たんぽぽコーヒーはいかが?

インターネットやパソコン通信に慣れていない人には
なんで私が「たんぽぽ」なんていう花の名前を名乗っているのか
ちょっと不可解だろうと思う。

ネットの世界では、本名ではなくニックネーム(=ハンドル)で呼び合うことが多い。

私は、インターネットでビジネスをしている関係上、
ホームページでも本名を公開しているが
本名をかくしてハンドルで呼び合うのが、ネット上では普通のことなのだ。

私は、インターネットの世界にデビューしたときから
たんぽぽ をハンドルにしている。
そして、この「たんぽぽ」というのは、うちの治療院の名前でもある。
自宅でつれあいが開業している、鍼灸治療院は
私のハンドルでもある「たん歩歩治療院」という名前である。
患者さんたちが、帰りは元気な足取りで歩いて帰れるようにという気持ちをこめて
「歩く」という文字を2つ重ねて「たん歩歩」とした。

だから、ネットの世界では私は「たんぽぽさん」で通っているけれど、
うちの近所で「たんぽぽさ〜ん」と呼び止められたら、
それはうちのダンナのことなのである。
あ〜もう、ややこしくてしょうがない。

患者さんはさすがにダンナのことを「先生」と呼ぶけれど
近所の商店主たちは、みんなダンナのことは「たんぽぽさーん」と屋号で呼ぶ。


自分にもう一つの名前をつけるとき、私は迷わずこの野の花の名前を選んだ。
踏みつけられても、アスファルトの隙間からでも どこにでも花を咲かせる強い花。
冬の間もじっとその身をかがめて春を待ち続けて耐えているたんぽぽ。
たんぽぽの根っこは、驚くほど長い。
掘っても掘っても、どこまでも深くしっかりを根をおろしている。
そして、どこにもむだがない。
花も葉も、あますことなく美味しくいただくことができる。
そしてもちろん、根っこは身体を温める漢方薬としても知られているし、
たんぽぽコーヒーやたんぽぽティーにすることもできる。

たんぽぽという花は、実は私たち夫婦にとっては 特別な花でもある。
私が勤めていた大学病院の近くには、中央線の線路があった。
春先になると、線路脇の土手には、たんぽぽの花が咲き乱れていた。
病院に勤めているころ、昼休みや勤務のあと、
私は子どもみたいにたんぽぽを摘みにいった。
両手いっぱいのたんぽぽをかかえて、仕事場へ戻り
仕事のあとに、たんぽぽの根っこを洗って乾燥して、細かく刻んでローストする。
もちろん、たんぽぽコーヒーをつくっているのだ。

私は、どんぐりコーヒーやたんぽぽコーヒーのような野趣あふれた飲み物が好きで
興味津々で寄ってきた職場の同僚たちに、飲ませてみた。
「こーんな苦いもん、飲めねえよ」と、
たいていの同僚の男性たちは、みんなそろって顔をしかめた。
その中で、一人だけ、その濃いたんぽぽコーヒーを美味しそうにすすり
おかわりまで要求したヤツがいる。

それが、今、目の前のソファーで気持ちよさそうにうたたねしている、
私のつれあいである。


2001.5.30






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