは一緒。それしか喋れないんじゃないだろうな。シャモニの街は連日夕方から雨、針峰群も見えない。半信半疑のまま、明日は晴天との予報が出た26日、ミディへあがる。ところがショックなことに、エルブロンネルへのゴンドラが、強風のため止まっている。いきなりバレブランシュを歩いて横断する羽目に。ミディの駅からロープを結び、ミディのコルへ細い雪稜を下る。トリノ小屋まで約3時間、一度歩いてみたいと思ってはいた氷河の旅だが、アップダウンが激しく、予想外に疲れてしまった。
翌27日、朝4時に起床、食事を済ませて、明けかけた5時過ぎに行動開始。トリノ小屋からすぐにロープを結び、1時間ほどでツールロンドの基部へ。ノーマルルートを左に見送り、デブリのでた北壁の取り付きに着く。身支度をして、7時過ぎにスタート。最初の緩傾斜部分はコンテで進み、大森君のリードでシュルントを越えて、以後交互にリード。氷質は表面がシャーベット状で、少し掘るとややましな氷が出てくるといった変則的な物で、足は何度か蹴り込むとステップが出来たが、バイルのピックはあまり効かず登りにくい。全体に不安定な感じはしないが、アンカーの支点を得るにも氷の表面を削ってスクリューを使用したり、ピッケルをT字に埋めたりと手間がかかる。2時間弱で壁の中央の、岩とのミックス部分に到達、この辺りは岩に残置も散見され、またクラックが多く、支点にカム類を使えた。中間部は日が当たらず、傾斜もあるせいかルート中で最も氷質が良かった。上部は雪壁の右寄りを登り、11時前に北壁を終了、壁の上辺の雪稜を2ピッチで左へトラバースし、さらに岩場を2ピッチ進む。岩場が一カ所難しかったが、大森君の機転で投げ縄をして首尾良く突破、13時すぎ、ノーマルルートに合流した。予想以上に時間がかかってしまった。下降はノーマルルートの緩い雪稜を下り、最初のコルを左へ下って今朝のトレースに戻る。
時間がかかってしまった要因としては、我々のスピード不足に加えて、壁のコンディションが予想と違っていたことだろうか。堅雪の壁と所々の氷を想定していたが、表面の腐った氷というか、日本ではあまりお目にかからないような代物だった。ともあれ、これで今回の目的のルートを一つ登ることが出来た。先を急いだため、二人とも結構息の上がる状態だったが、大森君がロープを組んでくれたおかげで、不安なくルートを登ることが出来たことを感謝したい。 (古屋・記)
ツールロンド北壁 ルートは正面やや左のシュルントを越えて氷壁を右上、岩場を抜けて上部氷壁の右端を直上した

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