第10回
カナダ・アニメーション・フェスティバル NFB特集 special comment!! By the NFB, with the NFB 〜 30年の夢の実現 〜 山村 浩二(アニメーション作家) 私がNFBの存在を知ったのは、ちょうど30年前、私が15歳の時だった。漫画やアニメーションを自己流で制作していた高校生が、絵画やイラストレーションにも興味持ち始めた時、美術部の顧問の先生が、学校の視聴覚室で16ミリフィルムによるプライベート上映会を開いてくれた。その時出会ったのが、ノーマン・マクラレンの『隣人』やジャック・ドゥルーアンの『心象風景』で、これらのカナダの短編アニメーションは、それまでの自分のアニメーションの概念を揺さぶった。人間のコマ撮りやピンスクリーン(当時は木炭デッサンを動かしていると思っていた)など、漫画イコールのアニメーションではない、映像としての可能性を広げる表現としてのアニメーションに魅了された。 その後大学時代に広島国際アニメーションフェスティバルで出会った、やはりNFBの作家イシュ・パテルが、アニメーションの「作家性」に気付かせてくれた。数本の回顧上映が、それぞれ技法やテーマは違っていても、精神性、表現力、イメージの造形力など、ひとつの美意識に貫かれていた。この出会いをきっかけに物作りへの考えた方、創作への意識が大きく飛躍したのを覚えている。 翌年「ぴあ」の招きで、東京でそのパテルによる1日ワークショップがあり、実際に撮影に使われた素材を見ることができて、とても刺激を受けた。日本のインディーズとNFBの特集上映会もあり、僕がパテルの影響で作った8ミリフィルム『博物誌』が上映されるので、関係者が気を利かせてくれて、監督の隣の席で観賞することになり、直接アドバイスの言葉をもらった。そしてこの頃からいつの日かNFBで制作できることを夢見ていたと思う。 その後、『砂の城』のコ・ホードマン監督の来日に協力をしたり、モントリオールとウィニペグのNFBに訪問して講演をしたりと、NFBとの関係は少しずつ続いた。 そして今、来年の完成に向けてNFBとの共同制作での、短編アニメーションの制作が始まった。自分にとってNFBは、映画で言えばハリウッド、アニメーションの聖地で、いままさに夢が実現しようとしている。実際この作品の企画を思いついたのは、『頭山』が完成した直後の2003年だった。実現までに6年ほど要したが、自分ではこの期間企画を熟成できたのは、とても良かったと思っている。 今年がNFBの設立70周年になるそうだが、国家の機関という特別なプロダクション環境で、いつの時代にも良質な短編を制作し続けているNFBは、短編アニメーション界にとって驚異的な存在だ。 山村浩二(アニメーション作家)-----------------------------------------☆★ 1964年名古屋市生まれ。東京造形大学絵画科卒業。多彩な技法で短編アニメーションを制作。『頭山』がアニメーション映画祭の最高峰、アヌシー、ザグレブ、広島をはじめ6つのグランプリを受賞、第75回アカデミー賞にノミネートされる。また『カフカ田舎医者』がオタワ、シュトゥットガルト、広島など7つのグランプリを受賞。国際的な受賞は60を越える。代表作は他に『カロとピヨブプト』『パクシ』『ジュビリー』『年をとった鰐』など。20カ国以上で回顧上映、世界各地で審査員、講演多数。ヤマムラアニメーション代表、Acme Filmworks契約監督、東京造形大学客員教授、国際アニメーションフィルム協会日本支部理事、日本アニメーション協会副会長、東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻教授。 作家の告白にも似た短編アニメーションの世界。
近藤 研二 (音楽家/『つみきのいえ』音楽) |