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第二章 劇場運動の今日的課題
IV.民主的な運営 「みなで考え、決めたことだけを実行する」と言う劇場運動の民主主義の原則を、どれだけ全体のものにできるかということも、「お客さん会員」の問題とあいまって重要である。会員一人一人の声をどう反映させて行くかという問題と、意欲・能力のある人にどのようにして活躍の場を与えるかという問題。一部の人が引っ張る会であればその人たちのみの考えで会が運営されかねないという危険もあるが、一方でこうして会を支える人の存在なくしては活動そのものが成り立たないという現実がある。市民運動の限界といえるかもしれないが、実際組織的に上にたつ人―運営委員長や事務局長という立場の人―をリコールするような規定を設けている劇場はほとんどなく、「あの人のやり方は気に入らない」といった個人的な人間関係で離れてゆく人もいる。もしくは特定の個人が「ボス的」な存在となってしまうということもまれにはあるようだ。例えば政党や「日本○○協会」のように、全国組織とその支部として各地の劇場があるのではなく、あくまで独立に各地域の劇場が存在しているため、こうした問題は「上から」の指導ではなく、やはりその地域の問題としてとらえてゆかざるをえない。つまるところ劇場という名前はついていても、どのような理念、運営、活動形態を採用するかについては各地域の劇場の人々次第ということである。全国共通の規定なり会則なりが存在しないということは対外的にはある種のわかりにくさを伴うものではあるが、逆に自分たちの地域、力量にあった活動を展開できるということでもある。会内の民主主義を確立しつつ、どのような活動を創ってゆけるかということが、これから問われてくるのではないだろうか。 劇場運動の今日的課題としてここまで述べてきたが、劇場にとって重要なのはこれまで積み重ねてきたものの中からどこまでがこれからも通用し、どこまでが変えてゆかなければならないものかという見極めであるといえよう。劇場運動を構成する市民のニーズを無視しては生き残ってゆけないが、それに合わせすぎるとかえって劇場であることの価値までも失いかねない。ひとつひとつの劇場の運動の行く末を見通す力量がそれぞれに問われている。 |