月刊「人事マネジメント」 2003.4月号より転載

P.122〜127

あなたの業界は遅れている…
この業界の人事に学ぶ

自宅を拠点に仕事をする「在宅ワーカー」と呼ばれる人々は、主婦層を中心に確実に増えている。不況によるアウトソーシングの進展も追い風となっているようだ。在宅ワークでテープ起こしを始めて6年になる谷頭千澄さんは、「SOHOWORKネット」のメンバーとして後輩ワーカーの発掘・育成にも情熱を注いでいる。次々と新しい目標を作って仕事を発展させてきた谷頭さんに、開業の心構え、能力開発や報酬の仕組みなどについて伺った。

<目次>
■業界―個人の仕事だが業界内の連携も進んでいる■

●SOHOと在宅ワークの違いは?

SOHO
(Small Office Home Office)と在宅ワークはどう違うのか。現代用語の基礎知識(2000年版)によれば、「SOHOは在宅勤務も含めた新しい勤務形態の総称をさす」とのことで、SOHOの形態のひとつに在宅ワークが含まれると考えていいようだ。しかし、日本では厳密に言葉の使い分けがされているわけではない。ただ、「在宅ワーク」には主婦がやるものというイメージも強いので、プロを目指す・自認する人たち、そして男性のほとんどは「SOHO」という名称を使っているのが実態だ。TPOで使い分けている人もいる。この記事は、自宅を拠点とした自営業に絞る意味で「在宅ワーク編」とした。


●開業の第一歩は自己管理から

SOHOワーカーのコミュニティ・サイト「SOHOWORKネット」は、SOHO・在宅ワーカーとそれを志す人を対象に、さまざまなオンライン講座を開いている。自らワーカーとして働きつつ、この講座の中の「テープ起こしコース」の講師を務めているのが谷頭千澄さんだ。テープ起こしとは、取材、講演、会議などの録音テープを聞き取って文章に書き起こす業務で、スキルと経験が要求される専門職である。

講座の内容は図表1の通り、技術的な話よりも
ビジネスの常識やコミュニケーション術に重点を置いているのが特徴だ。教材はWEB上で毎月更新され、メーリングリスト(ML)を利用して谷頭さんが補足説明をしたり、受講者からの質問に答える双方向の講座になっている。また、「家族の理解が得られない」などの個人的な相談には、メールで直接答えている。

テープ起こしという職種に限らず、在宅ワーカーを志した時にまず身につけるべきことは、何なのだろうか。
「仕事場が自宅なので、まず
自己管理を身につけなければいけません。これが企業の新人教育と一番違うところです。仕事を覚える前に、開業に向けて生活をどう立て直すかがまず重要です。具体的には、仕事と家事を両立させるためのタイムスケジュールづくりや、仕事場を整えることから始めます」

2002年5月から始まったテープ起こしコースは、2003年4月現在、延べ350名ほどが受講している。受講者の80%が30〜40代の女性で、
よそで通信教育を修了したものの、実際にどうやって仕事に結びつけたらいいのか分からないという人が多い。また、主婦として生活している間に、ビジネス感覚が抜けてしまっているケースも多いようだ。

「消費者の立場に慣れているので、電話の受け方もぞんざいになっていたりしますね。また、大企業でひとつの業務しか経験しなかったような人も、個人事業主として全部をこなさなければいけないので、覚えることがたくさんあります」

このコースのカリキュラムは、谷頭さんが在宅ワーク初心者のために書いた原稿をベースに作られている。これまで後輩の在宅ワーカーから数多くの質問を受け、アドバイスしてきた経験がフルに生かされた、きめ細やかな内容だ


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