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大槻貴宏の日記
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12月6日(土)〜1/23(金)、絶賛上映中!





脚本・監督・編集 | 池田将


118分 | カラー | ビデオ | 日本 | 2008




20:00


火曜日

トークイベント第二弾急遽決定!!

1/16(金) 諏訪敦彦氏(映画監督)×池田将(「亀」監督)

1/17(土) 柏田洋平氏(「亀」撮影)×大槻貴宏(トリウッド代表/ポレポレ東中野支配人)×池田将

1/23(金) 「亀」製作隊(「亀」製作スタッフ)×池田将


ゴージャスな亀

嫉妬するくらいゴージャスな映像。
完成する前の「亀」の映像の断片を観た時、 私は瞬時にそう思った。この画面を満たしている豊 かさは何なのだ? 

「えび」「くらげ」と、水棲動物ばかりを作品のタ イトルに選んできた池田将の映像は、どこか蔡明亮 (ツァイ・ミンリャン)を思わせるほど禁欲的であっ た(実際、私は彼を蔡明亮に紹介したことがある) が、それが爬虫類に進化した途端、
一気に解放され たということなのだろうか?  

俳優たちが、すばらしい。もちろんそれは 俳優たち自身がすばらしいというだけではない。演技はそれを見つめる演出家の視線に よって解放され、イメージとして生き生きと輝くのだ。池田は、カメラの前の彼ら彼女 らを丸ごと肯定しながら、更にその身体に依存することなく飛躍へ導く。柏田のカメラ が、その身体を正確に映画的空間の中に位置づけていく。
池田の人間観察のおおらかさが、一人一人の人間にリアルな存在感を与えているが、 映画という嘘をなんとか本当らしく見せようという姑息なリアリズムには頓着するこ とがない。
「まあ、いいじゃないか」という、徹底した現実の肯定と、それを飛躍さ せる非現実的な池田の作為が、ひとつのイメージとして結晶する。

唯一の欠点は、この作品がその絶妙のバランスを最後まで維持し、
決して壊れなかったことだろうか?

― 諏訪敦彦(映画監督/東京造形大学学長)


人がいて、人がいる場所があって、どの人の場所もすごく密度が高くて、
でもその密度の高い中に突然空白みたいな穴みたいなものがあく感じがあって、
つながって、世界が開ける。
わたしは今、とてもおもしろいものを観ている、って最初から最後までずっと思っていた。

― 柴崎友香(作家/「星のしるし」「きょうのできごと」)



亀ぇえーーー!!

『映画』という途方もなく億劫犯罪をでっち上げる時、俳優と監督が共犯関係になれる事が稀にある 。
去年僕がやらかした一番楽しかった犯罪。『亀』がそれ。 

― 森岡 龍(俳優/「グミ・チョコレート・パイン」「ハッピーフライト」)



「うなずきの倫理」

映画を撮っている時、あるいは、恋人とともにベットにいる時、不意に発せられる恐怖の科 白がある。「そんなことして、いったいあなた何をしたいわけ?」こう言われないように、我 々はいつでも目的や意味を持っているフリをして、勉強したり働いたり愛したり裏切ったりセ ックスしたり映画を撮ったりする。

だが「亀」たちは、そんな小賢しいフリなどとは無縁である。
ただ、ヒモをし、ヒモに貢ぎ、手に付いた新聞のインクの染みを壁に擦り付け、 新興宗教の勧誘をし、エロ雑誌の実物大の巨乳に欲情し、鼻血を流し続け、ユニットバスで爆 弾の縫いぐるみを抱えて暮らし、独りサッカーボールを対岸に向けて蹴り続ける。雨が振ろう と地震が来ようとおかまいなし。ナルシズムや悲壮感とは無縁の等身大のシーシュポス。

「精神は、駱駝となり、砂漠に行ってライオンとなり、ついには赤子となる」と書いたニー チェが発狂の直前に夢想したもの、それが「大いなる健康」と呼ばれるものだった。「えび 」から「くらげ」、そして「亀」へと至った池田将は、はじめから 「大いなる健康」を手に していたとも言えよう。
凡庸な我々は、破廉恥にも死を持って生を問うてしまったり、憎悪 を持ってして愛を問うてしまったりする。池田将は、決して問わない。生で生を描く。出演 者にもスタッフにも、たぶん恋人にも、目的も意味も問わない。だから、問われることもな い。だから恐怖とは無縁に、健康でいられる。
池田将は、ただただ、他人のカラミを頷きながら見続け、後輩の悩み事を頷きながら聞き 続け、無名の天才・柏田洋平の操るカメラの横で頷きながらOKを出す。  ぼんやりと、ニヤけながら、眠たそうに、ただ頷きながら世界を見つめる。今、精神が赤子として生まれたのだ。ジャージをは いたお父さんと茶髪にヘルメットを被ったニーチェとともに我々は祝う。大いなる健康による 生きる倫理の映画が誕生した。

でも一度くらいは、撮影現場で皆に詰め寄られている池田監督を見てみたい気もする。「池 田カントクー、で、いったい、あなた何やりたいの?」と。

― 高橋直治(映像作家)


池田将(25)の「灰色の魚」「えび」「くらげ」に続く最新作。
テンポの良い会話と的確な フレーム(撮影 / 柏田洋平)は、R・アルトマンのそれを髣髴とさせる群像劇。 主演は池田の盟友であり、自身も若手映像作家でもある、今出演作が目白押しの森岡龍。 音楽は勿論萬遊亭。 滑らかな語り口とストイックなテーマを併せ持つ、新しいタイプの作品の登場である。


あらすじ

  寝静まった夜の町に響き渡る50ccバイクのモーター音。

忙しなく町を駆け回り新聞を配達するヒト、

鼻血を塞き止めながら受験勉強に打ち込むヒト、

バスルームで不発弾を抱え恋煩いに悩まされているヒト、

精神安定剤を飲み眠りにつくヒト、

ミラーボールを抱え稼いだ金を空中にばら撒くヒト、

その金を掴み取り喜ぶヒモ、

そして離ればなれになった二匹の亀...

淡々と切実な日常生活を送る10人の登場人物たちが織り成す三日間の群像劇。

ねじれた世界はときおり美しい。


クレジット

脚本・監督・編集/池田将 
撮影・照明/柏田洋平 
助監督/日下部隆太 録音/柄澤大二郎 美術/飯塚智香、長谷川愛美、上東鷹介 
CG/柳沢大佑、豊田知香 音楽/土生裕、萬遊亭
出演/王丹戈、吉武真理子、森岡龍、篠原杏子、池田将、布施晋、西谷星来、中野晃太、
岩崎正敬、小嶋優希
協力/小島悠介、藤原恵子、彦坂愛実、片寄弥生、五十嵐耕平、斉藤朗子、西坂悠、 佐々木健介、柳田修平、大久保翔太、西岡守、野中祐樹、大久保桂輔、岡崎有希子、 吉田光希、村真司、大釜友美



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