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第三章 新しい展開
III.行政とのかかわり 和歌山県田辺市にある田辺親子劇場では行政と共同しての活動が行われている。これは市の生涯学習課や国際交流課の担当である事業を、劇場が委託されて企画、運営を行うというものである。行政からは企画の方向性と予算を提示され、それを受けて劇場が自分たちの経験や知識、人的ネットワークを活かして実際の運営を行い、全市民を対象とした行事を行っている。劇場としては無報酬での活動となるが、より市民に広く知られるきっかけとなる。また行政の側としても、これまでの役所的発想の行き詰まりを抱え、市民と手を取り合って活動をつくってゆく必要に迫られているが、その格好の受け皿として劇場があったということになる。背景として、田辺親子劇場も加盟する「和歌山県子ども劇場おやこ劇場協議会」がNPO法による法人格取得に向けて活動をはじめており、こうしたことで行政側も劇場を協力対象として選びやすくなったということが、市の担当者からも言われたという。法人格取得が劇場運動にとっても力となりうることの一例といえる。 このように行政とのかかわりの中で活動をつくってゆくことは、いくつかの劇場で実践されている。同じ和歌山県の海南子ども劇場では市が公募する「まちづくりイベント」に応募し、市から補助金をもらって実施するということが行われているし、全国的にもこうした行政と手を取りあっての取り組みが増加している(資料J参照)。これまで独自の活動にこだわってきた(というより他になかった)劇場だが、「地域の文化」や「まちづくり」ということが行政からも言われるようになり、同じような課題に取り組む市民団体も表れてきた今日、行政を始めとする「外」との連携ということが今まで以上に重要になってくるに違いない。 以上、新しい活動を展開している劇場の実践を中心に見てきたが、劇場運動の今後を占ういくつかのキーワードをそこから見つけることができる。「外からの視点」「市民のニーズ」「柔軟な組織」「青年層の関わり」「金銭的保障」「他団体との連携」「NPO」などである。これらをどう活動の中に活かしてゆくかということを、これからの劇場運動は問われてくるに違いない。次章ではこうしたキーワードを軸に、劇場運動の可能性について考えてみたい。 |