始めて電子工作をされる方のためにユニバーサル基板、自作基板の作り方を紹介しています。
最近追加した文章は斜体になっています。
2005-09-08 新規作成, 2007-09-29 更新
目次
電気関係でユニバーサル基板というとプリント基板の試作の時に使用する
初めから決められた間隔で穴が開いていて各穴に所定のランド(丸または四角の銅箔)がついたものです。
業務で設計をする場合は、試作であっても初めから正式なプリント基板を起こす場合が多くなりました。
- 正式なプリント基板を作成しても版代がそれほど高くはなくなった。
- プリント基板起こす場合でも非常に短期間で作成可能になった。 (超特急ならば2層でも1日でできる所がある)
- アナログ主体からディジタル主体の回路になったため配線の量が飛躍的に多くなった
→プリント基板の版代よりもユニバーサルを作る際の人件費が問題
- 短い期間で開発しなければならずそのため複数の人間で並列で作業しなければ
ならない場合が多い→試作であっても初めから複数枚のプリント基板が必要
趣味で電子工作をされている方はユニバーサルを使用する場合が多いと思います。
分類
- 穴のピッチによる:
- DIPと呼ばれるICパッケージが2.54mmなので2.54mmピッチが一般的です。
SMDなどを使用する場合は1.27mmピッチとか使用する場合もあります。
- 基板の材質による:
- ガラスエポキシといわれるものが一般的です。
ベークとか紙エポキシ、コンポジットなどという安価な材質もあります。
それほど大きな価格差はないので銅箔のはがれにくいガラスエポキシがいいと思います。
- 層の構造:
- 片面(半田面のみにパッドがある), 両面(半田面、部品面の両方にパッドがある), スルーホール
(半田面、部品面の両方にパッドがある、かつ半田面と部品面が電気的につながっている)
の3種類があります。 スルーホールは銅箔が剥がれにくいのですが部品の交換時にスルーホールの中に半田が残ってしまって半田吸い取り器とかないと苦労します。
私は安価な片面をよく使っています。
まず初めに使用する基板のサイズを決めなければなりません。
すでに手元に部品がある場合は実際の部品をならべて見るのがわかりやすいと思います。
まだ部品を購入していない場合は方眼紙などの上に紙に書いて行きます。
電子部品は細かいものが多いので2倍寸で書く場合が多いのですが、市販の方眼紙は1mmピッチ
ですので2.54mmピッチ(1グリッドといいます)を5mmで書くとやりやすいと思います。
要点はピン数の多い部品(LSI,IC)などを初めに置いてみてその後に抵抗やコンデンサを
できるだけ配線の短くなるような位置に置いて行きます。
アナログ回路とディジタル回路が混在している場合はできるだけ領域をアナログと
ディジタルにわけます。
全ての部品を置いてみるとどのぐらいの基板サイズが必要になるかわかると思います。
試作の場合は後から部品の追加をしたくなる場合があるので基板面積には余裕をもって
おきましょう。
市販のユニバーサル基板で丁度良いサイズがあればいいのですがなかなかぴったりしたものが
ない場合が多いと思います。
実験だけでケースに入れない場合はいいのですが、ケースに入れたい場合は基板を希望の形状に
カットする必要がでてくると思います。
切断には糸鋸や弓鋸を使用します。
また基板をケースに止めるねじ穴、ヒートシンクを基板に止めるねじ穴、2.54mmピッチに合わない
部品(コネクタとか)がある場合はその部品の穴を開けます。
特別に太いリードを持つ部品がある場合はその穴を空けなおさなければなりません。 (たとえば電源整流用のダイオードとか)
配線が終わってから穴あけをすると切りくずが発生してそれがトラブルになる場合があるので
できるだけ配線をする前に加工をすませておきます。
いよいよ部品の半田付けにはいります。
DIPのICの位置を半田面側に赤マジックで四角を記入しておくと間違えにくくなります。
ICの上に部品IDのシールを張っておくとわかりやすいです。
波形観測をする場所はあらかじめチェック端子を立てておくとオシロのプローブが挟みやすくなります。
(単に0.8mmのメッキ線を立てておくだけで良い)
詳細は半田づけの基礎を参照してください。
まず電源とグランド、大電流が流れる配線はΦ0.8ぐらいの太目の錫メッキ線で配線します。
それ以外の配線はラッピングワイヤーを使用すると便利です。
私はジュンフロンETFE電線 AWG30 0.26mmというのを使用しています。
この線は先端を半田ごてで加熱すると被覆が収縮するため被覆をむく手間が不要です。
クロックは原則としてできるだけ短くなるように工夫します。
どうしても長くなる場合は太目のビニール線、または同軸ケーブル(1.5C-2V)を使った方がいい場合も
あります。
もしくは100Ωぐらいのダンピング抵抗をいれます。
ユニバーサル基板作業手順
まずは目視(自分の目でよく見ること)を実行します。
手元を明るくすることと、ルーペを使用することが重要です。
その後、回路図を見ながらテスターで本当に接続がされているかチェックしてOKの場所には蛍光ペンなどで
色を塗ります。
この作業は面倒なのですが半田付けしたつもりでも実はつながっていなかったという所が
いくつも見つかりますので必ず実行しましょう。
電源とグランドがショートしていないかもテスターで確認しておきましょう。
一般的なワンチップマイコンを使用した回路を想定して動作確認手順を紹介します。
H8/3694F搭載マイコンボード:MB-H8A-P
電源電圧がとんでもない値になっていると全てのICを破壊してしまう場合があるので
初めはレギュレータの出力はコンデンサにのみ接続する状態にしておきます。
レギュレータの出力電圧をテスターで確認します。
OKであればレギュレータの出力をその他の回路に接続をします。
その際、電源の電流がどのぐらい流れているか見ておくと良いでしょう。
配線ミスがある場合は電流が異常に増加する場合が多いため、
その状態で電源電圧をオシロで見て規定の電圧まで来ているかリップルは多くないか
などを確認します。
レギュレータの出力電流が実際の消費電流ぎりぎりの場合は規定の電圧まであがらなかったり 不安定になったりします。
電源は3端子レギュレータを使っているだけなので動作しないはずはないという先入観を
もっていると「なんだか不安定な動きをするな〜」とさんざん悩んだあげく電源が不安定だった
(または瞬断が起っていた)という場合があります。
リセットが負論理のマイコンの場合はリセットスイッチを押した場合に'L'、 放した場合は'H'に
なるはずです。 オシロで確実にH/Lになっているか確認してください。
また立ち上がりでグリッジが出ていないことも見ておきましょう。
リセット端子がグランドとショートしているとマイコンはうんともすんともいいません。
クロックがマイコンに正常に供給されているか確認します。
水晶発振回路内蔵で外付けで水晶発振子(またはセラロック)をつけるタイプのマイコンの
場合、出力側(OSC2)で見て振幅と周波数が正常であれば結構です。
入力側端子(OSC1)の振幅は通常のディジタル信号よりも振幅は小さくなっています。
(マイコンであっても発振回路はアナログ的な動作をしています。)
入力側にオシロを接続すると発振が停止してしまう場合がありますので注意が必要です。
当然、発振が止まっている場合はマイコンはうんともすんともいいません。
マイコンによっては水晶接続端子部分に抵抗(1MΩぐらい)が必要な場合があるので注意が必要です。
外づけのコンデンサも水晶の種類によって多少トリミングが必要な場合があります。
H8やR8CマイコンなどRS-232Cでプログラムの書き込みができるマイコンが多くなっています。
よくあるトラブルとして書き込みができないとかあると思います。
マイコン回路の確認として電源・リセット・クロックがまず基本です。 それについては
大丈夫な場合、次に確認すべき項目として、
- RS-232Cの配線が正常か?
- CPUモードは正しいか? (ブートモード)
- NMI端子のあるマイコンの場合、NMIがOPENになっていないか?
- STBY端子のあるマイコンの場合は、スタンバイになっていないか?
- パソコン側の問題としてシリアルポートのポート番号が違っている、
- 他のアプリケーションが同じポート番号を使用してしまっている
とかの原因が考えられます。
真空管時代には金属のシャーシに(写真左)のようなL型ラグを沢山取り付けて空中配線で抵抗、コンデンサなどを取り付けていました。
そのころは部品のリード線が太く、がっしりしていたので空中配線でも問題がなかったのだと思います。
(写真右)は平ラグといい、トランジスタで数石、または受動部品のみの実験をする場合に便利です。 私も学生時代は平ラグで電子工作をしました。
初心者の方はどうしても部品の取り付けミスが多く、一度付けた部品を外さなければならないということがあります。
ユニバーサル基板は部品の交換時に銅箔が剥がれやすいですが、ラグ板はベークの板に金属板をかしめた構造なので壊れにくいです。
現在でも秋葉原のラジオデパートなどで入手可能なのでトランジスタの実験、半田づけの練習には最適だと思います。
現在はICを使用することが多く、リードのピッチが合わない、ICのピン数に比べて平ラグの端子数が少ないなどの理由で量産ではほとんど使いません。
2.54mmピッチの穴が開いているのはユニバーサル基板と似ていますが部品を差し込むだけで電気的な接続ができるようになっています。
半田付けが不要なメリットがありますが1つの回路を実験中に他の回路の実験をしたくなった場合に始めに作ったものを壊さなければなりません。
また高周波回路の実験や大電流が流れる回路には不向きです。
私はあまり使ったことはありませんが、秋月電商に行くと安価なものがおいてあります。
学校などで実習を行う際に半田付けから教えているとそれだけで終始してしまう傾向があります。
とはいえハードのエンジニアをめざすのであれば半田づけは重要な基本技術ですのでしっかり練習してほしいところです。
自作基板と言っているのはパターンのまだない、銅箔を張っただけのプリント基板を自分でエッチング(化学薬品で溶かす)して作る基板のことです。
感光基板と言ってフィルムまたはトレーシングペーパに原図を作成、それを露光して作る場合とプリント基板に直接、レタリングやレジストペンを使って描画するやりかたがあります。
感光基板は露光で失敗する場合が多いので私はプリント基板に直接、レタリングを貼り付けるやりかたを推奨します。
この方法は銅箔が溶けていく様子を見ながら作業することができるので失敗が少ないです。
2枚以上作りたい場合、SMDを使いたい場合は感光基板の方が有利です。
その場合は専用の露光装置の使用を推奨します。
日光や電気スタンドで露光する方法は長年の経験や勘がないとうまくいきません。
以下にパターンの密度が低い自作基板を作る場合の手順を説明します。
1.アートワーク設計
方眼紙に2倍寸でパターンを設計します。
紙は湿度によって伸縮してしまいますが密度の低い基板であれば何とかなります。
(本格的にやる場合はポリエステルフィルムを使用します)
片面基板を作る場合は半田面から見た図で作るとわかりやすいと思います。
2層にする場合は部品面から見た図で1枚の紙に部品面と半田面と両方を書き込みます。
下に2.54mmピッチの下敷きをおいてトレーシングペーパに書く方法もあります。
2.切断、研磨、洗浄、乾燥
基板が大きい場合は必要なサイズにカットします。
袋に入っていない、銅箔表面が酸化してしまっている生基板を使用する場合はレジスト貼り付け前にスチールウール、またはナイロンたわしにクレンザーをつけてよく磨きます。
最後は水で十分洗い流し、乾燥させます。
銅箔の部分に触るとそこから酸化してくるので洗浄後は触らないように注意してください。
3.穴位置の転写
アートワークを1/2に縮小コピーします。
コピー後の寸法を確認して誤差が大きければ縮小倍率を微調します。
コピーを基板に貼り付け、センターポンチで穴位置をマークします。
4.レジストの貼り付け
レジストとは銅箔を残しておきたい部分に貼り付ける、耐薬品性のレタリング、テープや塗料です。
レジストとしては市販のレタリング、テープを使用します。
ベタアースなどはセロハンテープを使用します。
意外ですがセロハンテープはなかなか良いレジストになります。
センターポンチのマーク位置を基準にしてレタリングを貼り付けます。
この際、厚みの薄いレタリングが先で厚いテープは後にします。
銅箔とレジストの間に隙間があるとそこが腐食してしまうので、最後に裏紙をあててその上からしっかりとレタリングを圧着します。
レジストペンは物にもよると思うのですが膜厚がどうしても薄くなってしまい、失敗することがあるのでお勧めしません。
5.エッチング
エッチングとは化学薬品を使用して銅箔の不要部分を溶かしてしまうことです。
エッチング液は金属を腐食しますので容器にはプラスチック、陶器などを使用します。
温度を一定にする装置があるのが理想ですがなければ湯煎を使用します。
エッチング液の温度管理が重要で必ず温度計を準備して決められた温度でエッチングをするのがポイントです。
基板をエッチング液に浸し、液をゆすりながら不要な銅箔部分が全て溶けたならば基板を取り出します。
6.研磨、洗浄、乾燥
基板を取り出したならば水でよく洗浄します。
(薬品が残っていると後で腐食してきます)
ナイロンたわしにクレンザーをつけてよく磨きます。
全ての銅箔部分に金属光沢がでるまで行います。
最後は水で十分洗い流し、ティッシュなどで水をふき取り、ドライヤーで乾燥します。
7.穴あけ
IC以外は穴位置が少しぐらいずれても平気ですが、ICの部分はずれるとICが差し込めなくなるので慎重に穴をあけます。
大型の電動ドリルですと精度良く穴あけができないのでプリント基板用の小型電動ドリルがあるとベストです。
充電式の小型ドリルがあればプリント基板専用でなくても結構です。
プリント基板の穴あけは直径が小さいので回転数を高くして穴あけをするときれいにできます。
8.検査、仕上げ
照明を明るくしてパターンが設計どうりにできているか目視検査します。
パターンの間が溶けずにショートしてしまっている場合はそこをカットします。
断線してしまった部分はラッピングワイヤーなどで接続します。
銅箔が酸化するのを防ぐために、フラックスを塗布するか、メッキをします。
自作基板の場合は錫メッキ、ニッケルメッキが一般的です。
量産の基板の場合は細い配線を保護するためと半田ボールによるショートを防ぐためにレジストを付けます。
試作の場合はそこまでしなくてもいいでしょう。
高周波の回路を組む場合はできるだけGNDの面積を広くする(ベタアース)にする必要があります。
その場合、銅箔を全面ベタアースとして使用してその上に小さい四角に切った基板を所々瞬間接着剤で取り付けそれをランドとします。
信号線の部分はその小さな四角を利用し、GNDの部分はベタアースに接続します。
穴あけはしないで銅箔の面に部品を実装します。
電源の部分は細長く切った基板を接着材で付けます。
エッチング液を使うと廃液処理とか温度調節とかいろいろ大変ですがこの手法なら少ない工数で優れた電気的特性が出せます。
似た手法として銅箔をカッターで切り込みを入れて、不要な部分を剥ぎ取る方法もあります。
(両面基板を使用し片面をベタアースにして反対面を信号用に使用する。)
ユニバーサル基板はマイコン、PLDなどの配線数が多く、ベタアースが不要な場合、
カッターでむりやり剥ぎ取る方法は高周波回路など配線数が少なく、ベタアースが必要な場合という使い分けが良いでしょう。
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