絵画・美術工芸品・文化資料の保存修復 中塚祐松堂 

安全な修復を目指して1.  - 透過光線による観察 -

修復処置を行うためには、損傷した部分の観察や原因の究明はもちろん、処置対象と成る作品や資料の組成構造を見極め、さらに利用され、管理されていた状況を詳しく調査するなど、たくさんの情報が必要です。
ここでは、作品の現状を知る上で、比較的簡便におこなうことが出来、なお有効な調査方法をいくつか紹介します。

1.透過光線による日本画の観察

作品の裏面から光を照射すると、透け出る光の様子を観察することによって、作品の損傷状況や過去の修復跡の有無を非破壊的に知ることができる場合があります。とくに薄い絹織物や和紙に描かれた日本の伝統的な絵画には有効な診断法法で、X線を利用したように内部の情報が詳しく得られることがあります。

   
写真の作品は狩野美信の作品と伝えられるもの。透過光線による調査で、過去の修復痕が発見された。作品右上の四角い部分は、制作後に取り付けられたオリジナルとは異なった料紙。作品中央の人物の顔の前にも過去の修復痕が見られる。作品の縦方向に黒く見える線や右下の短い横線は、折れたり亀裂した部分を補強するための局所的な裏打ち補強("折れ伏せ"という)である。(小さな写真は標準光撮影による写真)

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