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七日目 2/2(火)
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「知ったかぶり」をした事がありますか? 程度の差こそあれ、誰でも一度はした事があると思います。 「知ったかぶった」事が偶然にも正しければ「知っていた」事になるのですが、違っていた場合はどうなるでしょう。 違っていても誰も気がつかなければ、これも「知っていた」事になりますね。 しかし、誰かが誤りに気付いてしまった時、この時が最悪です。 「適当」との評価を受けます。 「信用」も失います。 一番最悪のケースは「嘘つき」呼ばわりです。 まぁ、「知ったかぶった」内容にもよると思いますが、こと仕事が絡んだ場合には目も当てられない結果が待っていますね。 人間、知らないことは知らないと素直に言うのが一番です。
今日で書類集めは最後である。 明日は妻の実家に行き、あさってには結婚式なのである。 「いよいよ結婚するのか」との思いもあるにはあったのだが、それ以上に書類は全部集まるだろうかとの心配の方が大きかった。 私の書類で足らないのは、今日大使館で受け取る婚姻用件具備証明書だけである。 今日の12時から15時の間に受け取ればいい。 妻の書類の状況はというと、まだまだ残っている.... 今日中に集めなければいけないという事を理解しているのだろうか。 あれほど、事前に集めておけと念を押したのに。 予期しないアクシデントでもあったらどうするつもりであろうか。 これからの結婚生活に一抹の不安を覚えてしまった。 なんにせよ、今日中には集まるとの事。 小一時間ほどで、妻の書類集めが終わったので、あとは私の番である。 昼食を食べてくつろいでいると一時半である。 そろそろ行かねばならないだろう。 渋滞を考慮に入れても一時間半あれば十分なはずだ。 「じゃぁ、行くか」 「頭痛いから無理」 えっっっ!!! 一人で行けとおっしゃる? まだ昼なので、タクシーに一人で乗ること自体は大丈夫なのだが、運ちゃんが大使館を知らなかったらどうしようか。 妻の誰でも知ってるからという言葉を信用して一人で行くことにした。 ブルーバードを15分ぐらい待ったのだが全く来ない。 これ以上待っている時間も無いので、仕方なく次に来たタクシーに乗っていった。 乗る際に、妹が行き先を行ってくれた為、安心して乗る事が出来た。 はずだった。 乗った直後に、運ちゃんが「どこ?」と聞いてきたのだ。 おまえー、知ってるから動いたんだろー。 知らないなら乗せるなよー。 embassyって言っても通じないし。 どうすれば通じるんだろ? SOGOはどうだろ。 SOGOからなら歩いてもいけるし。 「Tahu SOGO?」 「.....OK」 良かった良かった。 伊達に半年も住んでないからな。 機転が利くまでにはインドネシアに馴染んでいたのだった。
安心して車に乗ること十数分。 どうも車から見える景色がおかしい。 と思っていた矢先に運ちゃんが車を止めて同業者に道を聞いている。 こいつ、知らない!!! あぁ、どうしよう。 3時までに間に合わないと明朝の電車にも乗れない。 もうチケットは買っちゃったし、次の電車だと着くのは夜でシラマン(明日出てきます)も出来なくなっちゃうし.... タクシーは走り出したのだが、「本当に知ってるの?」とは聞けなかった。 やはり運ちゃんもプライドがあるだろうし、さっき道を聞いたんだから必ず着ける筈と信じてみたのだ。 こいつに賭けてみたのだ。 内心かなりビクビクしていたのだが、私が道を知らない以上運ちゃんにお任せするしかなかったのである。 しかしながら、運ちゃんがときおり首をかしげている事と、不安そうな表情を見るにつけ、「やっぱり、、まだ道分からないんだろうな」と思わずにいられなかった。 出発してから数十分が経った頃、車が止まった。 道の向こう側には、巨大なショッピングセンターが見える。 私も何度か来たことがある所だ。 それほど土地鑑があるわけではないが、明らかに大使館とは全然違う場所だ。 はて、ここで止まったけど何かあるのか? また、道でも聞くのかな? と思うこと数秒。 運ちゃんが恐ろしいことを口にした。 「ここだ」 ? !!! 怒り なぜにこの運ちゃんは行き先を知らないのに平気で走っていたんだ?? 分からないなら分からないで、何とかしようとは思わなかったのか?? いくら私が外国人で言葉が通じないからといって、これはないだろう。 時間が迫っている。 果たしてここから大使館に3時までに着けるのだろうか。 考えていても仕方が無い。 この運ちゃんでも分かるように説明しなければならない SOGOを知らない運ちゃんでも分かるのはモナスしかないだろう。 「じゃぁ、モナス」 「.....」 おい、反応無しかよ。 あんたの国の独立公園だろ... やっぱり引っ張ってでも妻を連れてくれば良かった。 私は必死で身振り手振りで説明した。 時間内に着かないことには、これからの計画が全てパーである。 「これがタムリン通りで、ここがモナス。 それで、ここが大使館でこれがSOGO」 これを何度か繰り返すと、やっと分かってくれたようである。 何で分かってくれないんだろう。 発音か? 再び動き出した車内で、私は今まで通りドッカリと座っているわけにはいかなかった。 運ちゃんの後ろでかぶりつくようにして周りの景色、運ちゃんの動向を見ていた。 その間、「3時、3時」と連呼しながら。 都心部に近づくにつれ渋滞がひどくなってくる。 本当に間に合うのだろうか。 不安である。 いよいよモナス付近かと思った頃、なぜかバスロータリーに突入している。 ロータリー内は、これ以上バスが来たら身動きできなくなるんじゃないかと思えるほどの混雑振りであった。 その中に突っ込んでいくんだから、運ちゃんに嫌われているんじゃないかと思えるほどだ。 ロータリーを抜け出すのに10分ぐらい要し、大通りに出ると見慣れた風景が現われ安心した。 モナスの横を通り抜ける際に、「ここがモナス」と話し掛けても「Yah」の一言。 知っているのか知らないのか微妙な返答であった。 知らないのも不思議な話しだし、知っていたのなら真っ直ぐに着く筈である。 多分、本当に知らなかったのだろう。 モナスから大使館までは車でなら5分ぐらいなのだが、当然のごとく通り過ぎていく。 そこからさらに1分ほどでSOGOである。 「SOGO、SOGO」 と子供のように連呼してやっと分かってもらえたようだ。 ここに着いた時点で、2時45分。 あと15分しかない。 とりあえずは、3時までに大使館には入れそうなので安心した。 ところで、3時までに受け取って出なければいけないのだろうか。 それとも、3時までに入ればいいのだろうか。 前者の場合、受け取りに手間取れば時間切れとなってしまう。 やばい、走るしかない。 大使館まで必死で走った。 たかが3分ほどなのだが、運動不足の身では仕方が無いだろう。 無事大使館に入り、前日にもらった受取書を提出すると、あっさりと婚姻用件具備証明書が入手できた。 その後、タクシーでホテルに戻り、妻が帰ってきてから事の顛末を話したのだが、 「ふーん」 というつれない返事。 どうやら夕食のことで頭がいっぱいらしかった。 などと半年ぶりとは思えない会話をしながらホテルへ向かったのであった....
・勇気を出して聞いてみよう ・一人で乗るのは止めましょう ・地図を持ち込みましょう
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