ロペ=オカンダの生態系と残存文化的景観
Ecosystem and Relict Cultural Landscape of Lopé-Okanda


国名 ガボン
分類 複合遺産
所在地 首都リーブルビルの東南東およそ350km



審議年と結果
2004年 審議延期 ・・・書類不備のため審議見送り。
2005年 審議延期 ・・・自然遺産としては管理計画の早期作成や、ロペ国立公園内の職員配置水準の増加を求められた。文化遺産としては、オゴウェ川両岸にある一連の考古遺跡・岩石画群を含むように範囲を拡張し、推薦対象の遺跡の目録と地図を完成させ、文化遺産の維持管理方法を示したプランを作成することが望ましい。
2006年 審議延期 ・・・文化遺産としてみた場合、ICOMOSは新石器時代・鉄器時代の居住地として、C(3)(4)に該当する可能性があると評価した。自然遺産に関しては、本物件は森林とサバンナの境界の顕著な例で、氷河期以後の環境適応に関した進化過程の優れた例示をなしている。そのためIUCNは、類似物件との綿密な比較を行なわなくては結論を出せないとしながらも、N(2)に該当する可能性があると評価した。そのため世界遺産委員会でも、ほかの保護地域との完全な比較分析を行なうことなどが求められた。また考古遺跡としての重要性が証明できるのであれば、オグーウェ川流域や支流も候補地に含めることも求められた。
2007年 世界遺産登録!!


遺産略説(執筆:ごんべーさん)

  ロペ国立公園は、ガボンの中央部に位置する。 2002年8月30日、同国にあるほかの12の地域とともに、同国初の国立公園に指定された。 公園面積は4970平方キロメートル。 国立公園の東の境界線は、細いオフエ(Offoué)川。 それが、北の境界である大河オゴウェ(Ogooué)と合流して海に注ぐ。 その大部分は熱帯雨林によって占められるが、 北部には、1万5000年前の最後の氷河期に形成されたサヴァンナが残存する。
  この20年間、ロペではゴリラとチンパンジーの科学的調査が行われてきた。
2001年10月には、ミコンゴ(Mikongo)のキャンプが観光用に開放されるなど、 ゴリラ観察を観光資源の一つとするための整備が行われている。
  ロペはまた、マンドリルの大群が棲息することでも知られている。
個体数は1000を超えると見積もられ、世界一の棲息数である。 さらに鳥類の数も多い。 ガボン中で最もバードウォッチャーが集うこの公園には、 記録されているだけでも400種近くの鳥が棲息しているとされる。
  別の魅力として、自然の美しさが挙げられよう。
雨期に入る直前には、ツバキ目オクナ科の樹木Lophira alataが、いっせいに赤みを帯びた色に紅葉し、季節の移り変わりを儚く告げる。

  ロペには自然だけでなく、 数百年前に失われた文化の集落や、古代の岩絵が残り、文化遺産としても貴重である。
  ガボン政府は2002年に、 世界初の「国立公園ネットワーク」構想を発表した。
これは同国に13ある国立公園をネットワークで結び、同国に残る貴重な自然を保護し、さらに従来の基幹産業のひとつであった森林伐採に歯止めをかけ、 それにかわってエコツアーによる雇用安定をはかり、経済成長を目指す、というものだ。

  13の国立公園はそれぞれがガボンにとってたいへん貴重であると判断され、 精選されたものだ。 その総面積は29251平方キロメートル、 国土の11パーセントに相当する。 この面積比率は、国立公園を利用したエコツーリズム産業で栄えるコスタ・リカと同じ比率である。
  だがまだ自然保護に向けての課題は大きく、
このネットワーク構想が単なる机上のものに終わる可能性も存在する。 他のアフリカ諸国の範となるような運用を行い、 貴重な自然を利用しつつ守っていくことが、ガボン当局には求められている。


−各国立公園の概要−

ロペ国立公園 Lopé
 上記参照。

ワカ国立公園 Waka
 イコイ(Ikoy)地溝帯沿いに山と小渓谷があり、古代文化が花開いた。
歴史を今に伝える古い集落の跡が残る。ベゴニア(Begonia sutherlandii)など、美しい植物の宝庫でもある。

ムワニエ国立公園 Mwagné
 ガボン最大のバイ(bai、動物たちの水場があり、森林の中の見晴らしのよい開けた場所)があり、
レイヨウの仲間ボンゴ(Tragelaphus eurycerus eurycerus)、カワウソなどが生息し、ゾウもたくさんいる。

アカンダ国立公園 Akanda
 マングローブの茂る広大な湿地と干潟がある。
ガボン最大の渡り鳥の渡来地であり、IUCNもその重要性を認めた。 モンダー(Mondah)湾とコリスコ(Corisco)湾には、魚類が豊富に棲息している。

ポンガラ国立公園 Pongara
 ガボンで最も人気がある海岸リゾートで、ホテルやロッジが点在する。
湾を挟んだ対岸に、首都リーブルヴィルがあることも大きいのだろう。 コモ(Komo)入り江にはマングローヴが群生し、ガボンで最も巨大なものとなっている。 陸地では、ゾウやバッファローなどの大型哺乳類が見られる。

マユンバ国立公園 Mayumba
 数キロ続く、人手が入っていない自然のままの海岸。
世界最大のオサガメの産卵地であり、沖合にはクジラも泳ぐ。 世界遺産への推薦が計画されている。

ミンケベ国立公園 Minkébé
 アフリカ中央部で最大級の原生の自然が広がる。
インゼルベルク(Inselbergs、島状の山)と呼ばれる花崗岩の岩山がいくつもあることで有名。 詳しくはミンケベの生態系と文化的景観を。

ロアンゴ国立公園 Loango
 ゾウ、カバ、ヒョウ、ゴリラが白い砂浜を歩き回るという、ユニークな光景が見られることで知られる。
宝石海岸に面したンコミ(Nkomi)潟、ンドゴ(Ndogo)潟に挟まれており、その沖ではザトウクジラやシャチが水しぶきをあげる。 アフリカで最も美しい海岸であるといわれている。

ビルグ山国立公園 Mont Birougou
 標高975メートルのビルグ山を中心とした国立公園である。
その中腹には洞穴や滝があり、多様な植物が見られる。 特にボンゴロ(Bongolo)洞窟やモウヤナマ(Mouyanama)洞窟などが知られ、後者はプロテスタントの調査隊による調査が進められている。

イヴィンドー国立公園 Ivindo
 最近発見された、ミネラルが豊富なラングエ・バイ(the Langoue Bai)は、
ガボンで最もゾウやゴリラが集中する場所である事が明らかになった。 また、イヴィンドー川から流れ落ちるコング(Kongou)滝とミングリ(Mingouli)滝は、 アフリカ森林地帯で最も大きく、そして最も劇的な景観を呈す滝として知られている。

ムカラバ=ドゥドゥ国立公園 Moukalaba-Doudou
 ドゥドゥ山地の麓から、ニャンガ(Nyanga)川流域の沼沢地まで広がる草原地帯。
乾期には、パピルスの生える沼地に100頭を超えるゾウが集まる。 IUCNにより、危機に瀕した自然保護区であるとの認定を受けた。

バテケ高原国立公園 Bateke Plateaux
 起伏のある草原地帯。
渓流がいくつもあり、帯状に森林が続く。 母ゴリラを失った赤ん坊ゴリラを、保護して森に帰す計画が進められていることで知られる。 鳥類の多様性が非常に豊かであり、100羽を超えるコウノトリ類が翼を休めに訪れる。

クリスタル山地国立公園 Crystal Moutains
 険しい山々の上部の雲霧林には、
野生ランなど、アフリカの雨林の中でも最も多様な植物が生育している。 IUCNにより、危機に瀕していると認定された。



参考資料
『National Geographic』日本語版、2003年9月号
Lopé - Gabon National Parks(
http://gabonnationalparks.com/gnp-home/gnp-nationalparks/lope





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