| HOME → 『1時間10分パート2:ジェニファーとの5回のセッション』 by デボラ・ミトニック |
ジェニファーとの最初のセッションの後、どんな事があったのか皆さんにお伝えしようと思います。
今日まで5回のセッションの間に、私がジェニファーと会ったのはトータルで7.3時間です。最初のセッション、つまり1時間10分間のセッションを除けば、それぞれのセッションは平均して1時間30分でした。
ジェニファーは、2回目のセッションの最中に私に「この2年間ずっとテレビを見るのが本当に恐かった、何故ならコマーシャルを見ても暴力について思い出すから・・」と語りました。彼女はどんな番組を見ても過去のトラウマがフラッシュバックしたと言いました。私達はこの問題についてタップしました。(この結果はパート3でお話します)
彼女はまたPTSD(心的外傷後ストレス障害)という診断を受けた自分自身を厳しく非難していました。彼女は、PTSDという診断を下された事が原因で、自分を“不健全な”人間だとみなしていて自分自身を非難していました。「この病気のために自分を許すことがとても難しいです。私がPTSDを抱えているなんて、自分がそんな弱い人間だという事を受け入るなんて出来ないわ。」と言いました。
今こそ彼女を教育する時だと私は思いました。そしてPTSDについて、それは「アブノーマルな出来事に対しての通常の反応」なのだと彼女に説明しました。(この定義は、ジェフリー・ミッチェルのモデルから私が受けた“重大事態のストレスの記述”(CISD)トレーニングからのものです)私達はたくさんの人達が経験する典型的なPTSDの症状のいくつかを検討しました。この指導は彼女の良い助けになりました。この数年の間、彼女の自分に対する反応が正常なのだとみなす人は誰もいませんでした。勿論、ジェニファーは一般的なPTSDのリストには合致しない酷い症状をいくつか持っていました。彼女は、PTSDの症状を悪化させるようなコンディションに既にあったのかも知れません。しかし彼女はいくつもの酷いトラウマに苦しんでおり、典型的なPTSDの症状も持っていたのです。
PTSDは、『DSM−W』(アメリカの精神医学診断のマニュアル--訳者)に載ってはいますが、私は個人的に、これを“精神状態”の診断なのだとは思っていません。私はPTSDは、ほとんどの場合、アブノーマルな出来事に対する正常な反応だと信じています。そして、私はクライアントにそのように説明しています。
私達がPTSDの症状について検討しているうちに、彼女は解放された表情をしました。彼女は「これらの症状は私の事を説明しているわ!このトラウマがある前は、このような症状のほとんどは経験した事がありません。私がこんなに恐ろしく感じはじめたのは、まさしくあの恐ろしい出来事の後からです!」と語りました。
さあ、このように私達はいくつか学びました。しかし、彼女はまだ自分をきびしく非難していました。「このような症状を持っていて、しかも、そのほとんどが正常だなんて何年も気づかないでいた自分自身をどのようにこれから許す事が出来るというの!?」と語りました。そこで私は彼女に尋ねました。「あなたは許すということをどんな風に見ているの?」ジェニファーは言いました。「私は今までどんな事でも自分を許した事なんて無いわ」
ああ!
私は彼女に尋ねました。「あなたが思い出す事が出来る、一番最初に自分を許さなかった時はどんな時だったの?」この質問によって、彼女は泣きながら彼女が3歳だった時に起こった出来事を述べ始めました。私達は2回その出来事を振りかえり、SUDは10から1になりました。
それから彼女は「本当に気分が良いです。これは私にとって非常に大きな問題でした。きっと私はいま変わったと思うわ。もう何も恐がる必要はありません。私は本当はどうあろうと素晴らしい子供だったんです。今までこのような事は声に出して言えなかったけど、今は言えます。」と言いました。
ジェニファーはセッションを続ける事を望みました。彼女は睡眠の問題を話したいと望み、何年もぐっすり眠れたことがなかったと報告してくれました。彼女は夜中頻繁に目覚め、目覚める度にハッとしてパニックを起こしていたのでした。彼女は毎晩ベッドに入る前に30mgのバリウムを飲み、更に20−30mgを目覚めると飲んでいました。彼女は又目覚めると甘いものがとても欲しくなると報告してくれました。
私はこの睡眠の問題に対してどのようにSUDを測ったら良いか分からなかったので、この問題について1ラウンドだけやることにしました。彼女はその結果について次のセッションで報告してくれることになっています。(この結果は以下に述べられています)
そこで、長いアファメーションを使い、「睡眠の問題」「夜中に目覚めること」「甘いものへの欲求」などをタップしました。
そして2回目のセッションは終りました。
3回目のセッションはこのように始まりました。
ジェニファーは睡眠に関して「眠る事について私達がワークした後、もう余分な薬はいらなくなりました。そして夜の間、ぐっすり眠る事が出来ました。15mgのバリウムを飲んだだけです。眠りに関してあれ以上タップはしませんでした。素晴らしい解放感です!」
ジェニファーのTVに関する報告:「私は今、TVで恐いサイコ・スリラーを見ています。でもその番組に全く悩まされることはありません!今は大した問題じゃなくなりました。このようなたくさんのスリラーを私は持っていますが、それを今まで見ることが出来ませんでした。でも今私は見ることが出来るんです。」
私達はそれから何年も彼女を悩ませてきたトラウマのワークをしました。それは彼女に対しての言葉による死の脅迫も含んでいました。その脅迫の言葉のいくつかは、壊れたレコードのように彼女の頭の中で繰り返し響き、彼女を怖れさせていました。この言葉は何年も彼女の頭の中でぐるぐる鳴り続いていたのです。私は彼女のSUDレベルがそんなに高くないのに気づき、その事を彼女に尋ねました。彼女は「もし私達が最初のセッションの始めにこの事を話し合ったら、私は話すことが出来なかったと思います。でも今は楽に話すことが出来るわ」と言いました。しかし、私達はこの言葉がまだ彼女を悩ましているので検討しました。でも彼女が「もう今は彼(脅迫した人物)が何を言ったか思い出すことさえ出来ないわ。何年も記憶し続けたのに」と言うまで、EFTを行なった2,3分以上時間はかかりませんでした。
うーん。私の経験では人がEFTで記憶を忘れてしまう事はありません。その代り、彼らはその記憶に結びついた感情の強さを持たなくなるのです。そこで、私は加害者が言った言葉はどんな言葉だったのか尋ねました。案の定、彼女はその言葉を思い出しました。彼女は何の困難もなく、その言葉を口にしました。私はもっと感情を込めて声を大きくして彼女に言わせました。・・・何の感情の高ぶりはありませんでした。私は、加害者の顔を彼女が言う時にイメージさせましたが、ここでも感情の高ぶりはありませんでした。
このセッションはほぼ終了したので、彼女にこのセッションで一番有効だった事、最も有効ではなかった事を尋ねました。彼女は最もこのセッションで有効だったのは、「PTSDの症状を持っている自分自身を許し、受け入れる事」だったと語りました。(彼女がもうPTSDを彼女の人格と同等とみなしていない事に気づいて下さい。彼女はもうPTSDを抱えていません。彼女は今やPTSDの症状のいくつかを抱えているに過ぎないのです。これは大きな違いです。しかし、彼女は微妙な表現でそれを表現しています。私はそれに関しては触れないでおきました。私にはそれを彼女に指摘する必要性を感じなかったからです。)
このようにして3回目のセッションは終了しました。
4回目のセッションの始めに、ジェニファーは私達が最後に話してから「1日だけ調子が悪い日」があったと報告しました。
彼女は再びPTSDを抱えていることで自分を厳しく裁いていました。私はその理由を尋ねると、彼女は最も恐ろしいトラウマがあった後、ずっと下痢に苦しんでいて、時々下着を汚してしまうことがあったのだと語りました。その事で彼女は自分に対して不愉快な感じを抱いていたのです。
私は普段なら使わない言葉を使って、以下のようにワークすることにしました。私は「それじゃ、あなたはその出来事(トラウマが生じた体験--訳者)によって、くそも出ない位恐い思いをしてきたのね?」(原語はscared shitlessです。これはひどくびっくりするという意味ですが、くそという発音が含まれるので女性は普段あまり口にしない言葉です。--訳者)と言うと、彼女は笑いました!そして、「私はあの出来事によってずっとくそも出ないほど恐い思いをしてきたけれども、私は自分自身を心から完全に受け入れたい」と言ってタップしました。(私が、「恐い思いをしている」と「この出来事」という言葉の代りに、「恐い思いをしてきた」と「あの出来事」という表現を選択した事にも気づいて下さい。私は、この表現を選ぶ事によって、彼女がトラウマとほんの少し距離をおけるようになれたと考えています。この表現は現在ではなく、過去の「あの時」にトラウマを位置付けているのです。)
彼女は、このセッションでもっとも有効だった事は、下痢の問題に取り組んだのと、このような肉体的な煩わしさもPTSDの症状の1部であると理解出来たことだと言いました。
5回目のセッションの日、ジェニファーはあの日以来下痢の問題は無くなったと報告してくれました。そして1回の下痢が、彼女が就職面接に行くのに“少々ナーバス”にしている原因であると思うといいました。
就職面接ですって???
ここに何年も社会的に無能力で、仕事を出来るとは思えなかった1人の女性がいます。そして、今、彼女は翌日に控えた面接試験の備えて援助を求めて電話を私にしているのです!
今、私が彼女と話して以来(電話で)2週間の間に、彼女は夜の間眠れるようになり、薬の量は減り、簡単に外出し、再びピアノを弾き、他人に対していらいらしなくなるのに気づき、今は忙しく面接の準備をして、より笑うようになっています。彼女はトラウマを鮮明に思い出しますが、それに関して不快な感情の高ぶりは全くないか、あったとしてもほんの少しです!
私達がどの位一緒にワークしたかですって?7.3時間です。
原典
http://www.emofree.com/trauma/anhour.htm
デボラ・ミトニック
DEBORAH G. MITNICK, LCSW-C
http://www.trauma-tir.com
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