身近な歯科介護法

近年の高齢化社会において家庭内で近親者を介護している方も多いと思います。介護している方が高齢者の歯科的特徴を理解し、より的確で、少しでも喜んでもらえる介護の助けになれば良いと思います。

 楽しく会話をしながら美味しい物を食べる時、誰でも幸せを感じますが、特に高齢者ではその比率が高いようです。楽しい食事をする事は、精神衛生上も良い事ですし、咀嚼することにより口腔、顔面領域の筋肉や味覚、触覚、痛覚や冷熱を感じる各種感覚受容器が刺激され、これが脳を刺激して脳を活性化しボケの防止にもなるのではないかといわれております。また、会話をする事も食事と同じように生活の中で非常に重要な行為で生命維持、人間活力の出発点であり根源ともなっています。

 楽しい食事や会話をするには顔面や口腔内が健康でなければなりません。しかし、高齢者や障害の有る方では口腔内を清潔に保つ事が困難であり、また筋力が弱くなるため、うまく噛んだり飲込んだりする事が出来なくなり、歯肉に炎症や潰瘍が出来たり、誤嚥性肺炎、心臓疾患、胃腸疾患、腎炎などの原因になるといわれています。また、歯が無くなったり、唾液の分泌も少なくなると共に、顔面の筋力も弱くなり、構音機能が損なわれ発音がはっきりしなくなります。

 誤嚥を防ぐには

食材の工夫、細かく切る、柔らかくするなどの調理法の工夫、粘調度に気をつける。さらさらしている物のほうが誤嚥しやすい

姿勢は上半身は無理をしない範囲内で出来るだけ垂直か少し前かがみにする

頭部は少し前傾にする。上向きにしない。コップを使うときは紙コップの片側を切り欠き下を向いたまま飲めるような工夫をする

筋力のアップには口唇を閉じ歯をかみ合わせながら頬っぺたをふくらます運動、口唇を閉じ舌の先を口唇と歯茎の境目(歯肉頬移行部)に強く当て上下左右グルグル回す運動、舌の先を上顎の歯肉に強く押し付ける運動などをしてみる

 義歯がある場合

義歯が口の中に入っている場合は特に口の中が不潔になりますので、口の中の歯や粘膜の清掃と同時に義歯をはずして義歯の表面、内面、維持のための金具の部分を義歯用ブラシ等を使って流水下できれいにして下さい

痛みを訴えたり、顎の粘膜に傷や潰瘍(赤や白色)が有る時は義歯が合わないことが考えられますので歯科を受診してください

就寝時は義歯をはずして、清掃をしてから乾燥しないように保管しましょう

総義歯の安定は水を介した粘膜との吸着による物です口の中が乾いた状態では安定しませんので口の中を湿らせる工夫をしましょう。また、前歯部に力が加わると義歯が落ちてきますので、前歯で食塊やスプ−ンや箸をかまないように気をつけましょう

 口の中の清掃

口の中を清掃する姿勢は食事の場合と同じく、無理をしない範囲内で上半身を起こして垂直か少し前かがみ、頭部は少し下向きになるようにします

義歯がある場合は義歯をはずして、まず ブクブクうがい が出来る場合は少し下を向いてブクブクうがいをした後歯ブラシを使って歯を磨きます。歯と歯の間は適当なサイズの歯間ブラシで磨きます。歯茎の部分は大きめの綿棒やガ−ゼ、軟らかい歯ブラシ等を使ってきれいにします

自分で出来ない場合は歯ブラシを持たせて、介護者が後ろから胸と腕で頭部を抱えるようにしながら歯ブラシを持った手に介護者の手を添えるようにして磨いてあげます。これはスキンシップもとれ、喜ばれるようです。また頭部を枕などに固定し、介護者が向かい合い、前から下顎を手で支えながら磨いてあげる方法もあります。いずれの方法でも上を向かせないように注意します

歯ブラシは植毛部があまり大きくなく、毛束が密集していない物を選びます。電動歯ブラシを使える場合はこれも良い方法です

歯磨き粉は特に使わなくてもかまいませんが、使う場合はぺ−スト状より、液状の水歯磨きが良い

さらに歯科衛生士、歯科医師による定期的な専門的清掃が必要です

健康な口腔機能を取り戻し、維持する事により、毎日の生活がより豊で質の高いものとなる助けになれば幸いです

                     口腔ケア関連用品について ライオン歯科材料株式会社

 

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