もうそろそろゴールデンウィークですね。
ゴールデンウィークといえば、だいたいどのコンビニ各社もいろいろなキャンペーンをやっています。
たしか、2年ほど前のゴールデンウィークの事だったでしょうか。
本部からのキャンペーンのお知らせを見ていると、
「ゴールデンウィーク特別企画、フランクフルト50円引き」というのがありました。
普段は150円のフランクフルトを、期間限定で100円にしますよという案内。
こういうキャンペーンは、頑張って売っておかないと、いつも、キャンペーン期間が終わった頃に、本部の社員が販売実績のデータを持ってきて、
「他の店では、平均○○本売れてましたが、おたくの店は○○本しか売ってないじゃないですか。何やってるんですか?」
なんて言う嫌味を普通に言われる。
だからこういうキャンペーン物は、店の威信をかけて頑張らなきゃいけない。
それにしても、毎度まいどのことで、いつも同じ傾向だから、慣れてくると、どういう風にすれば売れるということは、長年、店長をやっていれば だいたいわかってくるものだ。
しかし、逆に言うと、こういう時こそ、従業員教育のチャンスでもあるのだ。
僕は、若手アルバイト数名を集めて、相談を持ちかけた。
『このキャンペーンでフランクフルトを爆発的に売る、何か、良いアイデアはないか?』と。
すると、一人の男が手をあげた。
「店長!あっしにやらせてください」
それは、アルバイト店員の畠山だった。
『あぁ、畠山くんか。なにかいいアイデアでもあるの?』
「店長、ファーストフードの売上を上げるにはうってつけのいい方法がありますぜ。」
『おぉ!それはちょっと聞かせてみてくれ』
「ふっふっふ。それは簡単には言えませんよ。お任せしてくれるんなら必ずいい結果を出しますよ。まぁ楽しみにしといてください」
畠山は、メガネを人差し指でチョイチョイと持ち上げると、ヒヒヒ・・・と、不気味な微笑を浮かべた。
普段はあまり、自信のなさそうな印象の 自称”ひきこもり”の彼が、この時、なにかに満ち溢れていた。
よほどの自信があったに違いない。
これは彼に任せてみようと思った。
だが、この時は誰も、数日後に起こるとんでもない事態を予想だにしていなかった。
そして、数日後。
遂にキャンペーンが始まった!!
ゴールデンウィークの初日。
残念ながら、天気はどんよりとした曇りで、表を走る車の量、通る人の数は いつもの平日並みか、それ以下かといった感じだった。
その日、僕は夕方からの勤務だったのだが、ファーストフードのキャンペーンが気になって、少し早めに店に出勤した。
店に入ると、すぐに畠山がこちらに歩いてきた。
いや、歩いてきたというよりは、少し小走りだった。
そして、彼は、鼻の穴を膨らまし、興奮した表情で一生懸命に言い出した。
「店長!!やりましたよ!ファーストフードバカ売れですぜ」
『おぉ!!』
「今日の昼は凄かったッスよ。土木のおっちゃんとか、ヤンキーの兄ちゃんたちがバカみたいに買って行ってます!」
『すごいすごい!どのくらい売れたんだ?』
「すみません、数はよくわからないッス。でも、さっきも、7本くらいまとめて売れましたぜ!!』
畠山の興奮した話し方から、かなりの数が売れたのだろうと、想像した。
そして、畠山はさらに言う。
「やっぱり、あの秘策が効いたみたいッス」
あの秘策??
あぁ、このあいだ言ってたあれか。
『結局、どんな秘策だったんだ??』
「へへへ・・・まぁ、買ってからのお楽しみってことで。」
畠山はそう言うと、勝手にレジを打ちだした。
「はい、店長、フランクフルト157円の50円引きで、107円になりま〜す。」
・・・畠山よ。 なんか楽しそうだな。
店に出勤するなり、わけのわからない事を言われ、フランクフルトを押し売りされてしまったが、まぁいいかと思い、バックルームに入った。
そして、店長デスクに座り、フランクフルトを眺めた。
これのどこにそんな秘策が隠されているのか。
もしかして、こんな訳のわからん押し売りが、秘策だと言うのか・・・。
う〜ん、いや、彼のことならありえるね。
いつも、寒いギャグばっかり言ってるし...
しかし、その瞬間!!
強烈な悪寒が、、、嫌な予感がした!
畠山…、ま、まさか・・・!?
(;´Д`)ウワァーーーーーーー
何ですか、これ?
その後、畠山に1ヶ月近くの休暇という名の謹慎処分を与えたのは言うまでもない。