番外編その1 SP盤なんてレコードが大昔にありました

SP盤と呼ばれるレコードをご存知の方がどれくらい居るんでしょうか。自分が子供のころ、レコードと言えばLPとEPと言うのが存在し、それぞれが33回転と45回転だったことを知っていました。それは実家にあったレコードプレーヤーに33と45と書いてある切替えスイッチが存在していたからです。これが大体1978年頃の話。それが今はCDが主流となり、レコードが普通のレコード店(今ではCDショップと言うのかも)から姿を消して久しい状況において、殆どの人がSP盤なんて言葉を知る由もないと推察します。

私がSP盤なる言葉を知ったのが、やはり1978年頃。それは親戚の家にあるプレーヤの回転数スイッチに78と書いてあるのを発見したからです。この78ってのは何?って親父に質問したら、それはSP盤って言うものだと教えてくれました。

SP盤には回転数の他にも特徴があります。ドラマなどで蓄音機を見た人は多いのではないでしょうか? 蓄音機とその上で回転しているレコードにどのようなイメージをお持ちでしょうか? 私は幾つかのドラマ上で以下のようなシチュエーションを見た覚えがあります。

・ゼンマイを巻いて盤を回転させている。
・レコードの回転がみょうに早く見える。
・レコード盤を引っ掻く針の上にラッパがついていて、そこから音が出る。
・電話から聞こえてくる音のように、こもった声が聞こえてくる。
・針で引っ掻いているようなシャリシャリした音が聞こえる。
・レコード盤をたたき落として割ってしまう。

このようなレコードをSPレコードと言います。

さらに付け加えますと、1枚当りの収録時間が極めて短いと言う特徴があります。CDが一枚74分(最近では80分)、LPが両面で50分強(無理をすれば70分弱)に対し、SP盤は両面で10分程度ぐらいしか収録出来ません。理由はLPの倍以上の早さで回転する上に、音溝の間隔が広いからです。これは、集めだすと住む場所をレコードに奪われてしまうと言う恐ろしい事を意味します。

例えば、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」。この曲をCDに詰めると1枚、しかも時間が余るのでもう一曲入っていることが多いです。LPだとこれが1枚になり、SPになると何と6枚!になってしまいます。6枚と言う事は表・裏で合計12面、つまり11回の掛け変えが発生します。休みが2回しかないこの曲において、音の途切れを11回も強いられてしまいます。聞いていて急に音が途切れると本当に拍子抜けします。

余談ですが、当時の演奏者はSPの途切れで演奏を中断していたそうで、これがとても苦痛であったそうです。最近ではSPで収録された録音をCDに復刻されるケースが多いのですが、途切れと思われる場所を過ぎると急に曲のテンポが変わる演奏にしばしば遭遇します。おそらく、すっかり気分が変わってしまったのでしょう。指揮者カール・ベームはワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の第3幕だけをSPに録音していますが、これが15枚30面!にわたっており、中断のたびに気分の切替えが必要になり、非常に不愉快だったと回想しています。

今を思えば隔世の感があります。

ところで、最近ではLPと言う単語すら一般的ではなくなりましたが、LPとは何の略だかご存知でしょうか? LongPlayの略です。それではSPは何でしょうか? 元々SPと言う名称は無かったのですが、LPが出た当初にLongPlayに対してStandardPlayと呼ばれたのが始まりだと言われています。当時はLPの方がスタンダードじゃなかったのですね。※ShortPlayと言う説もありますが、私はStandrdPlayの方が当時の状況を良く表現していると思います。

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