世界遺産考

[A氏の講義について]


 以前学校で、 国内の某有名動物園の元園長A氏の講義を聞く機会があったので、 その話を。 (極めて個人的なことですが、 世界遺産の捉え方が見えてくると思いましたので、 あえて執筆しました。)

 A氏は世界中を飛びまわっていろいろと活動していたそうで、 動物園のあり方や自然保護について、 豊富な知識に基いた講義をしていました。 その中で世界遺産の話が出てきたんです。 そこで彼は、 原爆ドームが登録されていることに大変な抵抗を感じる、 と言いました。 ああ、日本の戦争責任のことを感じているのかな、 と私は思ったのですが、 皆さん、聞いて驚くなかれ。 彼が何と言い放ったのか。 彼は「原爆ドームは世界的に有名ではない。 世界遺産に登録されているのは、 万里の長城、清朝の遺跡、ボロブドゥール寺院、 ピサの斜塔など世界に名だたる文化ばかり。 そんな中に原爆ドームは相応しくない」と発言したのです。 何と言うことでしょう。 これには2つの点から大いなる異議を唱えずにはいられません。

 まず原爆ドームが世界的に有名ではない、という事です。 A氏が羅列した4つの遺産と比べれば、 知名度は低いかもしれません。 しかし世界で唯一の被爆国の遺産と言うことで、 それなりに知られているでしょう。 また海外からの来訪者も、 毎年7万人もいるというし、 決してマイナーではないと思います。

 2つ目は、世界遺産=有名所、という考え方です。 これはいけません。 なぜなら世界遺産のほとんどは知名度の低いものだからです。 まあ何を持ってメジャーかマイナーかを見極めるのかというのは、 人によって違うでしょうし、 日本とアメリカ合衆国とでも違ってくると思いますが。 歴史で勉強する所とか、 日本人観光客が多く訪れる場所とかは、 「有名」と言えると思います。 そう考えると、 世界遺産の大多数は「マイナーで地味」ということになります。 A氏が羅列したのはいずれも「有名でキラびやかな」遺産と言えるでしょうが、 世界遺産の中でこのように世界的に名を知られているものはあまりありません。 このことをA氏は全然考えていない。 もう、話を聞いてて閉口しましたね。 あきれました。 Aさん、世界遺産は有名所の写真集ではないのですよ! 知名度が低くても、 世界の文化や自然を示す優れた例なのです。 このことを深く理解していただきたいと思います。


追記:A氏は水鳥と湿地を保護するラムサール条約にも言及し、 そこで「ラムサールとはイスラエルにある地名ですが・・・」 というオオボラを吹いていらした(怒)。 ラムサールはイランですよ。 氏は本当に日本動物園界の重鎮なんでしょーかねぇ。


作成:2000.2.16
改訂:2001.4.01





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