世界遺産関連用語集



ここでは世界遺産の主な関連用語についてまとめてみました。当・世界遺産資料館を読んでいて分からない言葉がありましたら、こちらを見て頂ければ宜しいかと思います。なお一部、当方の他のコンテンツで言及している言葉もあります。


▼五十音順
IUCN(アイユーシーエヌ) International Union for Conservation of Nature and Natural Resources (世界自然保護連合)。学術的価値の高い自然、動植物、遺跡などの保存を促進、援助する団体。世界遺産では自然遺産の調査や評価を担当。各国から申請された物件の登録・非登録の決断は、最終的には世界遺産委員会が下すが、IUCNの現地調査や意見提出が非常に大きく影響する。
ICOMOS(イコモス) International Council of Monuments and Sites (国際記念物遺跡会議)。遺跡や建造物の保護を目的とする団体。世界遺産では文化遺産の調査や評価を担当。各国から申請された物件の登録・非登録の決断は、最終的には世界遺産委員会が下すが、ICOMOSの現地調査や意見提出が非常に大きく影響する。
裏世界遺産 当・世界遺産資料館で独自に言っている言葉(造語)。簡単に言えば、何らかの理由によって世界遺産への申請から落選してしまった遺産のこと。
→当方の「裏世界遺産とは何か」の項もご参照下さい
核心地域 コア・エリアとも。世界遺産として直接登録されるところ。
拡大登録 範囲拡大、追加登録、などとも言う。一度世界遺産登録されたものに、後年追加の登録すること。日本で拡大登録されたものは今のところ無いが、京都では東福寺や桂離宮を追加・拡大登録すべきと指摘する声も挙がっている。
→当方の「世界遺産概論」の7項もご参照下さい
環境省 環境の保全に関する行政を総合的に行なう国の機関。日本の世界遺産候補、中でも自然遺産の候補を選定する。
緩衝地帯 バッファ・ゾーンとも。核心地域の周囲に設けられ、その保護強化を目的とするところ。厳密に言うと世界遺産の登録範囲ではない。(しかし遺産によっては、緩衝地帯も含めて「登録地」と見なしているものもあり、詳しくは不明...)。世界遺産への登録申請に当たっては、文化財や自然を守るのに充分な緩衝地帯を設けるよう求められている。
完全性 インテグリティの和訳。自然遺産の評価基準であり、各種の自然現象や生態系が完全に見られる場所であるかを定める指標。
危機リスト 危機にさらされている世界遺産リストとも。世界遺産に登録されているもののうち、特に重大な危機に直面しているもののリストアップで、ここに記載されたものを特に「危機遺産」などと言う。危機リストの「危機」には、「確定された危機」と「潜在的な危機」の2種がある。前者は密猟や砂漠化など直接的な危機、後者は道路やダムの建設計画がみられる危機を示す。
→当方の「世界遺産概論」の8項もご参照下さい
顕著で普遍的な重要性 地域規模、国家規模など狭い視野ではなく、全世界的に見て重要かどうかということ。この顕著で普遍的な重要性が認められると、世界遺産になれる。世界遺産の中でも最大のキーワードである。
産業遺産 文字通り産業関係の遺産。古代の鉱山や治水事業を含むこともあるが、一般的には産業革命以後のものを指す。1990年代から産業遺産の登録が目立っており、毎年必ず何件か登録されるペースとなっている。
暫定リスト 世界遺産条約を締結している国がユネスコに提出するリストで、5〜10年以内に世界遺産へ登録申請する予定である物件の一覧表。日本の暫定リストには、1992年記載の「鎌倉の社寺ほか」「彦根城」、2001年記載の「平泉の文化遺産」「石見銀山遺跡」、2004年追加記載の「知床」の5箇所がある。ちなみに全世界では、2004年現在1100箇所以上ある。
自然遺産 優れた自然景観や、貴重な動植物の生息地など。これまで登録されたものには、絶滅の危機に瀕する動物の保護区、峡谷・滝などの景勝地、古生物の化石発掘地、貴重な地質活動の観察地などがある。世界遺産条約では主に、「生物や無生物の群である地域」「風致地域」「地質地域」の3分野に区分されている。
真正性 オーセンティシティの和訳。本物であることを意味し、世界遺産への登録に当たっては文化遺産の評価基準として重視されている。
人類の口承および無形遺産の傑作の宣言 世界的に重要で優れた無形遺産(音楽・舞踊・言語・芸能・祭礼など)をリストアップするというもの。よく「無形文化遺産」として、世界遺産の別バージョンのように言われる。今のところ2001年に登録された19件のみ。
→当方の「人類の口承および無形遺産の傑作の宣言」の項もご参照下さい
世界遺産委員会 世界遺産条約の締結国の中から選ばれた21の委員国、ならびに数十か国からのオブサーバーや専門家らによって構成される委員会。通常毎年1回開かれ、主に次の4つの役割を持つ。1、世界の優れた文化・自然を世界遺産リストに登録する。2、各国と連携して、登録後の遺産の保全状態を監視する。3、緊急の保護が必要とされる世界遺産を、危機リストに記載する。4、世界遺産条約締約国の援助を行ない、世界遺産基金の有効活用を図る。
世界遺産基金 世界遺産を保護するために設けられた基金。運営は世界遺産委員会が管理しており、遺産の保全・修復費用のほか、登録申請された物件の調査費用、登録後のモニタリング費用、さらに遺産保護の専門家育成費用などに充てられる。
世界遺産条約 1972年にユネスコで採択された条約。正式名称は「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」。各国が世界的に貴重な自国の文化遺産・自然遺産を申請し登録すること、各国の拠出による世界遺産基金を設け遺産の保護に充てることなどを規定。ユネスコは世界遺産条約の批准を全世界に呼びかけ、文化・自然の保存を強く訴えている。
世界遺産リスト 世界遺産の一覧表。世界遺産になる、ということはすなわち、世界遺産リストに記載されるということである。
WHC(ダブリュ・エッチ・シー) ユネスコ世界遺産センター(World Heritage Center)の略。
登録の条件 世界遺産への登録条件は大きく4つに分けて考えられる。第一が、世界遺産条約で定義されている文化遺産・自然遺産のいずれかであること(例えば動産や動物は登録できない)。第二が、登録基準として定められている10項目(文化遺産関連6、自然遺産関連4)のうちいずれか一つに該当して、顕著で普遍的な重要性が認められること。第三が、真正性や完全性が認められること。第四が、遺産の保護が恒久的に約束されていること(例えば、法律で文化財保護されているなど)。なおこれらの条件をクリアしても、すでに同じ地域から同類の遺産が登録されているなどして、登録できない可能性もある。
→当方の「世界遺産概論」の5・6項もご参照下さい
日本 1992年6月30日、125番目の締約国として世界遺産条約を批准。現在12件の世界遺産を持っている(文化遺産10件、自然遺産2件→当方の「世界遺産概論」の3項参照)。1993年から1999年まで世界遺産委員会の委員国を務め、1998年(第22回世界遺産委員会・京都会議)には議長国となった。
農業の遺産 農業景観は長年の人々の暮らしと知恵、文化と自然が結びついた美しい景観。すでに畑、水田、果樹園など何件かが世界遺産に登録されている。いずれも世界遺産に相応しくないような印象を受けるが、実は自然と文化の融合という世界遺産の本質を突くものである。
複合遺産 自然遺産、文化遺産の双方の登録基準を満たして登録されたもの。
負の遺産 世界遺産のカテゴリーの中に、「負の遺産」という独立した概念は無く、戦跡など人類にとってマイナスのイメージのある遺産を通称するときに使われる語。ポーランドの「アウシュヴィッツ強制収容所」(1978年登録)、日本の「広島平和記念碑(原爆ドーム)」(1996年登録)、セネガルの「ゴレ島」(1978年登録)などが当てはまる。人類にとって、警告あるいは教訓となる遺産と解釈される。
文化遺産 人類活動に関わる遺産で、分かりやすく言えば文化財。これまでに登録されたものには、数十万年前の化石人類発掘地から、古代遺跡、中世の町、田畑、近代の製鉄所や鉄道などがあり、実に多岐に及んでいる。ちなみに世界遺産条約では、文化遺産とは、「記念碑」「建築物群」「遺跡」のいずれかであると定義されている。
文化庁 文化の振興・普及や文化財の保存・活用などに関する行政を行なう機関。日本の世界遺産候補、中でも文化遺産の候補地を選定する。
文化的景観 文化遺産の一分野。自然景観の中にある文化、あるいは自然と一体化した文化のこと。よく「人と自然の共同作品」と言われる。
→当方の「文化的景観」の項もご参照下さい
唯一性 世界でほかに例の無い特徴をもっていることを指し、世界遺産登録に際しては「顕著で普遍的な重要性」と並んで重要な項目と見られる。例えば屋久島は、スギと苔が絡み合った濃密な森林、厳島神社は海と社殿と山が一つの景観を作り上げる、などという唯一性を有していると解釈できる。
UNESCO(ユネスコ) United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (国際連合教育科学文化機関)。国連憲章により1945年設立。諸国間の文化的な協力で世界平和と安全保障に寄与することが目的。日本の加盟は1951年。世界遺産条約は1972年のユネスコ総会で採択された。
ユネスコ世界遺産センター 世界遺産委員会の運営、締約国への登録準備のアドバイス、情報公開や世界遺産のデータベース化などを行なう。特に開設されているウェブ・サイトは情報量が多く、世界遺産のほとんどを知ることができる。

参考文献:コンサイス・カタカナ語辞典(三省堂)、広辞苑第五版(岩波書店)
参考サイト:World Heritage Center



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