4人を乗せて、マネージャーが小舟を漕ぎ出す。人々はお祈りするだけでなく、体を洗ったり歯をみがいたりしている。洗濯している人もいる。子供らは水遊びである。こうやって、神なるガンガーとの一体感を毎朝味わっているのだろう。ある意味では幸せな人たちだ。
岸辺には、マハラジャの宮殿やら、モスクやら、ホテルが雑然と、しかし妙な美しさで立ち並んでいる。夢中でシャッターを押し続けた(にしてはあまりいい写真はないな)。
火葬場では、赤い布にくるまれた遺体らしいのがあったり、煙が立ちのぼったりしていて、一同興奮したが、遠くなので子細は分からず。
途中で一度上陸して、コーラを飲んだほかは、2時間ほどゆっくり朝のガンガーを見物する。ガンガーの光景については、いろんな人がいろんなことを書いているが、とにかくぼくらの常識や価値観を問い直すなにかがあるようだ。また明日来よう。
舟から上がると、迷路のようなせまい路地を連れ回される。道はあらゆる角度で交差する。ドブや牛の糞に気を取られていると、方向感覚がなくなって、どっちから来たのか分からなくなる。うっかりはぐれると、一生ここから抜け出せないのではないか、くらいの迷路である。
おろおろと後を追う我々を、ガイドはしっかりシルク屋に案内するのであった。
ここまで来たらぼくもガンガーに抱かれてみたいと思う。服を脱ぎ始めたぼくを、Nくんがあきれたような顔をして見る。パンツ1つになって飛び込む。気持ちのいい水温である。岸から遠いので、とても足は届かない。しばらく舟と並んで泳ぐ。
母なるガンガーは暖かくやわらかく、異教徒にも寛大であった。
火葬場へ行ってみようということになって、下っていく。3体ほど置いてある。焼き始めたので上陸して、しばらく見物する。においもなにもない、あっけらかんとしたものだ。
舟を漕ぐ少年は16歳だという。ぼくの双眼鏡を欲しがって「いくらなら売る?日本にいればいくらでも買えるじゃないか」と言う。この先ぼくもまだ使うからダメだと言うのだが、しつこいのなんの。とうとう根負けしてOKする。
少年は自分の有り金のほかに、近くにいた顔見知りからも借金して、ぼくの言う値(350ルピー、2500円くらいか)を払った。1万円近くしたものなので、まああげたようなものだ。少年は満面笑みで握手を求め「AreYouHappy?」と言いやがった。やられたな。でもいいや。この少年なら宝物にするだろう。