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Autour De Lucie

 所謂フレンチ・ポップも大好きだし、ネオアコやらギターポップも大好きなのだけれど、この2つの魅力を兼ね備えたアーティストとなるとなかなか存在しない。そんな中で貴重な存在なのが、このAutour De Lucie。

L'echappee belle 「フランス音楽は死んだ」と言われて久しいが、そんな危機的な現代フランス音楽事情の中で、Autour De Lucieはよくがんばってると思う。94年、アルバム "L'echappee belle" でLe Village Vertからデビュー。軽やかなギターサウンドをベースにした楽曲は、英米のRock & Popsの枠組みで捕らえればさして珍しいものではなかったかもしれないけれど、その音の上で紡がれるValerieのフランス語の歌とのマッチングは絶妙。この紅一点のValerie曰く「自分の中のフレンチの文化とアングロサクソンの融合を図りたかった」とのことだけど、これはそれほど簡単なことではなかった気がする。フランス独自の西欧ラテン文化とイギリスのアングロサクソン文化、さらに言えばシャンソン/ミュゼット文化とロック文化は全くの別物。もちろん、Autour De LucieもGainsbourgやPolnareff、Etienne Dahoといったフレンチ「ロック」の布石の上に登場してきたバンドではあるのだが、それにしてもここまでパーフェクトなフレンチとアングロサクソンの融合はかなりの努力を要したはず。

immobile 97年発表の2nd "Immobile" ではそれまで以上にギターを前面に押し出したロック色の強い展開。と同時に、多少実験的な雰囲気を漂わせた曲作りをも行っている。事実、シングルカットされた "Chansons Sans Issue" の12インチでは、DJ CAMやSNOOZEらにそのリミックスを依頼。クラヴミュージックへの積極的な歩み寄りも伺わせている。そして、Lilith Fairへの出演を含む全米ツアーを行ったりと、精力的に活動。

faux mouvement そしてこの春、3年ぶりに待望のニューアルバムが到着。それがこの "Faux Mouvement"。虚ろで少しばかりけだるい楽曲の数々は、けっしてオシャレなだけじゃない、現実のパリの日常を思い起こさせる。ゴミだらけのメトロのホーム、所かまわず猛スピードで走るタクシー、無愛想なカフェの店員、街の喧噪、人込み……。

 こんなことを感じることができるのも、きっと彼等が等身大であり続けようとする姿勢のおかげなのだろう。今や世界共通言語となったPOPSという言葉をそのまま語るのではなく、彼等自信で咀嚼して、そこから新しいものを紡ぎ出す。それ故の等身大。決してリスナーから遠く離れることなく、ほんの2、3歩前にいるような感覚。手を延ばせば届きそうな気がするのに、だけど、常に皆より先んじている。そんな不思議な感じ。

 ここで拙い言葉をうだうだ並べるより、実際にCDを手に取って、耳にして頂くのが1番なのは言うまでもないのだけれど、ここ何年かの、「カワイイ」とか「オシャレ」とかいった範疇で括られてしまうフレンチポップやギターポップに飽き飽きしている方には、このAutour De Lucieをぜひ聴いてもらいたい。フレンチポップやギターポップの新たな音が、きっと見えてくると思う。

 Autour De Lucieのofficial site

 

 

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