あれは、まだ毎日がとてもよく冷え込んでいた
1月の上旬のことです。
その頃、僕は、毎日 夕方から夜にかけて勤務していました。
仕事を終え、家に帰る時間には、
気温は連日、当然のように 0度を下回り、
家に帰って、電気ファンヒーターをつけて、
暖かい風が出てくると、やっと、ホッ とできる毎日でした。
その日は、とてもとても冷え込んだ日でした。
過去10年のうちで、最低の気温を記録した日で、
外には、冷たく強い風と、氷のような白い雪が吹雪いていました。
午前2時、 僕は、店での仕事を終え、
凍えるような寒さの中、
やっとの思いで自宅のマンションにたどり着くことができて、
その階段を上がっていったのです。
そして、階段を上がり、自分の部屋の鍵をポケットに手をつっこんで取り出し、
その鍵をもって、部屋のドアまで向かって歩いていた、そのとき。。
自分の部屋の前に、何か白い物が置かれてあるのに気がつきました。
・・・・・いや、置かれてあるのではなく、、、
白い何かが、そこにいたのです。
暗くてはっきりとはわかりませんでしたが、、
近づいて見てみると、
そこにいたのは、白い犬でした。
でも、様子がおかしいのが、すぐにわかったんです。
犬は、 小さく、まるく丸まった体を、激しく上下左右に動かしながら、
「クゥ゛ーーーーーー・・・ グシュッン グシュッン グシュッン オェッ 」
と、変な声を出し、
僕の部屋のドアの前にいたのです。
ぜんぜん見覚えのない知らん犬やし、変な病気かもしれんし、
ひとりで股間を刺激している最中なだけかなのかもしれんし、ちょっと気持ち悪かったんで、
僕は、犬を、足で5センチくらいずつ ちょっとずつ ちょっとずつ
部屋のドアから離れた場所によせていって、
鍵を開けて、部屋の中に入りました。
そして、電気ファンヒーターのスイッチを入れる。
ピッ…
すると、暖かい風が吹いてきて、
ホッ とする・・・
ホッ とする・・・
・・・・・・はずなんだけど、、
部屋の外では、さっきのあの犬が、まだ、
「クゥ゛ーーーーーー・・・ グシュッン グシュッン グシュッン オェッ 」
とか言ってるのが聞こえてきて、、、
・・・やっぱり、気になったので、
部屋の外に出てみたんですね。

そしたら、やっぱり、まだガクガク震えてて、
これはもしかしたら、風邪引いてるんかな? と。
勝手にそう思って、
牛乳を人肌に温めてあげたり、
犬のごはんを作ってあげたり、
ダンボールで家を作ってあげたり、
バスタオルで毛布を作ってあげたり、
寒そうだから暖かい玄関に入れてあげたり、
・・・いろいろしたわけですよ。
そしたら、かなりなついたみたいで、
もう、これは、飼い主が見つかるまでは、うちで預かるしかないかなと。
…そう思って、一晩明けた、次の日に、
車に犬を一緒に乗せて、ホームセンターに
犬のエサを買いに行こうと思ったんです。
家からホームセンターまで車で15分くらい。
犬は車を嫌がるかな?と、思ってたら、
しっぽ振って、ノリノリで車の助手席に乗り込んだんです。
そして、ホームセンターに到着。
僕が、 車を降りて買い物に行こうとすると、
犬は助手席の窓をカリカリやってたんです。
『ん?一緒に行きたいのか?』と、思って、
犬が乗っている、助手席のドアを開けてあげました。
すると、、、、、!
『 あっ!? 』
犬は、突然走って、、、、、
どっか行っちゃいました(´・ω・`)
・・・・・・・・・ あの犬、元気でやってるかな?
と、ふと そんな事を思い出した、とても暖かい4月上旬。
あの頃の毎日の冷え込みも嘘のように暖かくなって、
満開の桜が、出勤途中の車の車窓から見えるようになりました。
信号待ちで停車した車内には、車窓から桜の花びらが舞い込んできます。
僕は、いつものように、
店から少しはなれた場所の、満開の桜の木のある 駐車場の一角に車を止め、
『さ、今日も一日頑張るぞ!』
と、気持ちに気合を入れて店まで向かう。
そんな暖かな風の吹く、おだやかな春の日の朝でした。
もう暖かい春だよ〜〜!
・・・その時!?
店の前に着くと、、、
(;゚Д゚)ハァ?
戻ってきてました。。
…しかもなぜか、従業員にパンと布切れも もらってました。。