今回は、ダイナミクスについて考察します。
◆うるさい音と大きな音!?
トロンボーンセクションとしてのダイナミクス
私も吹奏楽コンクール等の審査員を務めさせていただく機会が多くなってきました。
よく聞かれる事ですが、「うるさい音と大きな音の違い」について述べてみたいと思います。
例えばトロンボーンセクション3パートでユニゾンのffの場面があったとします。
この時指揮者側から、「もっと大きく!!聞こえない!」という指示があったとします。
現場の状況にもよりますが、たいてい一番音量が出せる人に頼ってしまいませんか?
ここが大事なポイントで、ffの音量は出るかもしれませんがffの響きは出せません。
それ故に攻撃的なffのみになってしまい、いろいろな性格のffを適材適所に使い分けることが
出来ません。こうなると「うるさい音」になってしまいます。
ユニゾンが3パートとも同じ音量で演奏できるように、パート練習の時に個別に録音して聞かせて
あげると生徒たちも実感できると思います。そうすれば、響きが出てくるはずです。
この事を応用すると、ハーモニーでも活用できます。
一例として、1番Trb.第5音/2番Trb.第3音/3番Trb.根音の場合について考察します。
この場合ハーモニーのキャラクターを決定づけるのは、第3音です。
根音と第5音のハーモニーがきちっと合った状態で、第3音の音程でキャラクターが変化します。
ピアノで演奏する場合、第3音は音量を少し控えてみるといい響きがします。
しかし管楽器の場合は音量のバランスと共に、音色の太さのバランスが関係してきます。
Tipsは、音量を落としてしまうと響きも細くなってしまいやすい事なのです。
響きが細くなると倍音が少なくなってしまうので、「薄い」「ぼやけた」音色になってしまいます。
バランスを取るときに、音量を下げても少し胸を持ち上げる感じで身体を(特に胸を)たっぷり
響かせましょう。
パートレッスンでは、第3音の人の音量をまず意識的に大きめに吹くところから始めています。
音色的に第5音よりも第3音が太い響きが出せていれば理想的なのですが、ハーモニーの性格を
積極的にはっきりさせる事が大事だとアドヴァイスしています。
そのサウンドのキャラクターのまま音量のみを少し控えてバランスをとって下さい。
ベルリンで学んだ事ですが、ベルリンフィルでは1番トロンボーンはテナー、2番トロンボーンは
テナーバス、3番トロンボーンはバストロンボーンといった考え方で、響きの太さのピラミッドを
形成します。 言い換えると細管、中細管、太管の楽器を使用して響きのバランスを取っています。
トランペットも上のパートはC管、下のパートはB管を使用して、直管セクション全体で大きな響きの
バランスをつくります。
それ故響きのチェーンが繋がり一体感が出て、pppからfffまですばらしい響きになっています。
この考え方を応用するとGOODだと思います。
イタリアオペラ等にみられるテューバではなくチンバッソの指定がある楽曲では、
このバランス感覚を想定して作曲されているのではないでしょうか。
私自身は、特にヴェルディ「運命の力」序曲の中間部でのコラールで実感しました。
◆ffのサウンドを改善するには?
前述したハーモニーの話とも関係するのですが、mfでのサウンドはすごく美しいのにf以上の音量に
なると「うるさい音」になる演奏をよく耳にします。
それにはいくつかの理由が考えられます。
1)音量を上げると音程が変化してしまう。
音量を上げるは息の流量を大きくします。
必要以上に息のスピードを上げてしまうと、金管楽器の場合は音程が高くなってしまいます。
クラリネット奏者にお聞きしましたが、クラリネットの場合は音程が下がってしまうそうです。
ということはバンドでの演奏の場合、全体の音程が一致しなくなるので サウンドが濁ってしまう
原因のひとつになりますね。
クレッシェンド・ディミネンドのロングトーン練習をしてみましょう。
Tipsは、必ずチューナーを使用することです。
四分音符60のテンポで、1.2.3拍クレッシェンド4.5拍保つ6,7,8拍ディミネンドの形で8拍の
ロングトーンを繰り返します。
貴方の吹けるppからffまでのダイナミクスの変化をすべての音域で実践してみましょう。
いかがですか?音量を大きくするときに音程は一定に保つことが出来ましたでしょうか。
安定するまで何度も繰り返してみましょう。
2)ffで演奏するときに音色が変わってしまう。
ffを吹く時に、mfで吹いているときと同じ基本のアンブシュア(唇の形)を維持できるよに
努力しましょう。
これにも前述のクレッシェンド・ディミネンドのロングトーン練習が効果的です。
唇の中心がフリーに振動するように気を付けて。
3)ffで演奏するときに音の立ち上がりがクリアでない。又はアクセントが付いてしまう。
アタックはmfの時と同じです。
mfでのアタックを基準にしてさまざまなダイナミクスで演奏してみましょう。
同じ音程の場合、息の流れは初速から同じスピードを保ちます。
舌に力が入らないように、 da-、du-の発音で練習すると実感できると思います。
息の吸う・吐くタイミングは、いつも同じです。
ON LINE LESSON.3やON
LINE LESSON.4も復習してみて下さい。
4)ffのイメージ
ffのイメージを考えてみます。
ON
LINE LESSON.3でも書きましたが、イメージを形容詞で表現することがポイントです。
攻撃的な気持ちがそのまま音になってしまい、身体に力が入ってしまっていませんか?
身体に力が入ってしまうと共鳴が妨げられ、固い響きになってしまいます。
貴方の演奏している空間を大きな響きで満たすffを演奏しましょう。
ffで演奏するときのイメージは、重厚な、豪華な、たっぷりとしたイメージで。
バランスと調和の上に成り立つ音楽の躍動感。様々な管弦打楽器との協調を考えるとき、
私はブラームスの交響曲を基本として勉強しています。参考にしていただければ嬉しいです。(^^)
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ご活用いただければ幸いです。(^^)