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どうもこういうweb siteを開いていると趣味がヨーロッパの方に偏っていると思われがちなのですが、実はアメリカもののロックやポップスもかなり好きだったりする。で、僕が今1番大切に思っているアメリカのソング・ライターの1人が彼女、Natalie Merchant。この春の初来日公演は最高に素晴らしいステージだったようです。僕は残念ながら行けなかったのだけど。あまりに気が早くて笑われそうですが、次の来日公演は絶対に行くんだと心に決めています。
今ではFMラジオでもヘヴィー・ローテーションになったりする彼女だが、ソロになる前、10,000Maniacsのヴォーカル時代はずいぶん冷たい扱いを受けていた。いや、マトモに扱われてすらいなかった。同じCMJシーンから登場したREMが日本でもヒットを飛ばし音楽誌のグラビアを飾ったりする傍らで、そのREMのマイケル・スタイプと比較されながらいつもひっそりと花を咲かせていたナタリー。でもこれはあくまでも日本でのManiacsの(そしてナタリーの)イメージで、ナタリーの詩的なソングライティングはREMに拮抗するどころか、マイケル・スタイプがManiacsのレコーディングに参加したり、ManiacsがREMのツアーに同行したりと、実際には深い親交があったのだが。
その10,000Maniacsのツアーなのだけど、ナタリー在籍時には結局来日は果たせなかった。彼等のライヴを日本で耳にすることができたのは93年にリリースされた "MTV Unplugged" が初。今のところManiacs唯一のライヴ盤/ライヴ・ビデオとなっているこのアルバム、タイトルからも分かるようにMTVでのアンプラグド(=アコースティック)ライヴを収録したもの。ストリングスやホーン・セクションを加えたそのメロディーはいつにもまして暖かく躍動感に溢れていて、そして少し物悲しい。この物悲しさ、もちろん、ナタリーの紡ぎ出した文学的な曲の数々が生楽器の音色でその文学性を増長させたのは言うまでもない。しかし、このライヴを最後にナタリーがManiacsを脱退することは以前から決定しており、これを期にした解散を誰もが(ともすればメンバーさえもが)疑わなかった当時、長かった髪を短く切ってステージに現われたナタリーの凛とした姿勢と、彼女のピアノの弾き語りを鎮痛とも言える表情で見つめるメンバーの視線に、思わず涙したのは僕だけではないはず。このステージにかける彼等の一途な思いが痛い程伝わってくる。絶対的な自信をもってお薦めできる良盤。ぜひぜひビデオも観てほしい。
95年には待望の1stソロアルバム "Tigerlily" を、そして昨年には2ndアルバム "Ophelia" をリリースしたナタリー。ソロになったので当然と言えば当然なのだが、どちらのアルバムにも彼女のエッセンスがギュッと濃縮されている。彼女の魅力は前述した通りその文学的な詞と曲にあると思う。でも、決して文学的なだけではない。静で落ち着いた曲の内には肉体的で生命力に溢れた力が隠されている。時にシニカルで時にネガティブな詞の行間に希望や可能性を読み取ることができる。そしてそれらはあからさまでないからこそ、聴く者の心を捕らえて放さない。
次のアルバム、そして来日公演も然ることながら、さらにその次も、そしてその次も……と、これからもずっと聴き続けていきたい、彼女はそんなふうに思わせる数少ないアーティストの1人です。
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