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実はこの『パリでかくれんぼ』、何の予備知識もないまま観ました。初見はビデオだったのですが、当時ジャック・リヴェットの作品はまだ『美しき諍い女』くらいしか観たこともなく、この映画もリヴェットの作品ということより「なんだか可愛いタイトルだな」という軽い気持ちで、パッケージの解説もろくに読まずに借りてきた。
結果から言ってしまえば、2時間40分という少し長めの上映時間も全く気にならないとても素敵な映画で、あっという間に大好きになってしまった。僕はそんなにたくさんの映画を観るタイプではないのだが、そのかわり気に入った作品は何度も繰り替えし観てしまう。この『パリでかくれんぼ』もそんな作品。
バカンスで人の少なくなった夏のパリが舞台。荒んだ生活から足を洗おうとバイク便のライダーになったニノン(Nathalie Richard)、5年の昏睡から目覚めたばかりのルイーズ(Marianne Denicourt)、本当の母親を探し続ける装飾美術館司書のイダ(Laurence Cote)。三者三様の女のコたちの日常を綴った物語。彼女達はみんな、わりと一生懸命生きているのだけれど、そのがんばりを全く感じさせないで肩の力を抜いて生活している。そのリラックスかげんがとてもイイカンジ。ふだんの生活をこんな風に過ごせたら気持ちがいいんだろうなと感じさせる。これはぜひ見習いたい。
そして、もうひとつこの映画を特徴付けているのが、ところどころにちりばめられたリヴェット流ミュージカルのフレーバ。この映画のメインはあくまでそのドラマだし、実際主人公の女のコ達が歌って踊るシーンはわずかなのだけれど、そのわずかなシーン抜きにこの映画は語れない。特にルイーズと彼女に惚れるリュシアンが公園で踊る場面 ! 赤いワンピースを着たマリアンヌ・ドニクールは最高にキレイ。木漏れ日を受けながらワンピースの裾が柔らかく揺れる様には誰もがきっとハッとさせられるはず。しかし、このマリアンヌ・ドニクールを初め登場人物の歌や踊りはあまり上手くはない(ENZO ENZOのシャンソンは別)。それでもこれらミュージカルのシーンに惹かれるのは、フレンチ・アイドルは歌が下手という伝統(?)も然ることながら、登場人物の感情やその瑞々しさがよく表れているからだと思う。こんなに素晴らしい音楽映画なのに、サウンドトラックが出ていないのは、なぜ ?
それにしても、マリアンヌ・ドニクールはワンピースが似合いますね。別のシーンではオレンジピンクっぽい柔らかい素材のワンピースを着ていますが、これもなかなか。彼女の背の高さとスラッとした手足がなせるわざかもしれないけど、彼女の身のこなしや着こなしには思わず目を奪われる。ここからファッション・センスを盗むのもアリかもしれない。
アンナ・カリーナが歌手サラ役で出演しているのも見逃せない。リバイバル・ヒットしている "ANNA" で彼女のファンになった人はぜひチェック !
P.S. 『パリでかくれんぼ』のパンフレットがどこかにあったはずなのだけど……。見付かったら写真をアップします。しばらくお待ちを。
(見付かったので載せました。31.3.1999)
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