第四章 劇場運動の可能性

3.外から見てわかりやすい組織であること

劇場運動はその名称自体誤解されやすいが、運動の中に人を巻き込むことには熱心でも、運動に関わりのない人や社会に対して自分たちのことを知らせてゆくということに乏しかったように思われる。劇場に関わったことのある人とそうでない人との間には、運動の中身のイメージに大きな差があるが、30年の歴史をもち、各地で数多くの実践を積み重ねてきた全国的な団体である割に、一般の認知は進んでいない。このことは劇場運動が拡がってゆくことの大きな阻害要因ではないだろうか。劇場が地域で新たな会員を獲得して広がってゆくとき、その多くは「口コミ」によって劇場を知ったという人々であった。これまでそうして広げてゆけただけに一般的に広くアピールする努力を怠ってきたと言えるかもしれない。よりわかりやすい名前に変えるというのも一つの方法であろう。「一口では言えない」「やってみなくてはわからない」ということもあるだろうが、「劇場」と聞いたときに「ああ子どもの文化をやっているところだ」という程度には認知されなくては今後の運動の拡がりは難しいと考える。
NPO法による法人格取得の問題はこれに深く関わる問題である。法人格を取得するということは、法的・社会的に劇場が認知されるということであるが、そのためにはその活動のめざすものをよりわかりやすいかたちで公にしてゆくことが必要となる。本来的にNPOとしての力量を劇場は十分備えていると考えている。社会的に認知されることで、行政や子どもの問題に取り組む他団体との連携も進めることができよう。「地域の子どもの文化」に対する社会的関心も高まりつつあり、文化庁を始めとする行政も取り組みを始めようとしている。市民団体としてこうした動きにの受け皿となりうるのは、地域で指導的役割を果たしうるのは、やはり劇場ではないだろうか。


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