汎用ロジックICを使おう (74シリーズ)

汎用ロジックICはディジタル回路でよく使われる部分をIC(集積回路)に収めたものです。  比較的回路規模が小さく、プログラムを書き込むことなしに使用できます。  74シリーズと4000シリーズが有名です。  汎用ロジックICの利用方法の変化や新しいシリーズについて解説します。

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目次

  1. 汎用ロジックIC(標準ロジック)の機能
  2. 汎用ロジックの進化
  3. 最近の汎用ロジックの動向
    3-1 どんな所で汎用ロジックを使うか?
    3-2 パッケージ
    3-3 ワンゲートIC
    3-4 低電圧化、トレラント機能
    3-5 バスホールド回路とダンピング抵抗
  4. 代表的な汎用ロジック (具体的な部品)
    4-1 ゲート
    4-2 バッファー,トランシーバ,レベルシフタ
    4-3 フリップ・フロップ, ラッチ
    4-4 カウンタ
    4-5 シフトレジスタ
    4-6 デコーダ
    4-7 マルチプレクサ
    4-8 アナログ機能
  5. 関連資料
電子ルーレットを作ろう(パブー版)
はずかしい回路設計
⇒なぜディジタル回路か? なぜPLDか?
⇒電子部品図鑑
ANDゲートの働きをあらわす模型
ANDゲートの働きをあらわす模型
ほんとうに動作する模型です。 入力端子をA,B、出力端子をY、 電圧の'H'/'L'を高さと考えてみてください。

汎用ロジックIC(標準ロジック)の機能

内蔵している機能としては
基本的な機能
ゲート(AND,OR,NOT,XOR,NAND,NORなど)、バッファー、インバータ、 フリップフロップ、ラッチ、マルチバイブレータ、アナログ・スイッチ
少し高機能なもの
カウンタ、シフトレジスタ、デコーダ、マルチプレクサ
最近はあまり使われないもの
アキュムレータ、エンコーダ、ディスプレイ・ドライバ、 10進カウンタ
があります。 

汎用ロジックの進化

汎用ロジックの進化
*背景 黄色はトレラント機能あり

汎用ロジックICの始まりはDTLです。  DTLとはダイオードとトランジスタでできたロジックという意味です。  その後、消費電流や動作速度が改善されたTTLができました。  TTLの中でも始めのスタンダート→74LS→74ALS→74Fという風に 世代が変わるたびに少しずつ性能が改善されています。  とはいえTTLはバイポーラトランジスタで構成されているので 消費電流を削減するには限界があります。 時代が進むにしたがい回路規模が 多きくなり消費電流が膨大になってしまうのでその対策が必要とされました。  トランジスタにMOS-FETを使用することにより消費電流を削減したのが PMOS,NMOSのICでした。  さらにPMOS,NMOSのトランジスタを組み合わせることにより より動作速度を犠牲にしないできわめて低消費電流を実現したロジックICが CMOSの汎用ロジックです。 

スピードが要求される用途では74HC→74AC→74LVC→74ALVCと進化しています。  Bi-CMOSは高速で駆動能力が必要なバッファーに使われます。 

それほどスピードが要求されない用途ではは74HCから74VHC,74LVxxA(低価格)に 移行すると思われます。  これらはコスト的には74HCと同等でトレラント機能があるとか 低電圧でのAC特性が保証されているなど74HCに比べてメリットがあります。  新規設計、もしくは標準在庫は74HCを廃止して74VHC,または74LVxxA に移行すべきでしょう。 

TTLについてはオープンコレクタなどCMOSで代用できないものを除き CMOSに移行すべきです。  昔はTTLに比べてCMOSは高価でかつ静電気に弱いという欠点がありましたが これらの欠点は現在 解消されていてTTLを使い続ける理由がありません。  TTLは今後入手しずらくなることが予想されるので製造中止になる前に 早めに切り替えをしましょう。 

4000シリーズは74HCに比べて高い電圧で使用できるのでOPアンプなどの アナログ回路とディジタル回路が混在の場合に使っていました。  74HCはどちらかというとマイコン周辺回路など高速で動作する必要はあるが 電源は5V単一のシステムで使用していました。  現在はOPアンプなども3V,5Vの単電源で動作するのもが増えたので4000シリーズは あまり使いません。  4000シリーズの内良く使う機能は、 74HC4000と言う形で4000シリーズが74HCシリーズにとりこまれた形になっています。 

最近の汎用ロジックの動向

どんな所で汎用ロジックを使うか?

最近はワンチップマイコンやPLDの普及で汎用ロジックを使用する機会が少なく なってきています。  汎用ロジックなしも回路設計はできるのでしょうか?  ワンチップマイコンは大きな電流を流すことのできるIOポートの 数が限られています。  なぜならば大電流を流すことのできるトランジスタはチップ面積が大きいため 全てのIOポートの電流を大きくするとコストに影響があるからです。  実際にワンチップマイコンで設計してみると大電流IOポートの 数が足りない場合が多いです。  トランジスタで増幅をしてもいいのですがトランジスタでは部品点数が多くなります。  その場合に汎用ロジックで駆動能力を強化します。 

またマイコンから外部バスを出して周辺回路を追加したい場合、バス・バッファーが必要に なりますがそれも汎用ロジックを使用します。  最近は複数の電源電圧を使うのでバスの電圧レベルを変換するためにも標準ロジックやレベルシフタ を使用します。 

何か機能(ファンクション)をもたせる部分についてはワンチップマイコンやPLDに 移行してしまったので汎用ロジックを使いません。 

パッケージ

昔はプラスチックDIPのパッケージが普通でしたが、 現在はSSOPのパッケージが主流になってきています。  新しいシリーズはSMD(表面実装デバイス)のみでDIP品は存在しません。  74VHCなどはDIPとSOPと両方ともカタログには掲載されていますが 店頭で販売されているのはSOPのみのようです。 

ワンゲートCMOS

最近の電子製品は小型化が要求されます。  従来 ゲートなどは4個入りが標準でしたが ゲートを1個,2個しか 使用しないことも多く、4個入りを使うとICのパッケージサイズが大きくなって しまいます。  そんな場合に便利なのが1個入り、2個入りのワンゲートCMOS(L-MOS,ユニロジック)です。 

低電圧化、トレラント機能

プロセスの進化に伴い、IC内部の絶縁皮膜が薄くなり 耐圧が低くなったため 低い電源電圧で動作するLSIが多くなりました。  従来 汎用ロジックは5Vで統一されていましたが、現在は3Vとか1.8Vとかの低い電圧を 使う機会が増えています。  そして 異なった電源電圧で動作するICを接続するために電源電圧よりも高い電圧を入力に 加えても壊れないトレラント機能のあるICが便利です。 

バス・ホールド回路とダンピング抵抗

マイコンのバスにはプルアップ抵抗やダンピング抵抗がつきものでした。  これらの抵抗は数が多く、部品点数の増大やプリント基板面積の占有などの問題がありました。  ダンピング抵抗内蔵の汎用ロジックはバス・ラインにリンギングが発生するのを防ぎます。  (外付けのダンピング抵抗が不要)  バス・ホールド回路内蔵の汎用ロジックはICの入力がオープンになるのを防ぎます。  (プルアップ抵抗の代用として働く) 

代表的な汎用ロジック (具体的な部品)

74HCと74VHC(または74HCと74LVxxA)の両方のシリーズに品番が存在する品種が 将来的に安全です。  74VHC(東芝),74LVxxA(ルネサステクノロジ)シリーズにあるもののみピックアップ しました。 
先頭にはメーカ記号が入ります。 
東芝VHCシリーズには存在して、ルネサステクノロジ74LV-Aに無い場合はTDを表示しました。  ルネサステクノロジ74LV-Aには存在して、東芝VHCシリーズに無い場合はHDを表示しました。  東芝、ルネサステクノロジ両方に存在する品種の場合はメーカ記号を省略しています。  TexasInstruments製はCDをつけています。
■にはシリーズ名が入ります。 

VHC: 74VHCシリーズ
VHCT: 74VHCTシリーズ
LV: 74LVxxAシリーズ
74HCシリーズにしかない場合は■ではなくHCと記入してあります。 
※は74VHCTシリーズのあるものです。 
※なしは74VHC,74LV-Aシリーズのみ  (74VHCTはTTLレベルのICと接続する場合に必要になります。 )
最後には変更記号、パッケージ記号が入ります。 
P: DIPパッケージ
F,(FP,RP): SOPパッケージ
FT,(T): SSOPパッケージ

ゲート

74HC02
ASICのわずかな不具合を外付けのゲートでカバーできる場合があります。 それにはワンゲートICが便利です。  マイコン+汎用LSIのシステムでもそれらのつなぎとしてゲートを使用する場合があります。 

分類74シリーズ型番4000シリーズ型番 説明
インバータ 74■※04- インバータ (3段構成,6個入り)
74■U04TC4069UB インバータ (1段構成,6個入り)
74■05- オープンドレイン・インバータ (6個入り)
HD74■06- オープンドレイン・インバータ (6個入り)
74■※14(CD40106) シュミット・インバータ (6個入り)
AND 74■※08TC4081 2入力・AND (4個入り)
74■11(CD4073) 3入力・AND (3個入り)
74■21(CD4082) 4入力・AND (2個入り)
TC74■03- オープンドレイン・2入力 NAND (4個入り)
NAND 74■※00TC4011 2入力・NAND (4個入り)
74■20(CD4012) 4入力・NAND (2個入り)
74■10(CD4023) 3入力・NAND (3個入り)
74■132- 2入力・シュミット・NAND (4個入り)
OR74■※32TC4071 2入力・OR (4個入り)
NOR 74■02TC4001 2入力・NOR (4個入り)
74■27(CD4025) 3入力・NOR (3個入り)
ExOR74■※86(CD4070) 2入力・ExOR (4個入り)

●74LS07はTTLですがパラレルポート用のインターフェース(セントロ)で使用します。  なぜならば74HCではロジックの電源がOFFの状態で出力に電圧がかかると壊れます。  トレラント機能のあるICを使用したとしても耐圧が7V以上なければなりません。  さらにVOLは14mA以上なければなりません。

●74HCU04(インバータ)は増幅回路や水晶発振回路を構成する事ができます。  (Uが付くものが1段構成でアナログ的な用途に利用可能です。) 

バッファー,トランシーバ,レベルシフタ

74HC541
これらは汎用ロジックでもっとも良く利用され、かつ重要な種類です。  最近は複数の電源電圧からなるディジタル回路が使われるのでそれらの電圧レベルの変換のためレベルシフタやトレラント機能付のバッファーが使用されます。  トランジスタアレイはマイコンのIOポートやPLDの出力電流を補強するために使用されます。  3ステート・バッファーやトランシーバはマイコンの外部バスを補強するために使用されます。 

分類型番説明
バッファー HD74■07 オープンドレイン・バッファー (6回路)
74■※125 3ステート・バッファー (4回路)
74■※126 3ステート・バッファー (4回路)
74■※244 3ステート・バッファー (8回路)
TC74■※367 3ステート・バッファー (6回路)
TC74■368 3ステート・反転・バッファー (6回路)
74■※541 3ステート・バッファー (8回路)
74■※540 3ステート・反転・バッファー (8回路)
トランシーバ74■※245 3ステート・トランシーバ (8回路)
レベル・シフタ *1 HD74LVCC4245A 8bit・レベル・シフタ
HD74LVCC3245A 8bit・レベル・シフタ
トランジスタ・アレイ *1 TD62003 トランジスタ・アレイ (2.7k,シンク,7回路)
TD62004 トランジスタ・アレイ (10.5k,シンク,7回路)
TD62785 トランジスタ・アレイ (IIL=1.5mA,ソース,8回路)

*1 通常 トランジスタ・アレイ,レベル・シフタは汎用ロジックに分類しませんが よく使うICなので表に入れました。 

16ビット幅の汎用ロジックは新しいシリーズのみ対応のようです。 
16bit幅 3ステート・バッファ: "162244"(ダンピング抵抗内蔵), "16244"
16ビット幅 3ステート・トランシーバ: "16245"
16ビット幅 3ステート出力 D-FF: "16374"

今後ほしい機能

●最近はBGA, CSPなど測定器で波形観測のできないパッケージが増えており、試作基板が動作しない場合に苦労します。  JTAGに対応したデバイスで設計しておくとデバッグが容易になります。  TIなど一部のメーカではJTAGに対応した汎用ロジック(74BCT8244など)がありますが、まだあまり普及していないようです。 

●ダンピング抵抗の抵抗値なども回路設計時には決定できないことが多く、基板ができた後に試行錯誤が必要です。  JTAGから抵抗値をコントロールできると便利です。 

JTAGの対応や 出力バッファの駆動能力の切り替えについて、PLDではすでに一般的になっており、それらの機能が汎用ロジックでも実現されることが望まれます。 

フリップフロップ, ラッチ

74HC74
これらはマイコンの出力ポートの本数を拡張するのに使用します。  マイコンの外部バスでドライブ能力を補強する目的で使用する場合もあります。 

分類74シリーズ型番4000シリーズ型番 説明
フリップ・フロップ 74■※74TC4013 D-FF (プリセット、クリア付、2回路独立)
TC74■174(CD40174) D-FF (クリア付、6回路)
TC74■175- D-FF (クリア付、4回路)
74■※374- 3ステート・D-FF (8回路)
74■※574- 3ステート・D-FF (8回路)
ラッチ 74■※373- 3ステート・ラッチ (8回路)
74■※573- 3ステート・ラッチ (8回路)

カウンタ

汎用ロジック 3個以上で構成されている場合はPLDへの置き換えを検討してください。  1〜2個ですむような単純な回路の場合は汎用ロジックの方が経済的かもしれません。 
型番説明
74■161 4bit・同期式・バイナリ・カウンタ (同期プリセット,非同期クリア)
74■4040 12bit・非同期・バイナリ・カウンタ (非同期クリア)
74■393 4bit・非同期・バイナリ・カウンタ (非同期クリア,2回路)
74■163 4bit・同期式・バイナリ・カウンタ (同期プリセット,同期クリア)

シフトレジスタ

少ピンマイコンでIOポートの本数が足りない場合に便利です。  ただし、汎用ロジック 3個以上で構成されている場合はPLDへの置き換えを検討してください。  1〜2個ですむような単純な回路の場合は汎用ロジックの方が経済的かもしれません。 
型番説明
TC74■164 8bit・直列→並列・シフトレジスタ
TC74■165 8bit・並列→直列・シフトレジスタ
HD74■166 8bit・並列→直列(直列→直列)・シフトレジスタ
74■595 8bit・3ステート・シフトレジスタ/ラッチ

デコーダ

74HC138
周辺LSIのチップセレクト生成回路(アドレスデコーダ)としてよく使われます。  ただし、汎用ロジック 3個以上で構成されている場合はPLDへの置き換えを検討してください。  1〜2個ですむような単純な回路の場合は汎用ロジックの方が経済的かもしれません。 

型番説明
74■※138 3bit→8ライン・デコーダ (出力L)
74■※139 2bit→4ライン・デコーダ (出力L,2回路)
74■238 3bit→8ライン・デコーダ (出力H)

マルチプレクサ

少ピンマイコンの入力ポートの拡張用として使用可能です。 
型番説明
TC74■153 4ch・マルチプレクサ (2回路)
74■157 2ch・マルチプレクサ (4回路)
TC74■257 2ch・3ステート・マルチプレクサ (2回路)

アナログ機能

マルチバイブレータはPLDへの置き換えを推奨します。  アナログ・スイッチ、アナログ・マルチプレクサはマイコンやPLDでは実現できないので今後も使われるでしょう。 
分類型番説明
マルチバイブレータ 74■123A 単安定・マルチバイブレータ (2回路)
74■221A 単安定・マルチバイブレータ (2回路)
アナログ・スイッチ 74HC4066 アナログ・スイッチ (4回路)
アナログ・マルチプレクサ 74HC4051 8ch・アナログ・マルチプレクサ (1回路)
74HC4052 4ch・アナログ・マルチプレクサ (2回路)
74HC4053 2ch・アナログ・マルチプレクサ (3回路)

関連資料

詳細なデータシートは以下のURLでダウンロードできます。 
東芝セミコンダクター
http://www.semicon.toshiba.co.jp/index.html
ルネサステクノロジ
http://japan.renesas.com/homepage.jsp

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