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デジカメ水中写真教室
For a beginner, By a beginner

はじめに
 我が家では長らく使い捨て水中カメラを使ってきましたが、どうしても良い写真が撮れなくて(腕の問題もある)、とうとう水中写真が撮れるデジタルカメラを買ってしまいました。デジタルカメラは(1)その場で結果を見て試行錯誤しながら何度でも取り直しができる、(2)デジタルデータなのでレタッチ(レベル補正)ができるという大きなメリットがあり、初心者でもきれいな水中写真が撮れます。何より、家族や仲間で撮った写真をすぐに見て楽しめるというのも嬉しいです。みなさんもデジカメ水中写真始めてみませんか。

水中写真用デジタルカメラ
 我が家で使っているカメラは、オリンパス キャメディアC-3030Zoom+水中ハウジングPT-005です。ダイビングに使える水中ハウジングを大手カメラメーカが標準オプションとして提供しているのはオリンパスしかなかったので選びました(最近SONYも出したようです)。

 水中では光の減衰が大きくて、適正な露出に合わせるのがなかなか難しいのですが、C-3030ZoomはプログラムAE(自動露出)、絞り優先、シャッタースピード優先、マニュアルモードが装備されていて、さらに絞り・シャッタースピード・露出などの微調整が可能なので、水中写真用としてかなり優秀な性能を持っているデジタルカメラです。・・・とはいっても、大体の場合は、プログラムAEにしておけばOKです。ボタンひとつでマクロモードにもなるので、小さな被写体を大きく撮影するのも簡単にできます。

 またPT-005は低価格ながら、耐圧水深30mでC-3030Zoomの全てのボタンとダイヤルを操作可能な優れものです。この両者の組み合わせはかなりお薦めできると思います。

 PT-005用の外部フラッシュやワイドコンバージョンレンズも発売されるそうです。興味ある方はこちら:イノン(INON)

水中撮影の基本
たくさん撮る
 デジタルカメラでの水中撮影の第一の基本は、フィルムを惜しまずに撮れる、試行錯誤できるという特徴を生かして、とにかくたくさん撮ることです。特に失敗が多いのが露出とピントなので、露出モードやフォーカスモードなどを変えながら、数打てば当たると信じて撮りまくりましょう。露出を少しずつ変えながら連続で複数枚撮影するブランケット撮影機能などを活用すると便利です。

できるだけ近づく
 小さな魚を大きく撮る・きれいな色を出すためには、できるだけ被写体に近づく必要があります。80cm以下に近づいてマクロモードで撮影しましょう。小さな魚は臆病なので、バシャバシャ追いかけると逃げていく後ろ姿ばかりを撮ることになります。ゆっくり・静かに接近することが大切です。

 大きな魚や魚の群を撮影するときもできるだけ近づくのが基本です。魚の群が画角に入らないからなどの理由で離れて撮影すると、シルエットになってしまいます(狙ってこれを撮る場合もありますが)。

待ち伏せる
 サンゴを住処にしている小さな魚は、隠れてもまた同じところに出てくるので、狙い場所を定めて待ち伏せする。

 いつもちょこちょこ動いている魚も、良く観察すると一定の動きを繰り返していて、特定の場所で静止していることが多いので、その行動パターンを読んで待ち伏せる。シュノーケリングでも水面で良く観察してから、静かに近づけば大丈夫。

フォーカス
 通常はオートフォーカスで問題ありませんが、動きの早い小さな魚はオートフォーカスでピントを合わせるのが難しいので、距離を目視で測ってマニュアルであらかじめフォーカスを設定しておきます。あとは手を伸ばしてその距離になるまでカメラを近づけて撮影しましょう。

 特にピントが不安な場合は、被写界深度を深くするために、絞り優先撮影にして絞りをできるだけ絞ってフラッシュ撮影すると良いです。

フラッシュ撮影
 水深が深い場合(スノーケリング以外はほぼ必須)や魚の色を鮮やかに出したい場合はフラッシュ撮影します。この場合のポイントも被写体にできるだけ近づいてマクロモードで撮影することです。プログラムAEとマクロモードの組み合わせで、フラッシュ撮影でも適正な露出の写真が撮れます。ただし、W(ワイド)側で撮影すると画面の左下にカメラ筐体の影になってフラッシュ光の当たらない暗い部分が写ってしまうので、T(望遠)側で撮影した方が良いです。

見栄えする写真撮影のヒント
背景をぼかす
 スノーケリング時や被写体が海底にいる場合など、上方からしか写真を撮れないときには、被写体のうしろにサンゴや岩などが入って、写真の背景がビジーになり、被写体が埋もれてしまうことがあります。このような場合には、背景をぼかして撮影すると被写体が引き立ちます。

 絞りをできる限り開放して被写界深度を浅くすることにより、背景をぼかすことができます。普通の写真と同じです。

背景をマリンブルーにする
 マリンブルーを背景に写真を撮ると被写体が引き立ちます。サンゴ・岩の端やすき間に身を沈めて、横あるいは下方向から被写体を見るように撮ります。海面が入ると逆光で被写体がシルエットになるので注意が必要です。

 背景すべてをマリンブルーにしてしまうと、カメラのホワイトバランスが上手く作動せず、色合いが変になることがあります。また、背景が単調すぎて魚図鑑のような感じの面白くない写真になってしまうので、海草やサンゴなどの魚の周りの風景を取り入れて、変化を加えたほうが見映えのする写真になります。

背景を暗くする
 背景を露出アンダーにして暗くすると被写体が浮き立ちます。通常の撮影では被写体が真っ白になってしまうようなフラッシュ条件で、露出をアンダーにして撮影します。外光をシャットアウトしてフラッシュの光だけで撮影する感じです。C-3030ZoomではマクロモードでプログラムAE撮影するとこのような写真になります。

 (1)被写体にできるだけ近づく、(2)マニュアル露出にしてシャッタースピードを上げる、(3)露出補正をアンダーにするなどの工夫でより印象的な写真になります。

ペアをねらう
 同じ種類のコーラルフィッシュのペアが揃って泳いでいるのをねらって撮ると、とても見栄えのする写真になります。チョウチョウウオ系は、結構つがいで泳いでいることが多いです。

 上手くペアを見つけたら、静かに近づきます。ここでのポイントは2匹が同じ向きになるチャンスを逃さないことです。サンゴのポリープを食べる瞬間などを辛抱強く待ちましょう。追いかけるのは禁物です。

魚群などを撮る
 魚群の写真は迫力があってとても惹かれますが、このタイプの撮影は結構難しく、自分でもまだ満足な写真は撮れていません。まず、ストロボの光が届かないので、赤色光が不足して発色は期待できません。このようなワイド系の撮影では、海の青と被写体の陰影を如何に上手く撮るかがポイントになり、そのためにはできるだけ青色の光を飛ばさない(露光オーバーさせない)ことが重要です。

 ご存じのように水中では色によって光の減衰が異なり、まず赤が減衰し、それから緑、最後に青という順序で光が減衰します。したがって、水中では青色光が最も多いことになりますが、デジタルカメラの多くは人の目の感度に近い緑色光で露光を決定しているらしく、多すぎる青色光は露光オーバーで飛んでしまいます。これを避けるために、ワイド系の撮影では露光量をアンダーにして撮影します。ピントもオートではなく、距離を想定してマニュアルで合わせた方が良いです。

画像ソフトによるレベル補正
レベル補正の基本
 デジタルカメラの画像は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3つのチャネル毎に256階調のデータで記録されています。このため、多少の露出ミスなら画像処理ソフトで補正ができるという大きな利点があります。各色について、階調0(黒)から階調255(白)までの画像全体でのヒストグラム(頻度分布)をとってみると、地上で撮影した写真では左下図のように各色とも中央が盛り上がった山型になり、ほぼ分布が一致します。水中でも被写体に十分近づいたマクロ系の写真では、同様の分布になります。

 一方、ワイド系やストロボ光が不足した水中写真では、赤や緑の光は青と比べて減衰が大きいので、青よりも暗い側へ分布がシフトした右下図のようになります。

 分布がシフトしていても階調内に収まっている写真であれば、後処理である程度の補正が可能です。逆にいえば、階調内に収まっていない分布情報は失われてしまった情報であり、後処理では取り戻せません。多くのデジタルカメラではG(緑)で露光調整をしているため、常にG(緑)は適正露出に収まりますが、露出オーバーではB(青)が白に飛び(ヒストグラムが右端で切れる)、露出アンダーではR(赤)が黒につぶれる(ヒストグラムが左端で切れる)ことになります。

水中写真用画像処理ソフト
 最近はたくさんの画像処理ソフトが発表されていますが、水中写真のレベル補正に適したソフトはあまりありません。ポイントは、(1)RGBのチャネル毎にヒストグラム表示が可能であること、(2)RGBのチャネル毎に独立でレベル補正が可能であること、(3)画像処理時の情報のビット落ちを軽減するための多ビット化変換が可能であることです。今のところこれを備えているのは、Photoshop系だけだと思います。Paint Shop Proは、ヒストグラム表示は優れていますが、チャネル毎のレベル補正がガンマ曲線補正しかできず、多ビット化変換もできません(Ver.6.0時点)。

 Photoshopはヒストグラム表示はやや使い勝手が悪いですが、RGBチャネル毎の完全なレベル補正が可能であり、多ビット化についても、16bit処理(各チャネルの256階調を65536階調に変換する)を備えていて文句ありません。レベル補正などの画像処理を施すと画質がかなり悪化してしまいますが、16bitの画像に変換してから処理を行い、処理終了後8bit(256階調)に戻すことにより、悪化の度合いをかなり抑えることができます。Photoshop本体はまだ数万円と高価ですが、1万円以下で買えるPhotoshopLE(Limited Edition)が発売されています。Limited Editionでも上記3機能は全く同じなので、これをお勧めします。

レベル補正操作
 右図はPhotoshop系のレベル補正ウインドウです。下部両端のスライダー(赤矢印)でヒストグラムの上下限(階調0、階調255)を変えて、ヒストグラムの引き延ばしや圧縮を行います。また下部中央のスライダーは明暗の中央レベル(階調128)をヒストグラムのどこにするか、いわゆるガンマ曲線を調整します。

 上部ドロップダウンリスト(緑矢印)でチャネルRGB、R、G、Bを選ぶことで、これらの操作が各チャネル毎に独立で行えることが優れているところです。

レベル補正事例1−メリハリに欠ける写真
 色合いはそれほど変ではないのに、なんかメリハリに欠ける左のような写真はコントラストが不足していることが多いです。ヒストグラム(Paint Shop Pro ヒストグラム)を見ると、山が中央に寄っていて、階調の暗部と明部が使われていないことが分かります。そこで、RGBチャネル一括で使われていない暗部・明部を切ってヒストグラムを引き延ばします。結果は右の写真のように、ヒストグラムが引き延ばされ、コントラストの大きなメリハリのある写真になりました。


レベル補正事例2−色合いがくすんだ写真
 色合いが良くない左のような写真は、ストロボ光不足などによりRGBのバランスが崩れて、ヒストグラムが大きく外れていることが多いです。R(赤)アンダーやB(青)オーバーでは青白い感じに、B(青)とG(緑)のバランスが崩れると緑がかった感じになります。

 左の写真のヒストグラムを見ると、RGBの山が大きくシフトしていて、特に赤が暗部側に寄って不足していることが分かります。そこで、RGB各チャネル毎に暗部・明部を切り揃えて、個別にヒストグラムを引き延ばします。結果は右の写真のように、各チャネル毎にヒストグラムが引き延ばされて分布がほぼ重なり、色合いの良い引き締まった写真になりました。