<大人のための催眠術>
●創作ルーム

催眠学園
-5-

by marile

 


 

まず最初にしなければならないことがある。それは仕掛けにかかっていない生徒がいるか確認することだ。これまでは、何も考えずにやっていたが、俺がメロディを流したとき学園にいなかった者もいることがわかったからだ。これまでがラッキーだったのだ。

さっきから考えていた方法を試してみるか。

「一期一会、あっみんな気をつけろ! スズメ蜂が入ってきたぞ、伏せろ」

慌てふためく、部員たち。その中で、何が起きたんだと周りをキョロキョロする者が1名ほどいた。

こいつだ。

「もういいぞ、外に出て行ったみたいだ。」

冷静を取り戻す。

さて、こいつをどうしたものか・・・・・・・

今から例の音楽をかけるは、ちょっと無理だ。

 

横のテーブルをみると、そこには連絡網が張られていた。各準備室や職員室は座席ごとの内線番号がでていた。

知っている名前が飛び込んできた。城ノ内先生だ。そうだ、彼女を使おう!

 

生徒たちには写生の準備をするよう指示を出してから美術準備室に入って電話をかけた。

「もしもし、教育実習生の上原ですが、城ノ内先生ですか。」

「あっ、上原君、城ノ内だけど、どうしたの?」

俺は時間がもったいないので、すぐ本題に入った。

「一期一会!、先生これからいうことをよく聞いてください」

俺は、城ノ内先生にある指示を出した。

「わかりました、中原君、今から向かいます」

城ノ内先生は声のトーンが変わって、すっかり従順になった。

それから俺は美術室に戻って彼女が来るまで適当に部員に指示を出した。

しばらくして、美術室の戸ががらっと開いて、真っ青な顔をした彼女がやってきた。

「加藤くん、今電話があってお父さんが倒れたらしいの、すぐおうちに帰って」

お、始まったぞ。これは俺の描いたシナリオ通りだったが、俺も合わせてとても慌てふためいた様子で加藤に帰るよう指示を出した。

ちょっとかわいそうだったが、本当に倒れたわけではないし、家に帰れば安心するだろう。きっと明日文句を言ってくるだろうが、いたずら電話にすれば彼女にも責任はない。

ご都合主義のシナリオだが、ストーリー的には悪くない。

 

さて、邪魔者がいなくなったので、さっそく始めよう。

部員らはすでにビーナス像の周りを囲んで写生を始めていた。

「ちょっといいかな、いつも動かない白い像ばかり描いていてもつまらないと思って、今日は先生が特別なモデルを用意してる。いいかい、『一期一会』だから精魂込めて描いてくれ、いいね」

そう言ってから、おもむろに倉沢さんを指さして、

「今日のモデルは倉沢さんです。みんな拍手〜」

もうすでに暗示はかかっている。みんなうれしそうな顔をして拍手をしている。当の倉沢さんは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている。

「さぁ、倉沢さん。美術部一の美人なんだからからモデルになって当然だろう。名誉なことなんだから、はやくでてきて」

こう俺が断定的に言うと、その気になってしまう。倉沢さんははにかみながらも、晴れがましい様子でおずおずと真ん中に出てきた。

「静物より動きのあるモチーフの方が、躍動感のある絵が描けるっていうものだ。今日のテーマはすばり、ストリッパーだ」

俺がこう言うと、周りからどよめきが走った。俺はそれをすぐさまプラスイメージに変えるように誘導の言葉を続けた。

「ストリップと言っても踊る女性の姿は芸術そのものだ。その優美な姿を君たちのキャンバスに刻み込むんだ!」

青春ドラマの口調になってしまったが、誰も笑うものはなく、目をきらきらさせて俺の次の言葉を待っている。

「倉沢さん、やってくれるね」

「で、でもストリップなんてやったことが・・・・・」

「いいかい、君はダンスを見たことあるよね。それをイメージしながら踊り、ついでに服を脱いでいけばいいんだ。むずかしいことなんてなにもない。自分の思ったとおり自由にやればいいんだ。周りの連中も細かなことは気にしない、ただかければいいんだ。」

おっと、これは次の段階の指示だった。俺の方が先を想像して先走っているぞ。

倉沢さんは俺の言葉に勇気づけられたのか、すっかり決心した目になっている。

よし、機は熟した。俺はさっき城ノ内先生がきたとき持ってきてもらったCDをプレーヤーにかけた。ムードたっぷりのチークダンスミュージックだ。ただ、あまりでかいと周りの注目を引くので、極力ボリュームは絞った。それでもしゃかしゃか音が場の雰囲気をもり立てていった。

「はい、踊って!」

と、きっかけを作ってやると、倉沢さんはゆっくりだが体を動かし始めた。それはダンスというには幼稚なものだったが、本人はそれなりに手や腰を振ってがんばっているようだ。

時々、俺が指示を出して彼女の行動を誘導してやる。

「はい、もっとゆったり腰を振ってセクシーに」

「手で体をなめ回すようにして・・・そうだシャワーで自分の体を洗う様子をイメージして」

踊るうちに彼女の額にうっすら汗がにじんできた。

「あなたはダンサーです、みんなから注目されてとても気持ちいいです。もっともっとみんなにあなたを見てもらいましょう」

「そう、あなたの美しいボディをみんな見たがっています、着ている制服を一枚ずつ脱いでください。でもすぐ脱いじゃだめですよ、じらしながらもったいぶってみんなを興奮させてください」

周りでみている生徒たちには、

「今日の写生はやめて自分のむすこを使っての射精大会にしましょう、彼女の体に一番ザーメンをかけた者が今日のチャンピョンです」

男子生徒はこの言葉を聞くと、待ってましたとばかりチャックやズボンをおろして、マスカキをはじめた。ところが、他の女子部員はぽかんとしている。そうだ、女子の射精は無理だな。さてどうしよう? 彼女たちも前に出させて一緒に踊らせ、ダンシングチームにしよう。倉沢さんに比べ見劣りはするが、大勢でダンスすれば迫力はあるだろう。

「女子のみんなも倉沢さんと一緒にダンスをしましょう、汗かくって気持ちいいよ」

と言いながら、周りの女子生徒の肩を押して前に出るよう促した。女子生徒たちは「えー」といいながらも、内心はうれしそうに前に出ていき、倉沢さんの動きにあわせて踊り始めた。

倉沢さんは今、セーラー服を脱いで上半身はブラだけという格好で踊っている。後から参加した4人は一歩後ろ側でバックダンサー風になっている。やはり倉沢さんにはかなわないという意識がどこかにあるのだろうか。彼女たちも倉沢さんに合わせて同じ格好になろうとしている。

男子に目を向けるとすでにはぁはぁ言いながら、大きくなった息子を必死にしごいている。あんまり慌ててやって先に出させてもおもしろくないので、指示を与える。

「君たちは、彼女たちを見てとても興奮している。そして今の行為がとても気持ちいい。でも、俺が出していいというまで出すことができない。いいね!」

ここは大事なところだから、特に強い口調で指示を与えた。

倉沢さんはと見ると、スカートに手が掛かって、ホックをはずしている。他の4人も同じ動作だ。一斉に彼女たちのスカートが床に落ちる。見事なまでのシンクロナイズだ。彼女の下着の色も色取りどりでステージが華やかになった。

倉沢さんはで踊りながら流し目を送ったり、机の上に腰を下ろして足を組み直したりと、すっかりストリップダンサー気取りである。なかなか堂に入っている。きれいなのでそれが様になっている。やはり美人は得だ。他の4人も結構いい味を出しており、それなりにすばらしい。

いよいよショーのクライマックスが近づいてきた。倉沢さんは手を後ろに回しブラのホックをはずしにかかった。他の4人もそれにならって同じ格好を始めた。

俺の心の中で銅鑼が鳴り始めた・・・・・・・

彼女の手がすっと上にのびた。それに合わせて彼女の胸から布がはぎ取られていき、たわわな乳房が俺の目の前に現れた。俺が目を付けただけのことはある、その形といい、大きさといい、美乳といっていい代物であった。他の4人も一秒ほど遅れて手を上にかざした。倉沢さんよりは小振りであるが、5人分の乳が並ぶと壮観である。彼女らはダンスを続けているので、飛び跳ねるたび、乳房が上下にはずむ。それに合わせて男子たちの手の動きがさらに激しくなる。でもまだ俺が許していないので、むすこはギンギンに大きくなっているのだが、肝心のあれは出ていない。早くしてやらなければ、擦り切れちゃうかもなと、おもしろい光景が頭に浮かんだ。

さて、仕上げに入るとするか。彼女たちは最後の一枚を残すのみとなっている。こんな姿なのに彼女たちの顔は満足げににこにこしている。頬のあたりもうっすら桜色になり、この場に似つかわしいものになっている。

彼女たちを個々に机の上に座らせる。 ちょうど彼女の腰あたりが見ている男子の見やすい位置になっている。

「さぁ、メインイベントの始まりだ〜〜。 踊り子さんたちは座ったまま最後の布を取ってくださーい! そしたら大きく広げてよく見えるようにね〜」

場末のストリップ小屋の司会みたいな口調になってしまって我ながらおかしかったが、まさしく今の状況はそういう感じである。女子はじらすようにパンティを脱ぐとそのまま開脚してあそこがよく観客に見えるようにサービスしている。

濡れてしっぽりとなったあそこが全開である。やはり彼女らも見られることで感じていたようだ。

ちょっとアクロバティックではあるが、机に腰掛けている状態から足をそろえて上に上げさせた。こうすることによってお尻側から彼女らのあそこを観察できる。狭い机の上だから体勢的にはきついと思うが、そんなことも感じさせずやってくれる。その状態で軽く足を開閉させると、あそこからじゅるじゅると液体がしたたたれてくる。

実は俺のむすこもさっきからズボンを突き破りそうな勢いで暴れていた。知らずうちに手がチャックを開けて慰めていたのだ。

もうそろそろ頃合いだろう。女子連中を机から降ろし膝をついて床に座らせた。

 

「いまからご褒美をあげますから、口をあけて受け止めてください。とてもおいしいジュースがでてきますよ。」

彼女たちは顎をあげてから口を軽く開き受け止めやすい格好をとった。

男子には、

「さぁーダンサーの周りに集まって、これから今日の射精大会のフィニッシュを行います、

今日は、とても出がよくてあとからあとから出てくるぞ、思い切り絞り出していいぞ」

やっと許可をもらった連中は我先に女子の前に飛び出して、雄叫びをあげた。そのとたん、彼らの先端から透明な乳白色の固まりが、女子の顔めがけて飛んでいった。さすが人気No.1の倉沢さんは一番飛んでくる量が多いようで、あっと言う間に顔中白いドロドロで埋められていった。倉沢さんは顔についたものを舌をのばしてなめずりしている。彼女にとってこれはとてもおいしいジュースなのだ。他の女の子も飛んできたものを少しでも受け止めようと舌を突き出している。体についたものは、手ですくい取って口に運んでいる。そしてだんだんと彼女らの体がてかてかとしてきた。俺はというと、一番に倉沢さんの顔めがけて発射していた。昼休み校長としたばかりだったが、しっかりと貯まっていて、かなりの量が倉沢さんの口に中へと入っていった。俺だけちょっと特別に先っぽの掃除をしてもらったのは、いうまでもない。そろそろ後始末だ。女の子には残ったザーメンをお互いになめっこさせてきれいにさせた。必然と絡みながらその行為をおこなうので、非常に女の子同士の隠微な世界が繰り広げられた。

男子にはさっさとしまわせ、机などをかたづけさせた。

「きょう、ここで君たちはミロのビーナスの写生をしました。しかし、思うように筆が進まず、完成しませんでした。でも上原先生といることはとても気持ちいいことです」

今の出来事を忘れさせ、別の楽しいことをインプットしておく。特に倉沢さんには、

「モデルになることはとても気持ちいいことです。また上原先生に頼まれたら気持ちよくひきうけます」

と、暗示を入れておいた。

「じゃ、みんな私が5つ数えると、普段の自分に戻ります・・・・1つ、2つ・・・・・・・5つ、はい!」

こうして美術部の連中はすがすがしい気持ちで放課後のひとときを過ごしたのであった。

・・・・・

そのちょっと前、園田は音楽準備室に向かっていた。

昨日の出来事が気にかかっていたので、藤原さんになにが起こったのか確認に行く途中だった。

美術室の前を通ると、カーテンがしかれ、中が見えないようになっていた。

「なにやってるんだ?」

気になった園田は美術室の戸に手をかけた。ところが鍵がかかって開かない。先を急ぐ用事もあったのでそれ以上の詮索はせず、音楽室へ向かった。

音楽室には藤原さんが来ていた。後催眠で放課後はここにくるように暗示してあるので探す手間がかからない。

ところが、今日は藤原さんだけではなく、音楽の後藤先生もいた。

「ちぇ、どうしたものか」

いつもの園田なら危険は犯さず、引き上げるところだが、昨日の出来事がどうしても気になっていたので、何とかしようと考えた。

しょうがない、あれをやるか。

幸いなことに先生はこちらに気づいていない。藤原さんはもうキーワードを植え付けてあるので、別に気にする必要はない。

音楽準備室で二人して打ち合わせをしているのだろう、入り口からは死角になっている。物陰に隠れなから先生に近づいていく。そして、射程にとらえるやいなや、後ろから先生の肩を引き倒す。そして、すかさず、

「はい、あなたは眠くなる! もう目が開けられないほど眠くなる!」

と暗示を入れた。そう、驚愕法を試したのだ。催眠の勉強をするなかで何回かお目にかかった手法であるが、完璧をきす、園田にとってはあまりリスキーな方法は採りたくない、それで練習では何度かやったが、実践では初めてである。でもかなりの熟練者の園田にとってはあまり関係なかった。後藤先生はあっさりと園田の手に落ちた。目を閉じたままいすに座ったままになってしまった。藤原さんは突然の出来事に声も出せず固まったままだったが、相手が園田とわかったか、園田に向かって

「園田さん、なにして・・・・」

そこまで言いかけたとき、

「踊るピアノ」

と園田がキーワードをはなった。

一瞬で体の力が抜けたようにだらんと肩を落とす。目もうつろになっている。

「藤原さん、あなたは私の操り人形に戻りました。」

「はい、わたしはあなたの操り人形です。なんなりとお申し付けください」

これで、騒ぎ出す心配はない。後藤先生は目を閉じたままだが、これでは誰かやってきた場合まずい。

「後藤先生、これから私が3つ数えるとあなたは目を覚まします、でもそこに誰がいるか、何の話をしているか、まったく理解できません、席を立つこともできません、時々わたしが相づちを求めたときに軽く頷くことだけになります」

こうしておけば、はたから見れば机を囲んで会議をしているように見えるだろう。

「はい、3・・・2・・・・・1!」

こうして後藤先生は、座っているだけの存在となった。

やっと本題に入れる。藤原さんに向かって放課後なにがあったのか確認しなければ。

「藤原さん、あなたはこれから私の質問に素直に答えなければなりません。包み隠さず真実を言うことがあなたにとって幸せなことです」

「はい、すべてをお話しします。」

「それでは、昨日の放課後、私と一緒にいたことは覚えていますね。」

「はい」

「私がいなくなったあと、誰かやってきましたか?」

「上原君が来ました」

これは容易に推測できていた。帰るとき一緒にいたからだ。

「上原君はあなたに何かしましたか?」

「何か私に向かってぶつぶつつぶやいていたと思いますが、何を言ったかは覚えていません。」

「それから」

「私を見てにやにやしていたと思いますが、その笑顔がとてもよかったです」

「そして」

「それから、一緒に学校を出て、彼が降りる駅までずっと話し込んでいました。」

「何をはなしましたか?」

「そういえば、園田さんのことをしきりに聞いていました」

自分の名前がでてきたのでぴくりとした。

「園田さんのどんなことを聞いていた?」

「初日、一緒に帰らなかったのかとか・・・」

「それでどう答えましたか?」

「もちろん、一人で帰ったのでそう答えました」

園田はもちろん知っていた初日は彼女を誘って帰ったのだから。

そして、隙を見て暗示をかけ、操り人形にして、このことは忘れて一人で帰ったことにしておいたのだ。

彼女はまさしく園田の意図したとおり行動していた。

それにしても上原の奴、俺の何を探ろうとしているのだ。

「他に聞いたことは?」

「家族のこととか、好きな食べ物とか、音楽とか」

「それにはどう答えました?」

「ええ、上原君と話すのはとても楽しいので、なんでも話しちゃいました」

こう答える藤原さん顔はうれしそうな表情で、その場がよほど楽しかったことが想像できそうだ。

この表情に反比例して園田の顔は険しくなってくる。

「なんだあ、上原の奴、俺がつばつけた藤原さんになれなれしく近づきやがって!」

上原に対するライバル心がメラメラとわき上がってくる園田であった。

藤原さんに何をしたかは定かではないが、昨日の下校時にかなり彼女と親しくなったのは間違いない。ただ、この親密さはまるでラポールのようだな。自分で考えついてはっとした。もしかして上原の奴、俺と同じことをしたのでは?そう考えていくと、彼女のいましゃべったことのつじつまがつくような気がした。

もう少し、彼の身辺を探る必要があるな。上原が催眠を使うという確証はなかったが、念のため園田は藤原さんにその暗示を仕込み始めた。

「藤原さん、大事なことだからよく聞いてください。もしあなたに私以外の誰かが暗示をかけようとしたら、その場はかかりますが、そのことはどんなに忘れなさいと暗示されても、心の中ではそのことを覚えていて、私がそのことについて思い出すように言うとその場の出来事がすらすら湯水のようにあなたの口から出てきます。いったん言ってしまったら忘れてしまっても大丈夫です。そして私がこう指示したことや、ここでも出来事はあなたの記憶から全く消えてしまいます、目が覚めたらとても気持ちよくすがすがしい気分になります。園田さんの言うことは正しいことばかりだから、何の疑問も持たず行動してください」

忘却暗示もしっかり与えてから彼女の催眠を解こうとした。あっ後藤先生はどうしよう。彼女も俺の操り人形にしてやろう。学園内に仲間を多いほどいいからな。藤原さんと同じキーワードを与えておいた。藤原さんは一緒に帰るとしても後藤先生は、この場で楽しんでおいても悪くない。音楽の先生だから笛でも吹いてもらおうか。

 

後藤先生ははっと気がついた。そばには藤原さんがいる。そうだった! 放課後藤原さんにあるとリコーダーのレッスンをする約束だった。藤原さんはピアノ専攻であったが、リコーダーにも興味があると言っていた。

「さあ、始めましょうか」

「先生、リコーダーはどうしましょう?」

そうだった、準備してくるのを忘れていた。確か、この準備室にあったはずだが、、、、あたりを見渡すと部屋の隅に特注のリコーダーが置いてあった。これは、確か特注品で、吹く方法が違ったはずだ。そう、自分が跪いて高さを調節しなければならないのだ。面倒だけど、こうすることでいい音が出るのでしかたがない。

「それじゃ、始めるから最初は私がやるのをみておいてね」

「はい」

と藤原さんはうれしそうな返事をする。

「まずは、どうの部分をこうもって・・・それから先はこのようにくわえて」

と、実演しながら説明していく。

リコーダーの先っぽをくわえると、塩味がする。前使った人がちゃんと拭いていかなかったのかしら。でも今日の練習にはささいなことだわ。

「舌で先端の穴を小刻みに押さえるように吹くのがタンキング、こうすることでメリハリの利いた音が出せるようになるの」

と、説明してから実践する。すると、舌の動きにあわせるようにリコーダーが「うっ、うぅ、うっ」と音を出す。

次は別の曲法(テクニック)の練習だ。

「藤原さん、このリコーダーはふつうのとはちょっと違って、先端を深くくわえ込むことでいい音が出るように設計されているの。そしてくわえたら自分の顔を上下に動かしながら、息を吹き込むわけ、そのときにさっきのタンキングをくわえてもおもしろいわ」

そう説明するとしっかりと胴の部分を押さえて、深くくわえて動かし始めた。唾液がリコーダーにからみついてだんだんと滑りがよくなってくる。そうしているうちにリコーダーから「あーー、うーーー、くーーー」などとさっきより高いいい音が出るようになった。そして、不思議なことにリコーダー自身が大きくなったような感じがして、そりがきつくなってきた。

藤原さんがこの様子を見て

「先生、リコーダーが生き物のようにどくどく波打ってます、先生の演奏テクニックってすばらしいですね」

そうなのだ、このリコーダーさすが特注品だけあって演奏者の動きに敏感に反応する優れものなのだ。藤原さんにテクニックをほめられて悪い気はしない。

ますます、力が入って激しく吹いた。すると、また一段と先っぽが大きくなって熱くなってきた。

突然、口の中にゼリー状の液体が飛び込んできた。なんだかにがい、でもいやな味ではなく、癖になりそうな味だ。どんどん私の口の中に入ってくる。いつの間にか条件反射的にそのゼリーを飲み込んでいた。それどころか、私は口をすぼめて先端の穴からゼリーを絞り出していた。そうすることがとても気持ちよかったのだ。

藤原さんはその様子をうらやましげに眺めていた。舌がしきりに唇をなめている。手も股間あたりでもぞもぞしている、

ゼリーが一通りでなくなると、それから口を離した。さっきまで反り返っていたリコーダーは急速に固さを失い、だらんと垂れ下がっていった。

「藤原さん、このリコーダーは一回使うと、しばらく時間をおかないと使えないって聞いたことあったわ。次は藤原さんに実習してもらおうと思ったけど、もう時間ないわよね」

「先生のすばらしいテクニックを拝見できただけで十分です、実習はまたの機会にお願いしていいですか。今日は貴重の時間いただきましてありがとうございました」

「そうね、わたしもなんだか口が疲れたわ。久しぶりに本気出したって感じかな」

とピンク色に染まった顔で言った。

「あっ、そう言えば園田君は?」

「いやだなぁー、先生」

突然、園田君の声がする。

「私も先生の名演奏、途中から見せてもらいましたよ。ほんとすばらしいですね。感じ、いや感動しましたよ。」

そうだ、園田君も藤原さんを探しにここへ来ていたのだ。

「じゃ、先生。今日は失礼します」

と、藤原さんと園田君が音楽準備室を後にした。さっきの演奏はとても充実していた。園田君も好青年だし、また園田君の前で演奏したいな、と思い出し笑いをする後藤先生であった。

<つづく>