房総のシカ調査会 平成17年度報告書
千葉県房総半島における
ニホンジカの保護管理に関する調査報告書14
平成18年(2006年)3月31日 発行
編集 房総のシカ調査会
発行 千葉県環境生活部自然保護課・房総のシカ調査会
生息動向
- 6地域で区画法による生息密度調査を実施した。天津地域(A2、鴨川市(旧天津小湊町))では1991〜1999年に27.1〜43.6頭/km2と高い生息密度が維持されていた。その後、2000・2001年に9.0〜13.6頭/km2と密度が低下したが、2003〜2005年は31.5〜39.4頭/km2と再び高い生息密度となった。今年皮の天津地域の生息密度は50.7頭/km2であり、これまでの県内の生息密度の中で最高値であった。
小湊地域(A1、鴨川市(旧天津小湊町))は1992年の調査では36.8頭/km2と高い生息密度であった。その後、1998年以降は15頭/km2以下の生息密度で推移していたが、昨年度は20.9頭/km2、今年度は21.1頭/km2と生息密度の増加が認められた。
房総丘陵の山間部に位置する東京大学千葉演習林内の3地域(札郷(T1)、郷台(T2)、清澄(A4))の生息密度は、ここ10数年間、おおよそ5〜20頭/km2で推移している。最近5年間の平均生息密度は、札郷地域で8.9頭/km2、郷台地域で7.4頭/km2、清澄地域で4.2頭/km2であった。
- 天津小湊町と鴨川市の4地域において、ライトセンサスにより夜間に農耕地周辺に出現するシカの頭数を調査した。当初、観察頭数の多かった神明(A2、鴨川市(旧天津小湊町))、和泉(G1、鳴川市)の2地域では観察頭数が減少傾向にあったが、この2年間は神明地域でやや増加している。
- 県実施の調査捕獲について市町単位の捕獲効率を求めた結果、この2年間は減少している市町が多かった。
糞粒法による生息数推定
- 大多喜町、勝浦市、御宿町、富津市、市原市、鋸南町の26ユニット65ラインにおいて糞粒法による調査を実施した。糞粒は、大多喜町南部から勝浦市の北部にかけての地域に多く出現した。
- 2006年3月末時点の市町別の推定生息数は、大多喜町885頭、勝浦市683頭、御宿町4頭、富津市246頭、市原市26頭、鋸南町101頭であった。
- 昨年度の結果とあわせ、2006年3月末時点における生息数を算出した。房総半島全体の総個体数は3344〜3421頭と推定された。総個体数は、この5年間ではおおよそ3000〜3500頭の範囲内で推移していると考えられた。
栄養状懸モニタリング
- 今年度の捕獲頭数は、市町等実施の有害鳥獣捕獲が982頭、県実施の調査捕獲が68頭、狩猟11頭、計1061頭であった。調査捕獲が実施された4市町(勝浦市、大多喜町、君津市、市原市)のうち、サンプル数の少ない市原市を除いた3市町について、捕獲個体の個体分析を行った。
- メス成獣の脂肪蓄積が各市町とも高かった。これはシイ・カシ類の堅果が豊作だったためと考えられた。
- 今年度の成獣メスの妊娠率は88.8%であった。1993〜2001年の成獣の平均妊娠率は86.2%であり、今年度は平年並みであった。
- これまでの結果同様、糞中窒素含有率は低密度で食物条件が良好と考えられる分布周辺(君津市、富津市、鋸南町)で高い一方、シカ分布の歴史が長く、タンパク質含有率が高くて嗜好性の高い植物種が過度の採食によって消失している中心地域(旧天津小湊町、旧鴨川市東部、勝浦市西部、大多喜町南部)で低かった。