大和型戦艦の艦尾空中線支柱の起倒方法についての考察

大和及び武蔵の艦尾にあるデリック上の空中線支柱は戦闘時にそのまま直立したままだと、後部主砲の射界を著しく制限してしまいます。また、捷一号作戦時にはうっすらと空中線支柱を確認できるのですが、天一号作戦時の大和にはこの空中線支柱が確認できないので、何らかの方法で起倒もしくは格納されたものと思われます。
格納もしくは起倒方法については、いろいろな説がありましたが、2004年1月におじさんのところに伺った際、非常に合理的に説明された起倒方法を教えて頂きましたので、ここで図示して紹介させて頂きます。

1.大和型の艦尾空中線支柱直立時に於ける後部主砲の射界制限 (赤い部分が射界制限を受けます)

後部主砲の空中線支柱直立による射界制限

2.大和の艦尾空中線支柱の格納方法

戦艦大和の艦尾空中線支柱の運用時の形状ですが、空中線支柱下部の構造は前側が起倒出来るよう回転するように作られており、後部が固定治具により支柱全体を固定出来るように作られていたものと考えられます。
ただし残念ながらこれを証明する資料も証言もありません。
右図は空中線支柱の起倒準備です。
1)まずはフックブロックを外し、デリックのワイヤーの張り方を変更します。
2)デリックを空中線支柱に垂直になるように起てて空中線支柱と番線などで結束します。
デリックと空中線支柱を両方とも固定したら、前に倒します。この方法を使用すれば起倒の動力もデリックそのものが使用でき、非常に合理的です。

3.大和型の艦尾空中線支柱格納時に於ける後部主砲の射界制限の解除

後部主砲の空中線支柱格納時の射界制限解除

補足:捷一号作戦の戦闘時に大和の空中線支柱が見えていた、つまり転倒収納させていなかったのは、おそらく艦隊戦ではなく対航空機戦闘であった事と、小澤艦隊や西村艦隊と艦隊間で通信する必要があった為だと思われます。しかし天一号作戦時に空中線支柱が見えなかったのは、他の艦隊と通信する必要が無いので、出航前から転倒収容していた為と推測しています。ちなみに零式3座水偵は大和艦内格納庫には入らないので、デリックを使う必要はなかったものと思われます。


【付録】戦艦武蔵の空中線支柱

遠藤昭氏の日本軍艦史稿によれば、武蔵の空中線支柱は大和と違っていたとの証言があります。一応その形状を描いてみましたが、掲載していた画自体がラフ描きしかないので寸法は適当ですのでご容赦ください。

大和の空中線支柱
武蔵の空中線支柱