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 【月間『読書感想文』】 創刊号
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 「クリスマス・カロル」 著者:ディケンズ 新潮社 300円

 【あらすじ】

 強欲で人を信じることなく、クリスマスなんて何もめでなくない、いまいまし
 いものと思っているスクルージは、クリスマスに3人の幽霊に出会う。
 
 その幽霊たちはそれぞれスクルージの過去と現在と未来の姿を見せ付ける。
 幽霊との出会いによって自らの行動を後悔したスクルージは、それからは人を
 愛し、陽気になり、誰よりもクリスマスを楽しめる人間になる。
 
 【感想文】

 クリスマスの時期になると読みたくなる心温まるディケンズの名作。
 文章量も少ない(全149P)ので、2日もあればサラッと読めます。

 最初のスクルージの性格描写が、意固地で強欲で酷薄すぎる人間としてこれで
 もかこれでもかと描かれているので、こんな人物が本当に、また一体どうやっ
 て人を愛し、人に愛される人間になるのか、すごく興味が出てきます。

 そういう意味で最初の20ページは読み続けるのもイヤになるほど、不愉快な
 人物について読まなければなりません。

 ただ、これだけはいえます。

 この小説は愛の物語です。

 一人の人間が過去を振り返り、現実を直視し、未来を予測する。
 それだけで、人を愛することがいかに大切か、人としてどのように生きていく
 ことがいいのか、それを教えてくれます。

 逆にいうと、過去を忘れ、現実に見向きもせず、未来のことなど考えない。
 そんな人間は誰もがスクルージのような人間になってしまう危険性があるとデ
 ィケンズはいいたかったのではないかと思います。

 それにしても、最初についたスクルージの悪態の数々を、改心した後の彼に対
 して見せ付ける幽霊の冷酷さには驚きます。

 と同時に現実を直視することの難しさも実感します。
 
 スクルージのことは他人事なのだろうか?
 はたして自分は大丈夫なのだろうか?

 読んでいて胸が痛くなることもあります。

 心が感動で打ち震えるのと同時に、胸がしめつけられるくらいつらくなること
 もある。

 平凡な変化のない日常を送っている人にはまさしく刺激的な小説のひとつだと
 思います。

 人は何のために生きるのか。
 その一つの答えがこの小説には描かれているような気がします。

 【名セリフ】

 「あの人の仲間は病気で死にかかっているとかいうことを聞いたがね。ところ
  で、スクルージさんはたった一人で部屋に座りこんでるのさ。まったくのた
  った一人ぼっちだね」

 <P66 スクルージの昔の恋人の幸せそうな家庭を見せ付けられた後、その旦
     那の一言>

 (スクルージ同様胸がしめつけられる思いになりました)

 「それがどうしたというのだ? もしあの子が死にそうならその方が結構では
  ないか。余計な人口が減るわけだからね」

 <P87 スクルージが雇っている書記の息子が死ぬ運命であることを知ったと
     きの第二の幽霊の一言>

 (最初にスクルージが恵まれない子への寄付を説いた紳士に向かって吐いた言
  葉をそのまま幽霊に言われたスクルージの心境を思うと自業自得とはいえ、
  すでに改心しかけていたスクルージにはショッキングな言葉だったと思います)

 「もしこの町でこの男の死によって少しでも心を動かされる人があるなら、ど
  うか、その人を私に見せてください、幽霊さま、お願いでございます」

 <P124 その死を誰も悲しまず、むしろ死体から身ぐるみをはがされ、こいつが

       こうされるのは当然のむくいと身包みをはがしたものたちにいわれた後>

 (この人物の正体をまだスクルージが知らないというのがさらに哀れさを誘います)

 「善良な幽霊さま、あなたの本心は私のためにとりなし、憐れんでくれます。
  私が心を入れかえた生活に入れば、こうしてお見せくださいました影を変え
  られるとおっしゃってくださいませんか?」

 <P136 すべてを見せられた後、スクルージが第三の幽霊に悲痛の願いをす
      る場面>

 (一番感動した場面です。背筋がゾクゾクするほど感動しました)

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