

とある寒い日の、朝の散歩で事件は起こった。
前日まで、スキーに行っていた。
まだ子犬のコーディー君は、ペットホテルにて過ごした。
はじめての経験だったが、家に来てからの過ごした時間も
そんなに立っていなかったので、別にどうってことないようだった。
しかし、人間はそうではなかった。
本当は、前日に引き取りに行こうと、急いで帰って来たのだが、
間に合わなかった。
さびしい、夜を一晩過ごし、翌朝一番に迎えに行った。
そして、朝の散歩へと、喜んで行った。
散歩ができるようになってからは、
ほとんど自由に走らせていたものだから
その日も、離していた。
生れが同じ位のいつもの遊び相手が来た。
2日間のうっぷんを晴らすかのごとく、
二匹は、走りまわっていた。
子犬とは言え、ハウンド系の犬は早い。
目を離すとすぐに視界から消えてしまう。
手足を精一杯伸ばして走りまわる。
その手の上に、人間のかかとが偶然にも乗ってしまった。
よろけて後ろにかかとを踏み出したところに。
悲鳴は、それは聞いた事のない声だった。
いたいところを、噛みにいった。
すぐに捕まえたが、僕の左手は、
食いしばった彼の口の中で痛みに耐えていた。
左足の指の部分が、4本とも折れていた。
すぐに、入院して手術が施された。
退院してからの方が、けっこう大変だった。
左手は、動くうちにすぐにギプスがずれ、
何度も、病院に走った。
家でも、自分達で巻きなおしたりした。
1ヶ月ほどの地獄であった。
こぶは、すぐに大きくなる。
良性ではない腫瘍というものは、そういう物かも知れない。
ある日、こぶを発見した。
とはいっても、背中の一番目立つところだが。
2〜3日で一段と大きくなった。
獣医さんの話では、放っておくと1年も持たないとの事。
すぐに、手術をしてもらう。
この発見の、1ヶ月ほど前に実は奇妙なことがあった。
実は、1年前に妻が脳腫瘍で手術をした。
幸いに、手術は成功したが、少し脳の中に残った。
神経に近くて、取るには危険であった。
その、1年後の検査に先月行って来たばかりだった。
そのままの大きさか、はたまた少し大きくなっているのか
その不安は、見事に外れた。
あろうことか、見事に小さくなっていた。
その、喜びが今回の腫瘍に、
より深い悲しみをもたらした。
ペットというものは、人間の不幸を背負ってくれるのだろうか?
手術は無事に終わり、すぐに退院できた。
本当に、ありがとう。
ミレニアムというものは、やはり記念すべき物なのだろうか?
2000年は、そんなに違うのだろうか?
などなどと思いつつ、いつもの正月が来るんだろうな。
そんなことを考えていたからか、今年の正月は
病院のベッドの上で迎えることとなった。
彼ではなく、そう僕が。
何をするでもなく、でもなぜか慌しい年の暮れ。
そう事の起こりは12月29日友達の主催の忘年会への出席だった。
恒例の、行事に去年は、僕一人で出席したのだが、
今年は、家族みんなで行く事になった。
当然、コーディー君は留守番。
いつも、置いていくと、イタズラをこれ見よがしにするのだが、
今回は仕方がない。
そんなこんなで、早めに帰宅しようと帰り道での事。
駅からは、もうバスもなくて、家族はタクシー、僕は自転車。
コーディー君のことが気になって、スピードを上げた。
暗い夜道で、溝にはまって大転倒。
すぐに起き上がるが、血が噴き出してきた。
ちょっとや、そっとの血ではない。
右手で鼻を押さえつつ、その場でじっとするが、
一向に、血はとまらない。
幸運にも、対向の自転車の人が119に電話してくれ、
救急車にて病院へ。
すぐに、縫合の手術。そのまま入院となり、一人で正月を迎えた。
鼻はと言うと、実はもげていたらしい。
痛みはぜんぜんなくて(触られると痛むが)元気だが、
点滴と消毒の毎日だった。
ちょっと、変わった正月でもあった。
PS 1月の中ごろまで入院していたのでした。