山々の間からしだいに暗闇が押しよせ、すでにあたりは真暗である。暗闇の中から声が聞こえる。「聖なる神、アズマプラウダよ、我らに聖なる火をあたえたまえ」すると、どこからともなく空を切り火が飛んできて、広場のまん中に組んだ薪が火に燃えうつり、一瞬あたりが昼間のように明るくなる、その中に聖なる神、アズマプラウダを見たような気がした。月夜野国家ファイヤーの始まりである。神聖なる儀式であるこのファイヤーには、国民はみな正装で参加しなければいけないというしきたりがある。国民は白い衣装に身をつつみ、聖なる火を囲み参列している。パンパパパーン、女王陛下入場である、正装をし、頭には冠をかぶり、手には月星(つきぼし)のつえを持ち、ふたりのおともの女性と、ひとりの護衛を従えおごそかにやってくる。国民は拍手で迎え、女王陛下が玉座につくと、各部族からの奉納の出しものが始まった。 我先にと争いながら順番が決まって行く。まず最初はターリラリ族、奉納物は「ターリラリ音頭」 ターリラリ、ターリラリ、頭の中までターリラリ・・・脳みそがくさりそうな音頭であった。次はアシオペカ族、「ものまねショー」である、班指導員大ちゃんのものまね、指を口にくわえて一言、「ごはん食べたいよ〜」、他班の指導員・青年のまねなど次から次へとものまねがくりひろげられた。3番目はひょうきん族、名前のようにひょうきんな奉納物と思われたが、なんとまじめな「うら島太郎」の劇、中身はさすがひょうきん族、しかしこの時のナレーターをやっていたMちゃんのすばらしい語り(台本なしであった)には、女王様もご満悦であった。 4番目はミッキーマウス族、「うた」、平凡なうたの中にもミッキーマウス族のすばらしさが如実にあらわれていた。5番目はニカウ族、「言葉あてゲーム」、10人の子どもや指導員がレモンだとか、もも、リンゴ、メロンなど一斉に違う単語を言い、ひとりひとりが何という単語をいったかをあてる非常に難しいゲームであった。6番目はシムサン族、昨日の月夜野まつりのスター誕生をまねて、その名も「スター誕生」。すばらしいスターが次から次へと誕生したが、中でもAちゃんのギンギンギラギラ体操は、うけにうけた大うけであった。 そして次は指導員たちの奉納物「クイズ20人にききました」である、あまりのばからしさがいかにも劇場の青年たちらしかった。しかしその後、正解「ピポピポピポ〜」と不正解「ブ〜」という言葉はキャンプが終わった後もしばらく使われていた。 そして最後は、このキャンプで大いに成長しそして流行語をも作り出した、ラッコ族(中高生班)である。奉納物もこれまたすばらしい「大自然劇場」、文章では書きあらわせないほどすばらしいものであったが、あえて書くなら・・・。大自然音頭とヤクルトの星の二部構成で、ヤクルトの星では、流行語「お家へ帰ろう」が生まれた。ヤクルトの星に出たSくんは大自然の神でもあり、探検への手助けもしてくれた。 このような各部族からのすばらしい出しものの間々に、全員でとりくめるもの、たとえば、「キャンプだホイ」の踊りや、「線路は続くよ」などをやり、最後に全員で大チクサクコールをやり終わった。 燃え残る火を囲み各部族でなごり惜しげにチクサクをやったりうたをうたったりしていたが、このキャンプファイヤーで子どもたちのすばらしさ、表現力の豊かさ、そして何よりも中高生の力強さを感じた。今までいろいろと悪い面ばかり指摘されていた中高生であったが、それ以上にもっともっとすばらしいものを持っていることに気づかされた。 このキャンプファイヤーの火が消える時、来年のキャンプファイヤーの火は静かに燃え始めているのだ。
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