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Saint Etienne

 初めて聴くはずの曲なのに、どこかで耳にしたような気がする。ちょっとノスタルジックで、それでいてクール。Saint Etienneはそんなバンド。

Fox Base Alpha Bob Stanley、Pete Wiggs、Sarah Cracknellの3人組のこのバンド、実はバンドといっても3ピースのロック・バンドではなくって、シーケンサーやシンセ、リズムボックスを多用する、所謂「打ち込み系」のユニット。実際、Sarah Cracknellのヴォ−カル以外、生楽器が何も入っていない曲もたくさんある。まあ、Rock & Pops系のアーティストのほとんどがなんらかの形でMacを使っている今となっては、打ち込み自体はとりたてて珍しいことではない。でも、不思議なことに、彼等の創り出す楽曲はとても生っぽい。アルバム "Fox Base Alpha" でデビューした91年当時は「ネオ・アコとクラブ・サウンドの融合」なんて評されたりもした。小山田 "コーネリ" 圭吾氏も絶賛していた覚えがある。

 この、打ち込みなのにアコースティックな雰囲気は、BobとPeteによって生み出される「音」それ自体はもちろんのこと、彼等の美学に拠るところが大きいかもしれない。アナログ・シンセに対するこだわり、60〜70年代音楽への傾倒(そのカバーは絶品)、少女や猫を多用したジャケットのPOPなアート・ワーク(シングル "I was born on Christmas day" のレーベル面は必見)、独自のレーベルHeavenlyの運営(Espirituも所属してました)、そして、Sarah Cracknellの声。

 大きすぎもせず、小さすぎもせず、声を張り上げるでもなく、かといってウィスパー・ボイスでもなく、艶すぎもせず、質素にすぎるわけでもない。彼女のようなヴォ−カルを、僕は他に知らない。彼女の声のオリジナリティーは唯一無二だし、だからこそ、Sarah Cracknellの存在はSaint Etienneにおける最高の美学だとさえ思う。その美しさは、ピチカートの小西康晴氏に、野宮真貴さんに向かって「Sarahのように歌って」と言わしめた程。まあ、小西さんじゃなくたって、僕だってSarah Cracknellのことが大好きだし、だからカジヒデキ氏がSarahにキスされたと得意げに自慢していた時は、(それがホッペであったとしても)本気で嫉妬したし、腹が立った。ヤツの(と、語気が荒くなる)CDを買い占めて、海へ放り込もうかと思った。そんなことしても彼が儲かるだけなのでヤメましたが。

The Misadventures Of ~ そのSarah Cracknellがソロ活動をしたり、HeavenlyがBMG / Deconstruction傘下に入ったりで存続危機説が噂されたりもした彼等ですが、昨年ようやく4枚目のオリジナル・アルバム "Good Humor" をリリース。で、さらに、ほんの1週間程前、L'APPAREIL-PHOTOより日本限定で "The Misadventures Of Saint Etienne" が発売になったばかり。このアルバムは、映画 "The Misadventures Of Margaret" のサウンド・トラックとして作られたもの。この映画、観たことないのだけど、それでも音だけで十分満足できるし、この作品がオリジナル・アルバムでないとはいえ、2年続けて彼等の新譜を聴くことができなんてホントに幸せ。

 来年春にはニュー・アルバムのリリースも控えているみたいで、今から楽しみ。それまでみんなで "The Misadventures Of Saint Etienne" を聴き尽くそう ! そして新譜をリリースしたら、また日本に来て ! エチエンヌ !

 Saint Etienne Heaven!
 L'APPAREIL-PHOTO

 

 

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