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第一章 劇場運動の歴史とその理念
II.理念と実践 1.鑑賞活動(資料E参照) 年に3,4回から6回の「例会」として鑑賞活動が行われている。例会作品の選定に当たっては、会員すべて(子どもも含めた)の声を反映させることが原則であり、創造団体からのその一年の提供作品の案内の冊子をもとに、会員全員へのアンケートを行う。希望の多かった作品の中から、必要経費、他劇場との兼ね合い、内容的なバランスなどが検討され、最終的には年に一度の全サークル(「サークル」については後述)参加の総会で決定されている。これはこの活動が「子どもにこそすぐれた文化を」という劇場運動の理念を具体化する最も重要な活動と位置づけられており、会員一人一人がそれに携わる主体であるべきとされているからである。 内容は演劇がその多くを占め、他には人形劇、音楽、狂言・邦楽などの伝統芸能などがある。子どもの年齢に合わせて、例会を高学年例会と低学年例会とに分けてもうけている劇場や、例会一回あたり2,3作品の中から選ぶ形式をとっている劇場がほとんどである。したがって一劇場が例会としてもうける作品数は、年に5,6作から十数作となる。 例会をおこなう上で忘れてはならないのが「文化の創造」という視点である。創造団体との事前/事後交流会、劇団と劇場会員会員との協同での会場の設営・撤収や、例会後の感想を劇団に伝えるといったことを通じて、ただ「観るだけ」ではなく、それを通じて互いに交流し高めあい、「文化の発展・創造」に寄与してゆけるような努力がはらわれている。 「すばらしい文化・芸術に出会い、その楽しみ・感動を子どもと共有できたとき『子どもをもっていてよかった』と思う。文化や芸術は人が持つ根源的なものを揺さぶるものだから、それに出会ったときに人が変わるのが実感できる。」(会員へのインタビューより) 「鑑賞例会が定期的にもたれていますが、そのなかで子どもたちに、ものごとの関わりあいを本質的にとらえていく鋭い目が育っていることを感じます。これは、大人が芝居を観るときのいわゆる生活の一部としての演劇要求とはちがって、未知の世界をともに体験していく非常に貴重な生活体験の場になっているからだといえます。(高比良正司『夢中を生きる―子ども劇場と歩んで28年』1994 p28) 「映画だと入りこんでしまうが、舞台だと客観的に観ることができる。登場するのは動物でも、日常よくあるような人間関係が、必ずそこにあるから、舞台劇を観ることによって、人は少しずつだがやさしくなれると僕は思う。(中略)生の舞台を見ることは、それだけでもよい体験だし、芸術や伝統芸能に触れることもできる。そして何より、自分の人間性が少しずつだが広がっていく。」(九州沖縄地方子ども劇場連絡会『花は野にあるように 子どもの文化宣言93』1993 p86 十年以上例会に参加してきた高校生の手記より) |