新学期も始まってまだ間もない4月のある日。
この日は、一日中心労が絶えない一日でした。
その理由は 何かというと、、、
僕たち、小売業で働く者として、格闘し続けなければならないもの。。
そう、
万引きです。
春になって、入学や、学年も一つ上がり、
すこし背伸びをしたくなる時期。
この時期は本当に万引きが多いです。
小売業のプロとして働いている僕らにとって、
万引きというものは、実は日常茶飯事にある事件でもあり、
万引きをしようとする少年・少女は、直感的に 『あっ!万引きか!』
と、わかってしまうものだったりします。
それは、、
お昼の忙しさもひと段落したころ。
学校を途中で抜け出して来たと思われる中学生数名が、
店内に入って来て、
店内を2〜3週ぐるぐるとゆっくり歩いていました。
その様子を防犯カメラで気づき、 なんとなく、万引きの予感がしたので、
店内に戻り、その少年の背後で仕事をしているふりをしながら
横目で様子を伺う・・・。
すると、、、
『 ・・・あっ! やった!』
少年は、持っていたガムを、一つ。また一つと、制服のポケットに入れていく。。。
そして、ガムだけでは物足らなかったのか、
今度は、お菓子の小袋を一つ、また一つと、ポケットに詰め込む。
少年は、あたりをチラチラと見ているたが、 僕の視線には気づいていない様子でした。
そして、少年は急いで店を出て行こうとしたので、
僕は少年を追いかけて、店の出口を出て少ししたところで、
少年の肩に手を置き、トントン と、軽く叩いた。
それに気づいた少年は、その手をふりほどこうとして、必死に暴れようとしたが、
僕はすでに、少年が暴れることができないように手を押さえていた。。
「俺は盗ってない!」と言い張り、怒鳴り散らし、そして叫ぶ少年に対し、
僕は、『はいはい。 事務所でゆっくり話そうね。』 と 少年の背中に手を回した。
激しく暴れたためか、ポケットから次々と商品を落としてしまう少年。。
大量のガムや小物菓子が、少年のポケットからこぼれ落ちていた。
ついに諦めたのか、少年はおとなしくなり、僕は少年を事務所に連れて行った。。
事務所で、僕は、少年に、こう言った。
『なんで万引きなんかしたんや?』
少年は、こう答えた。
「・・・欲しかったから・・・。」
僕は、すこし、声を荒らげて少年を怒鳴りつけた。
『欲しかったら人の物盗んでもいいんか?』 と。
この後、この少年の家に電話して親が店に来るまでの間、
あるホームレスの話をした。
それは、僕が尊敬する、
このオヤジがよく話す、受け売りだ。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
なぁ、ダンボールで生活してる人がいるのは、知ってるか?
チャリンコに、いっぱい、空き缶とか、ゴミみたいなもんを積んで
歩いてるの、見たことあるやろ?
なかには、仕事もせんと、ボーっとしてるヤツもいてるけどな。
まぁ、そのチャリンコにいっぱい荷物載せて、くっさい格好してるヤツおるやろ。
そいつ、カッコええと思うか?
・・・・。
俺はな、メチャメチャカッコええと思うよ。
まぁ、メチャメチャってのは、言いすぎやけどな。
少なくても、いまのお前よりはずっとカッコええわ。
アイツらな、空き缶集めて、鉄くず集めてそれを金に換えとるんや。
それでな、メシ食うとるんや。
人のもん盗って食うてるんやない。
自分で稼いだ金でちゃんとメシ食うとるんや。
誰に迷惑かけるわけでもなく、自分で働いて自分で生活してるヤツがおるんや。
まぁ、全員が全員、そうじゃないんやけどな。
それに比べてお前はどうや?
人のもん盗って喰うとるんやろ?
それはな、最低やぞ。
どうせ喰うんやったら、喰いたいものがあるんやったら、
欲しいもんがあるんやったら、自分で働いて買え。
もう中学生やろ。
こづかいがもらえんかったら、
新聞配達でも、なんでも方法はあるやろ。
もう、自分でいろんなことを考えれる歳やな。
そんな人の物盗んで喰う癖はいまのうちに辞めろよ。
このままやったら、お前は人間として最低のもんになるぞ。
わかったか?
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
・・・と、そんな話をした。
そして、その後、少年の話をいろいろと聞いた。
学校のこと、家庭のこと。 兄弟のこと。 いつもの遊び方のこと。
友達や、担任の先生のこと。。
かれこれ30分程話を聞いていただろうか。
と、その時、その少年のお母さんが店にやってきた。
とてもショックを受けていたようで、母親は パニック状態でバックルームに走りこんできた。
その目には涙が溢れんばかりにたまっていた。
そして、僕のを見ると、これ以上折れんばかりに体を曲げ何度も何度も謝っていた。
僕は、しばらく親子で話をしてもらおうと思い、
「お母さん、思いっきりしかってあげてください。」
と言い、バックルームの一番奥にある休憩用の椅子に二人を座らせて、
止まっていた仕事を、事務机で再開しながら二人の様子をうかがっていた。
バックルームには、親子がすすりなく声と、
時折、母親の激しい怒声が響き渡っていた。
今回は、家庭できっちりと教育していただくという約束で、
お引取りいただいたのですが、、、
…そんな親子の姿を隣に、伝票の整理や、雑用をしていた時に思ったのは、、
この親なら、子供は万引きなんかもするんだろうなぁ〜・・・。
と、いうことでした。
どういうところで そう感じたのかは説明できないけど、
なんとなく、そう思ったんですね。。 やっぱり、そういうのってあるんだよね。。
そうそう、ちなみに、このお母さんの職業は、
学校の先生なんだそうです。。
自分の子供の教育もしっかりしなくちゃね!