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Isabelle Adjaniといえばフランスのスーパー・スター、押しもおされぬ大女優だが、今回取り上げるのは『歌手アジャーニ』のアルバム『雨上がりの恋人』(原題 "Pull Marine")。
彼女が唯一発表したレコードとして貴重な作品だが、ゲンズブールの作品としても重要な1枚。ゲンズブールは自らの作品よりも女性に歌わせたものの方が出来がいいというのは周知の事実だが、フランス・ギャルからバーキンまで全てのアイドル・女優モノの中でも、このアルバムが最高傑作だと思う。1983年に発表されたこのアルバムは、ACCディスク大賞を受賞したバーキンの "Baby Alone in Babylone" と同時期、ゲンズブール晩年の円熟期(といってもまだ55才)に作成された。全11曲中6曲でアジャーニも作詞に参加している。この時彼女は28才、若いっ !
オープニングの "Ohio" は明るいメロディーのアップテンポのポップス。イントロのホーン+ストリングス(この組み合わせは躍動感を表現する定石)からして「明るい」のだが、アジャーニもそれ以上に元気いっぱい。この1曲目の他にもノリのいい曲が多く、シュールな役どころの『女優アジャーニ』を見慣れている人には以外かもしれない。もちろん、マイナーコードの曲やスローバラード、80'sディスコ風など、聴き所は多い。B面1曲目(CDだとM7)の『ボウイのように(Beau oui comme Bowie)』はタイトル通りもろデヴィッド・ボウイ調。B4(M10)の "Et moi chouchou"(ゴメン、邦題忘れた)は歌詞の "moi" のところがすごくカワイくて、それだけで心をくすぐられる。
ラストはタイトル・ナンバー『マリン・ブルーの瞳(Pull Marine)』。この曲、バーキンがどうしても歌いたかったのだが獲得できなかった。それほど美しく、また、完成度の高いこのアルバムの中でも最高の曲。と同時に、歌唱難度も高い。ゲンズブールが手掛けたこの他の『アイドル・女優盤』同様、 アジャーニも決して歌が上手くはない。しかし、この曲を歌い上げ、自らも「セルジュはいかにもな女性歌手や声量のある人が嫌いで、私にもそう説得した」とコメントしているアジャーニ、実はかなり歌えるんじゃないかと思ってしまう。
いずれにせよ、リリースされているレコードはこの1枚だけなので確かめる術は他にないのだが、もう1度彼女の歌を聴きたいと願っているのは僕だけではないはず。すでにゲンズブールがいないのが何より寂しいが、Etienne Dahoあたりのプロデュースでいかがですか、アジャーニさん ?
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