修復家の私考  〜 伝統・文化・芸術、そして文化財修復の世界 〜


◆六本木探訪 〜フレンチとアートと温泉と〜 

先だって、旧知の友人と今話題の六本木ヒルズを探索した。テーマはフレンチとアート。贅沢にも横暴にも、ともにムリヤリ平日に休暇を取り、昼間からワインとフランス料理を楽しみ、開館したばかりの森美術館を訪ねるという企画である。
レストランは本国フランスで屈指のシェフがプロデュースするL'ATELIER de Joel Robuchon。友人はセップ茸のソテーと平目を、私は姫鱒のカクテルに鶉をアラカルトでチョイス。南仏産の軽快なワインで頂いた。味は絶品。火の通し方も絶妙だった。あえて難をいうならギャルソンの役不足。カッコとマスクはイケてるが、接客態度が無機質!?料理もワインも説明はマニュアルの丸暗記かな?せっかくプロデューサーが日本の寿司屋をヒントに全席カウンターにしたというのに、料理同様の質の高い会話が出来ないのが残念。まあ、ここらあたりは、この味で価格をリーズナブルにするためのマジックと、オシャレなお姉様方達をターゲットにしているのかしらといったところかな。
さて森美術館。今回は"Happiness"というテーマで、洋の東西を問わず、時代を超え、ジャンルをマタにかけて芸術作品を集めた企画。集めた作品の一つ一つもさることながら、地上53、52階とは思えぬような広い空間に、所狭しとトイレの中にまで作品が置かれていたことには驚いた。中には作品に座ったり、触ったり、体感できる物もあり、この作品群の中を、長い回廊をまるで迷路のように、あるいはアミューズメントパークのように進んで行くのがなんとも楽しかった。あえて私の感覚でいうならば、まるで館全体、この企画が一つのコラージュ作品のようにみえて、外に出てみればなかなか充実した感を味わった。企画という名の芸術の再編成。それ自体をアートにするという館長の力技を見せられたようでもある。よくも悪くも、なるほどこんな企画もできるのだなあと思った。
この日は一日雨。高層からの風景も、あいにく雲の中にかくれて見えない。仕方なく、白い窓の近くでエスプレッソを啜った。時間は3時前、さてこれからどこに行こうかと相談になる。ふと友人が温泉に行こうと言い出した。このビルの下程近く。麻布十番にある、その名も知れた『麻布十番温泉』である。周りがどんどんと近代的になっている中で、今なお懐かしい雰囲気をわずかながらも残す麻布十番の商店を少し行き、しばらくすると古びたビルの3階に目指す温泉はある。のれんをくぐり、これまた懐かしい木札を差し込む下駄箱に靴を入れて上がり込む。手ぬぐいと合わせた代金はひとり1500円ほど。初老のおばちゃんが案内をしてくれる。脱衣所に入るともうひとりおばちゃんがいて、お湯の温度を調節していた。『熱いぐらいで水を止めて下さいな。熱いのにはすぐに慣れるからね。』と御説明(お説教?)を頂戴。ここのお湯はなんと地下500mから沸いている。しかも真っ黒。まるでコーヒーか煮出した番茶の様。二人いそいそと服を脱ぎ、体を洗って湯舟に足を入れる。アツイ!!皮膚を刺すような鋭い熱さである。温度を見ると47℃!二人顔を見合わせ大笑いをする。なんとかがんばって肩まで浸かるが、そう長くは入っていられない。そういえば昔、子供の頃によく入った銭湯は、湯舟が温度別に二つに別れていて、熱いお湯には禿げたオッサン達が恐い顔をして入っていたっけ、、、。
湯上がりにはせんべいとビール。ここには畳の敷かれた宴会場があって、舞台もカラオケ装置も備えてある。今日は平日だからか他に客はいない。ゆったりとした時間を過ごす。しばらくしてもなお体は暖かい。
風呂上がりにまた麻布の街を歩き、夕暮れ時になって『更科』に入って蕎麦をいただいた。蕎麦の香りを楽しみながら今度は日本酒。蕎麦屋では日本酒を必ず頼む。友人に言わせればこれが蕎麦屋での作法という。

"Lttle Happiness" この日、私達も洋の東西の文化をマタにかけ、文化の再構成を自ら体験し、コラージュをつくってみた。
しばらくぶりに、充実した楽しい休日を過ごした。ほかの人が聞いたら、きっと気絶するような悪たれや冗談をふっても、佐々木小次郎の"つばめ返し"よろしく応戦してくる友人との会話も小気味がよかった。


(2003.11.28)

●六本木ヒルズ
http://www.roppongihills.com/jp/index.html

●森美術館
"ハピネス"  アートにみる幸福への鍵 モネ、若冲、そしてジェフ・クーンズへ
会 期 : 2003年10月18日[土]→2004年1月18日[日]  会期中無休
開館時間:日・月・水・木10:00〜22:00、金・土・祝前日10:00〜24:00、火10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料 :一般1500円、学生(高校・大学生)1000円、子供(4歳以上〜中学生)500円 (予定) 
会  場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー52F、53F)東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー Tel: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
※森美術館入館者は展望台東京シティビューにも入館可能。軽い食事をとれるカフェがある。

●L'ATELIER de Joel Robuchon
ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション
TEL:03-5772-7500 
ブティックOpen :10:00〜21:00 レストランOpen :11:00〜23:00(LO 22:00)
※ブティックと呼ぶパン屋が併設している。 コースは¥12,000- リーズナブルに済ますならアラカルトで。

麻布十番商店街 ホームページ
http://www.azabujuban.or.jp/index.htm

●十番温泉 
TEL:03−3404−2610   
住所:〒106-0045 港区麻布十番 1−5−22
営業:15:00〜23:00  定休日 火曜日
 
料金: 大人1260円、子人630円。 ※6時を過ぎると大人940円、子人410円と割安。
※越の湯(1階に併設の銭湯) TEL 03−3401−8324


●永坂更科布屋太兵衛麻布総本店   
TEL:03−3585−1676
住 所:〒106-0045 港区麻布十番1-8-7
営 業: 11:00〜21:00 定休日 年中無休
※創業210年の老舗伝統の味。 日本酒を飲みながら!?

◎以上は何れも都営大江戸線の六本木駅または麻布十番駅よりアクセスが出来ます。


絵画・美術工芸品・文化資料の保存修復 中塚祐松堂

▲Home▲

▲back▲