文化的コーヒー景観
Cultural Coffee Landscape


国名 コロンビア
分類 文化遺産
所在地 コロンビア中西部。アンティオキア県、カルダス県、リサラルダ県、キンディオ県、カウカ川流域


審議歴
2001年 暫定リストに記載。
2003年 審議対象外 … 推薦書内容に不備があるため。


解説/文=収斂さん

宣教師がもち込んだコーヒー豆。いまや世界一の輸出大国に

  コロンビアにコーヒー豆をもち込んだのは、16世紀のイエズス会の宣教師らだった。アンデス山脈の火山性土壌と、温暖で湿潤な熱帯性の気候がコーヒーの木(coffee trees)の生育に適していたため、コロンビアにおけるコーヒーの木の栽培は、最初はプランテーションとして始まり、次第にこの国の主要産業へと成長していった。現在、コーヒー豆の生産で最大のライバル国となっているブラジルも、起源は同様である。
  今日、コロンビア国内のコーヒーの木の栽培面積は、9,000平方キロ以上もあり、しかもその耕作地のほとんどが、標高1,000〜2,000メートルの山岳高地に集中している。それはこれらの地域が、年間平均気温20℃、年間降水量2400ミリ程度で、コーヒーの木の栽培に最適な条件がそろっているからだ。これこそコロンビアのコーヒー生産地の特徴といってよい。
  また、コロンビアでは一年中コーヒーを栽培できるため、端境期(はざかいき)なく世界中に新鮮なコーヒーを輸出できる利点をもつ。この年間生産体制の確立も、コロンビアのコーヒー生産の特徴だ。ただし収穫の最盛期は10月から12月で、第二収穫期は4月から5月である。現在、コロンビアは世界一のコーヒー豆輸出国であり、世界のアラビカ種のコーヒー豆(正しくは洗浄済みのアラビカ・グリーン・コーヒー豆)の28%を生産している。また、ロースト済みのコーヒー豆やスプレー加工したもの、フリーズ・ドライ加工したもの、液体抽出したものなど、さまざまなコーヒーも輸出している。


「コロンビア経済を支えた伝統的農業景観」との評価も

  コーヒー豆の栽培は、そのほとんどが、いまでも零細で家族的な個人農家によって行われている。コーヒー農家人口は50万人以上といわれ、彼らはカフェテロス(Cafeteros)という名で呼ばれている。コーヒー農家の栽培方法は、プランテーション時代の昔とあまり変わっておらず、ほとんどすべてが手作業。収穫期は、同じコーヒーの木でも枝によって豆が熟す時期が若干異なる。そのため、コーヒー豆が深紅に色づき始めたら、時期をずらしながらくり返し収穫作業を行わなくてはいけない。その回数は、一つの木だけで平均8回にのぼる。こうして収穫されたコーヒー豆は、まず殻をとって洗浄し、それから乾燥させる。カフェテロスらの仕事で機械化されたのは、この乾燥工程くらいだけだが、田舎では、まだ天日干しが主流である。乾燥させるとコーヒーの風味が変化するので、最近では、洗浄工程が終わったらすぐ出荷されることが多い。
  コロンビアのコーヒー協会は今後もこういった手作業による生産方法を続ける方針である。そのため、この産業形態はあまり顧みられることはなかった。しかし近年、山岳地域で見られるような昔ながらのコーヒー栽培こそ、コロンビア経済を支えてきたすばらしい伝統的農業景観であると評価されつつあり、世界遺産運動も起こっている。推薦運動地域の詳細は不明だが、おそらく山岳地域の優れたコーヒー豆を生産する農場が、
いくつか選定されるのだろう。



参考サイト
http://www.zonalatina.com/Zldata92.htm
http://www.colombiacoffee.com/
http://www.colombiacoffee.com/menu/advertising/more_quality.html#CULTIVATING






ラテンアメリカ・カリブ海地域の裏世界遺産目次へ

裏世界遺産の館目次へ