家庭と仕事を両立させるには
家庭と仕事の両立・・・・・・これは在宅ワーカー永遠のテーマかもしれません。
在宅ワーカーに限らず、仕事を持っている女性共通の悩みとも言えるでしょう。
家庭や育児と両立させたいから・・・と在宅の道を選ぶ人も多いはずですが、
現実はそんな甘いものではないようです。
中には家庭と仕事を見事に両立している人もありますが、
両立どころか、家庭も仕事もメチャクチャになってしまっている人もあります。
外へ働きに出た方が、よっぽど両立できるという人もあります。
「家事・育児と仕事を両立させるということは時間的な配分の問題である」
と簡単に考えている人も多いと思います。
自宅で仕事を始めようと思った時に、
あなたは、まず何を考えましたか?
どうやって仕事の時間を作り出そうか。
洗濯や食事の支度は何時までに終わらせたら良いか。
夫の不満が出ないようにするには、どうしたら良いだろうか。
夫が帰るまでには、昼間に処理すべきすべての家事は終わらせておかなくては。
夫が起きている間は仕事をしないようにしなくては。
つまり、たいていの方はまず時間的な配分を考えたと思うのです。
しかし、実際に在宅ワークを始めてまもない家庭で
どのようなトラブルが起きているかというと、
もっとも大きなトラブルは、やはりご主人方の不満からくる夫婦喧嘩であったり、
あるいは「私だって家で仕事をしているのに夫が理解(協力)してくれない」
という妻の側の不満であったり・・・そういうことが多いようです。
夫たちの不満というのは、どうも時間的な配分のことではなさそうです。
家族にとって、主婦が家で仕事を始めるということは、
時間的な割り振りの問題ではなく、おそらくはもっと深刻な問題なのです。
家事の手順やスケジュールの問題を解決したって、
やはりもめている家では、いつまでももめ続けているものなのです。
不思議なことに、
夫婦の間で様々な葛藤が生まれている、
家族が理解してくれない…という悩みは
なぜかサラリーマン世帯に多いようです。
それも、奥さんが今まで典型的な専業主婦だったという家庭です。
夫もSOHOであったり、自宅で店を経営していたりする自営業の夫婦の場合は、
妻が在宅で仕事を始めても、
精神的な葛藤やトラブルに発展するケースはあまりないようです。
妻が仕事を始めたという新しい局面を、夫が理解してくれない・・・
このことを嘆いておられる方は本当に多いと思いますが、
なかなか事態が好転しない場合は、
なぜ夫が、子供が混乱しているのかを考えてみましょう。
少しでも共働きの経験のある方は、その当時のことを思い出してみて下さい。
会社で仕事をしている時の自分と、
家に帰って夕食の支度をしている時の自分……思い出してください。
仕事場の自分と家庭にいる自分は、まったく同じだったでしょうか?
職場で仕事をしている時は、仕事中に夫のことや子供のことを考えることなど
まずなかったと思います。
頭の中は、仕事のことに専念していたはずです。
そして、家に帰ればもう妻の顔、母親の顔になって家庭人として生活していたはずです。
つまり、ふたつの顔を、環境に応じて使い分けていたはずですね。
外に仕事に出た方がよっぽど家庭と仕事を両立できる、と嘆く人が多いのは
一つには、居場所を変えることで、自分の気持ちを容易に切り替えることができるからです。
その場所でするべき労働に専念できるということは、実はとてもありがたいことです。
絶対に邪魔も入りません。
しかし、自宅で仕事をするとなると……どうでしょう。
家で仕事をするということは、通勤の必要もない、
子供が帰ってきても相手をしてあげられる、
家事や育児のあいまにコマ切れの時間を使って家事も仕事も両立できる・・・と
いいところばかりのように考えてしまいがちですが
実は精神力のない人には、とっても大変なことなのです。
ビジネスと家庭の価値観の違いを、自覚する必要があります。
同じ場所で環境を変えずに、気持ちだけを切り替えるというのは、
思ったより精神的に負荷がかかるものだと思いませんか?
家庭とビジネスを同じ場所で営むということは、
必要に応じて1秒で気持ちを切り替えられるかということでもあります。
在宅ワーカーの場合、家庭と仕事を両立させるということは、
主婦の顔と職業人の顔を気持ちの切り替えスイッチひとつで、
瞬間的にパッパッと切りかえるということでもあります。
ビジネスの相手(クライアント)にはビジネスマンとして、
子供に対しては母として、
単なる時間的な配分の問題ではなく、
外へ働きに出ていた頃と同じように気持ちを切り替えねばならないのです。
夫に対して「私の仕事に理解がない、協力してくれない」と不満が出てしまう人。
クライアントに対して「子供がいるから仕方がないのです」と言い訳にしてしまう人。
それらの在宅ワーカーは、「両立」ということを
時間的な両立としか考えていないのではないかと思います。
一般的なサラリーマンというのは、
家庭というものにビジネスの価値観を持ち込むことを好みません。
自営業の夫であれば、
夫自身がビジネスと家庭の使い分けを感覚的に心得ているものですが、
サラリーマンの夫というものはこれまで、自分自身が
会社と家という「場所」を移動することによって
夫自身の内面の価値観の切り替えをしてきたのです。
そのような背景を、妻も理解してあげる必要があります。
表面的には、
「家の中が乱雑になった」
「会話が少なくなった」
「夜も仕事をしている」
などの「物証」をネタに夫婦喧嘩になることが多いはずですが、
そういうことをヤリ玉にあげるしか不満をぶつけるきっかけがつかめないために、
家庭内のあら捜しをしている夫も多いようです。
夫に指摘された部分をいくら直しても、
夫の本当の不満がもっと深いところにある場合は、家族の葛藤は消えません。
在宅ワークを始めたことで家庭内がガタガタし続けているというのでは、
仕事と家庭を両立させているとはいえないのです。
妻が在宅で仕事を始めた当初に家庭の中が混乱するのは、
家庭とビジネスという、この2つの相反する価値観が同居するために
生じている混乱ではないかと思います。
主婦だけではなく、ご主人も子供も、
家庭の中では暗黙のうちに家庭内の価値観で動いています。
そこに突然、奥さんだけがビジネス社会の価値観を持ち込んで動き出すと、
家族は精神的に混乱します。
特に子供というものはビジネス社会の価値観を知らないわけですから、
その戸惑いは計り知れないものがあるはずです。
「家庭と仕事の両立」とは、
まったく相容れない二つの価値観を同時に引き受けることなのだという自覚を
夫婦でもつことが必要です。
仕事を始めるあなただけではなく、夫にも気づいてもらう必要があります。
夫もまた、悩んでいるはずです。
妻に対する不満やいらつきの原因がつかめなくて、苦しんでいるのかもしれません。
あなたの夫や子どものことを、一番よく知っているのはあなた自身です。
ですから、トラブルや葛藤の原因さえわかれば、
あなた自身でその処方箋を出すのは意外と簡単なのです。
2000.12.10
Naturalidentity