宿を出るとすぐ男が近づいてきて、ハシシはいらないかとささやく。ハシシの吸いすぎか、歯が汚い。ぼくの探しているのはハシシではなくメシ屋だと言うと、安いところを知っている、付いてこいという。付いていくとニューマーケットのようだ。日曜日のせいか朝早いせいか、半分ほどしかオープンしていない。
その一角でカレーとナンを食べる。10ルピー(約70円)。チャイを飲みたいというと、別の店に連れていって飲ませてくれたのはいいが、そこは実は布地屋で、ルンギを作らないかという。いらないと断ったのだが、紅茶なら買ってもいいなどと、つい余計なことを言ってしまったのがトラブルの元。
どこからか袋に入ったのを持ってきて、250g25ドルだと言う。バカ言え。すぐ断ればよかったのに100gでいい、などと言ってしまったのは魔がさしたのか、それともすでにヤツの催眠術にはまっていたのか。必死で抵抗したが、とうとう100ルピーで買わされた。
この騒ぎで仲裁に入ってくれたのが、また怪しいヤツだった。日本語ができ、お茶を飲ませてくれたりしたのでつい気を許したら、またもルンギ屋だ。断ったらハシシはどうだ、マリワナはどうだとつきまとわれ、必死でふりはらって逃げる。
B.B.D.Bagでインドレイルパスを買い、明夜のガヤ行き寝台の予約もして、やれやれ一安心と、ふらふら歩いていると、第3の男が現れる。またしてもルンギ屋だが、こいつの場合はぼくに買わせようとせず、自分でルンギ、パジャマ、サリーなどを買ったあと、そこの主人が外貨をほしいと言ってる、いくらでもいいから売ってやってくれないかと言う。損する話でもないので20ドルを400ルピーと交換してやったが、なにがねらいだったのだろうか。妙なやつだった。