2004年

5月30日

真夏のような陽気。30℃を超えたようだ。昨夜の本番&打ち上げ疲れ(帰宅は午前1時過ぎ)と暑さのせいで、かなりダメージ強し。

友人(Sax界のネットアイドル某嬢…といってもこないだ結婚したのでもうネットアイドルは返上か?)の出演している蕨フィルハーモニック・ウィンズを聴きに出る。会場の蕨市民会館というのが、なんだか妙に懐かしい雰囲気というか、高校生の頃から二十代のほぼ全ての期間にわたって自分のホームグラウンドだった蒲田の大田区民センター(最近アプリコという新しいホールが出来たけどそれではなく、富士通シスラボの裏手にある古いホール)とそっくりで、なんだかタイムスリップしたような感じ。
蕨フィル、実はむか〜し(時代が昭和だった頃)私もバリサクのお手伝いで乗せていただいたことがあるのだが、さすがにその頃のメンバーはほとんど残っていないようだ。つうか、そもそも当時はこんな「濃い」音してなくてもっと普通のバンドだったんですけど(^^;。

行き帰りの電車の中で、石井宏『反音楽史』(新潮社)を読了。
面白い本だった。ただ、謳い文句のごとく「音楽史の常識をぶっ壊す」程のものでは今更ないように思う。
著者石井宏の述べていることは2つ。J.S.バッハ(音楽の父)→交響曲の父(ハイドン)→モーツァルト→ベートーヴェン(楽聖)→ロマン派→近代・現代、という、学校で習った「正統的な」西洋音楽史観は実はドイツ人が捏造したものだ、というのが1つ(18世紀以前の音楽の本場は圧倒的にイタリアであり、そもそも「音楽」とはオペラのことであり、バッハもモーツァルトも当時の国際的尺度では無名に近かった)。もうひとつは、そもそも「高尚な」「クラシック」音楽とそうでない音楽の違いなど存在しない、音楽は音楽だ、ということ。
今の時代、クラシックが高尚な音楽だ、なんて信じている人って(少なくとも私より若い世代で)果たして存在するのだろうか?とも思うが、少なくとも前者の音楽史の常識に関しては、学校教育のおかげでいまだに信じ込んでいる人というのは多いだろうなとは思う。そういう意味では新潮社お得意の、「世間一般の了解に異を唱える」系の出版物ではある。
ただ、この著者独特のアジテーション気味の口調が、内容の率直な了解に水を差してしまうところがなくもなく、残念だ。(…高校生の時習った、マルクス主義かぶれの若い日本史の先生の授業を思い出した。今にして思えば、ひとつの史観に裏付けられたなかなかハイレベルな、ある意味大学の講義みたいな授業だったような気もするのだが、生徒のほうは醒めたもので、「親ソ教師」などというアダ名を奉っていたのだった…)
むしろ、18世紀以前に活躍した有名無名の音楽家たちの生きざまのリアルな活写や、エピソード集として無類に面白いものがあった。バッハやヘンデルやモーツァルトが、奉職先の宮廷で貰っていた給料の細かな額とかね。

帰宅途上立ち寄ったレコファンに、上松美香テソリート(Seven Seas)の中古盤が2100円で出ていたので買った。まあ、ワタシが普段買うような種類のCDではないんだけど、わが師匠K氏が1曲参加しているという話は前々から聞いていたので、いつかは買おうと思っていたのだ。

5月も終わりだ。最近聴いたCDを一気ご紹介。
湯山昭/人生は輪舞〜作曲活動50周年記念ガラコンサート・ライブ(King) 湯山さんについてはこちらでも紹介してます。昨年9月のこのコンサートは私も聴いていた。たまたま須川さんが出ていたせいでこの演奏会があることを知ったんだけど、別にそれが目当てという訳でなくとも充分楽しいコンサートだった。池田直樹さんの歌う『電話』には大笑いしながらブラヴォーを叫んだっけ。秋のはじめの幸福な1日の記憶。

ディーリアス/春かっこうの初音を聞きて、他 ロイド=ジョーンズ(指揮)(Naxos) 新時代のディーリアスだ。デュトワ=モントリオールのドビュッシーみたいなもんか。ジャケットの絵が、子供の頃よく遊んだ多摩川台公園の中の一角とそっくりで、思わず買ってしまったというのはある。

モーツァルト/教会ソナタ(全17曲) マリー=クレール・アラン(Org)(Erato) 7月の雲井雅人サックス四重奏団リサイタルのプログラムの中にモーツァルトの「3つの教会ソナタ」というのがあって、恥ずかしながら知らないジャンルの曲だったので、エラート・アニヴァーサリーシリーズにあったアランの全曲盤を買ってみた。要はオルガン協奏曲なんだけど、ケッヘル番号2桁の少年時代の曲から、円熟期のピアノ協奏曲の第1楽章みたいな後ろの番号の曲まで、1曲3〜4分でよりどり揃っており、モーツァルトの年代別作風のカタログって感じでいいかも。

ジェラール・プーレブラームス/ヴァイオリンソナタ全3曲(Arion)。 ジェラール・プーレは私の大好きなヴァイオリニストだ。1938年生まれ、ドビュッシーのVnソナタを作曲者のピアノで初演した伝説の名手ガストン・プーレの子息。いかにも弦引っ掻いてます、みたいなきつい音の一切ない実になめら〜かな、サクソフォンみたいな音で、なんだかブラームスじゃないみたいだ。

ブーレーズ/クリーヴランド管「クープランの墓」ほかラヴェル、ドビュッシー集(DG)。 ブーレーズのドイツ・グラモフォンへのドビュッシー、ラヴェルの録音はこれでほぼ完結したことになる。ドビュッシーの『噴水』と『フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード』という2つのオケ伴歌曲がすばらしい。競合盤があまりないせいかな。競合盤の多い『クープランの墓』はいかにブーレーズといえどもちょいと厳しいか。
ちなみにブーレーズのラヴェルは、CBSへの旧録音のほうを評価する人が多いようだが、私は残念ながら聴いたことがない。ドビュッシーも同様のようだが(ドビュッシーは新旧両方聴いたが)、私は概ねDGの新盤のほうが好きだ。

5月29日

東京リサーチ合奏団本番。
全席完売(*o*)。ご来場の皆様、ありがとうございます。

舞台上は5年ぶり2度めの東京芸術劇場。客として聴いているとそれほどでもないんだけど、演奏する側として乗ってみると、吹きやすいしよく聞こえるし見晴らしは良いし、実にいいホールだ。コンサート専用ホールなので、普通の多目的ホールには必ずある「反響板の裏の薄暗い舞台袖」というのがなくて、明るい廊下から直接ステージに出られるのが、新鮮。

リハーサル進行中(降り番のラフマニノフ)
ステージ上の自席よりオルガンを見上げる

 

5月28日

ベルティーニ=都響のマーラーシリーズ最終回、交響曲第9番を聴く(埼玉会館)。

すごい演奏だった。このシリーズの演奏はどれも素晴らしかったけれど、今回はまさに「異常」と言ってもいい特別な熱気と集中に圧倒された。自分が今しがた聴いたものが信じられない思いがしている。あれはいったい何だったんだろうか。特に、灼熱したような(本当に!)弦の音で始まった終楽章、すべてこれ以外のありようは無いような様相で音が置かれながら、永劫の訣れのような静かな静かな終結へと至る。無粋な空調の音が残念。

ベルティーニ爺さんともこれでしばしのお別れだ。音楽監督を退いた後も、桂冠指揮者として客演の機会はあるとのことだが、いつのことかな。現時点で時期未定ということは、来年ということはないだろう。…全く、なんという寂しい結末だろう。これだけの大指揮者を「音楽監督」というポストに迎えながら、こんな中途半端な形で終わってしまうなんて。

このシリーズの演奏会を聴くだけのために、世紀をまたいで計10回通った浦和の街を、火照った頭を冷しながら、歩く。10回も来ればさすがに、食事処や休憩スポットもいろいろ物色して探し当てたものだが、もう当分は来ることはないだろうな。
そんな店の一軒、洋食屋の「丸味亭」で、明日の本番に備えステーキを頂く。縁起かつぎみたいなもんで、大きな本番の前夜はステーキを摂取することにしているのだ。
さてさて。明日は私のほうが「音楽」を提供する側に立つ訳だが。…

5月16日

雨の中、リサーチの練習へ。今日の練習会場は小学校の体育館(ピアノ協奏曲の合わせのため)。
本番が近づいて、大編成の充実した響きが快い。オリジナルスコア通りティンパニ2セット使用、特殊楽器満載の『惑星』も面白いけど、とにかく吹いていて快感なのはR.シュトラウス!のほう。勿論、指は難しいんだけど、こういうハーモニーとサウンドって「普通の」吹奏楽では絶対に味わえないな。

今回の私の出番はソプラニーノサックスなのだが(指揮者の近藤センセのオリジナル編曲)、吹いていて何かとっても物足りないというか、忘れ物をしたような心地の悪さがあるはいったい何なんだろう(楽器は軽いし吹くところもいつもに比べれば少ないんだけど、でもそれだけではなく)、とずっと考えていたら、やっと思い当たった。ストラップが無いからだ。サックス吹きにとって演奏時のストラップというのはどうやらほとんど身体と一体化しているものらしい(そういえば高校3年生のとき、合宿で「サックスパートは全員就寝時以外はストラップ着用の事!」などと最上級生権限で命令を出してパートの結束を図った、なーんてことをしたなぁ〜…、と遠い記憶が甦る)

練習終了後はテナー吹きのH君がマウスピースとリガチャーを選びたいというので、久々に渋谷のアクタス(今はセルマージャパンというのかな)へ。たちどころにマウスピースはC*とS90-180が10本ずつ、リガチャーはバンドレンOptimumが4個、BGのTraditionalが7個も出てきたところがさすが。1時間近くかかったが、結局S90-180とOptimumという、自分のいつものtenorのセッティングと同じになってしまった。

店頭で松雪明氏のソロアルバムFantasie(Aurora Classics)を発見。4月に発売されていたらしい。知らなかった。即座に買ったのは言うまでもない。
家に帰って何気なく聴き始めて、冒頭、C.Ph.E.バッハのソナタ(J.S.バッハのBWV1020)の前奏の流麗で美しい、確かな存在感のあるピアノの音にハッとさせられた。エッ、このピアノ誰、と思って改めてジャケットを見たら白石光隆氏でした。なるほどねぇ。松雪さんのSaxも、明るいけれど中間色系の独特の音色で、神経質にならない繊細さとでも言うのかな、大変好ましい。最後のピアソラ(オブリビオン)は須川さんとはまるで別の曲のようだ。

5月15日

休日。良い天気だった。「なめら〜か」練習。今日は出席者4人。うーむ。メンバー入替え再出発の団内カルテットのソプラノ代吹きで、『ティータイムの画集』を吹く。…更に「うーむ」、って感じ。ちょっと前途多難、かも(^^;。
解散後はみなとみらい線〜相鉄線を乗り継いでユース・ウィンドオーケストラの演奏会へ。会場は海老名市文化会館。ここは私のユースwo.在団当時のホームグラウンドだけど、客として座るのは久しぶりだ。

C.T.スミス、アッペルモント、ギリングハム、コンクール課題曲より2曲、メインプロは『ローマの松』。選曲の傾向は変わってないなあ。昔に比べて、鎌田さん(常任指揮者)の曲と団員指揮の曲の仕上がりの落差がずいぶん小さくなったのは良い傾向だ。…しかし、なんというか、良くも悪くも「普通の」バンドになったなあ、と思ってとめちゃん氏(当初これにも乗る予定だったがまたも仕事のため断念)にそのようにメールしたら、「あそこは俺が居なけりゃ普通のバンド」という返事が来た(^^;。

5月14日

東京シティフィルのフランス音楽シリーズ第9回(東京オペラシティ・タケミツメモリアル)。指揮は矢崎彦太郎

このシリーズにしては「普通の」プログラムだ。しかしラヴェルのコンチェルト2曲続けてというのは滅多にないが。
今日も仕事が長引き、会場着は開演35分オーバー。「展覧会」が聴けりゃいいやと思ってたら、恒例の指揮者幕間トークを1曲め終了後やっていたので2曲めから聴けた(ピアニストの右手のコンディションづくりの為らしい)。長髪の若いピアニストだが、音楽は意外とオーソドックス。細かいところはいろいろあったが、悪くなかった。あとは音色にもう少しだけ魅力があったらなあ…。アンコールにラヴェルの『子供と魔法』より「5時のフォックストロット (Five-o'clock Foxtrot)」を弾いた。終演後のロビーのアンコール曲掲示には「5クロック」とだけしか書いてなかったが、これだとなんだか目覚まし時計が5個並んでるみたいだぞ。
休憩後の「展覧会」。大きいところは大きく、速いところは速く、歌うところは歌う、わかりやすくストレートで、しかも結構感動的な演奏で、さすがと思った。オーケストラも熱演。
「古城」のSaxソロは波多江さんでした。たしか一昨日ご自分のリサイタルだったはずだが(行きたかったのだがその日は11時まで仕事をしていた)。てことは昨日1回のリハーサルなのかな。いかにもフランス仕込みという、温度の低い感じの美しい音色だったが、音量的にはもう少し控えめなほうが私の好みではある。これはこれで矢崎さんのスタイルには合っているけど。

拍手に応えて、アンコールに『クープランの墓』のメヌエット(オーボエ奏者さん御苦労様)。矢崎さん腰を振り振り指揮をしていたのだが、終わって袖に引っ込む時にはなぜか足を引きずりながら辛そうに歩いて行った。ノリすぎてギックリ腰をやったのかな。オーケストラも慌てて解散。最後はちょっとハプニングだった。大丈夫かしらん。

5月13日

都響定期を聴く(サントリーホール)。

ここのところずっと仕事が忙しくて連日午前様だった。今日は少しは早く帰れるよう調整していたのだが、それでも1曲めは間に合わず。せっかく、今年度限りで都響音楽監督の職を退くガリー・ベルティーニ登壇の最後の定期公演だというのに。
モーツァルトは猛烈に速い演奏だった。それも古楽系の若い指揮者みたいな頭で作った速さではなく、とにかくワシはこの速さでやるのじゃーっ!みたいな。…しっかしベルティーニさんって、今年77歳(喜寿)なんだよねえ。ヨーロッパやアメリカの爺さん達のパワーには、いつもながら全く圧倒される。
休憩後のフランス近代物はベルティーニの独壇場。フルネさんの演奏よりは鋭角的だけど、濃厚な色彩感とリズムの明快さはまさに第一級の演奏だ。見事なフラメンコ奏法を披露したカスタネット奏者や、『イベリア』の「祭りの日の朝」の最初で全員揃ってギターのように楽器を前に抱えてピッツィカートを弾いたヴァイオリン群など、見せ場にも事欠かない。終演後は凄く盛り上がり、スタンディング・オベイションも何人か見られた。…ちょっと客の入りが悪いのが気になった。みんな(あと2プログラム・5公演ある)マーラーの方に流れたのかな。

5月5日

リサーチの練習へ。この連休の間に、合宿と本拠地での練習を両方こなしているのである。ご苦労さんです。

練習の最初は降り番のラフマニノフ(ピアノ協奏曲第2番)なので、遅く行ったところ今度はちょいと遅すぎて、出番の『惑星』が始まって大分経った頃だった。慌てて合奏に加わる。
「海王星」では女声合唱との合わせ。合唱メンバーは楽団員だけでほぼ一杯の狭いスタジオの中で、とりあえずとにかく「立てる場所」に陣取って歌う、という感じで、まだ本格的なリハーサルというにはちょっと至らないというところ。
今回バスサックスで出演予定のとめちゃん氏が来ていた。音の輪本番を仕事で潰したとめちゃんだが、今日はこのGW中唯一の休日なんだそうだ。いやはや。…今回の演奏会はとめちゃん以外にも私の交友関係の中から何人かのエキストラをお願いしている。なにしろ第30回の記念演奏会、会場が東京芸術劇場ということで、R.シュトラウスの祝典前奏曲(オルガンとオーケストラのための)、ラフマニノフ、ホルスト『惑星』と、曲は吹奏楽とはとても思えないし乗る人数は多いし合唱はあるしピアノソロはあるしオルガン(勿論会場のパイプオルガン)は使うし、というほとんど「なんでもあり」状態で、本番はいったいどういうことになるのか、もうあと1ヶ月を切っているというのに未だにうまくイメージが出来ずにいる。
本番は(トップページからリンクしているが)5月29日。興味がおありの方は是非どうぞ。

  唐突ですが閑話休題。ギネスブック認定・世界で最も短いエスカレーターとやら。
(川崎・岡田屋モアーズ地下入口)

 

5月4日

2日3日と、東京リサーチ合奏団の合宿で西湖へ。まる1日パート練習指導、夜は飲み会。ふう。

夜遅く帰京、明けて今日は、義母の参加しているクール・コメールという女声合唱団の演奏会の動員で、横浜みなとみらい小ホールへ。
萩原秀彦、中田喜直、磯部俶、團伊玖磨という(神奈川ゆかりの?)4人の物故作曲家の特集。ママさんコーラスというにはなかなか本格的な合唱で、みなとみらい小ホールの美しい響きもあって気持ちよく眠りこけた(^^;。女声というのは要するにお母さんの子守歌みたいなもんだからか、よく眠れるのは。

終演後は、3月に入籍したばかりの義妹夫婦、そして末の妹と久々に集まった家族で、お茶と夕食を兼ねてランドマークプラザ1階のアンナミラーズに入って、お喋りに興じる。
アンナミラーズって、ファミレスにしてはちょいとお値段が高いのは、やはり女の子の見物代込みということなのかな?(^^;

5月1日

「第16回音の輪コンサート」終了。
ご来場・ご声援、ありがとうございました。

 当日ステージ上にて(抜き打ちで)戴いた、16回連続出場の記念盾。

練習回数は結成式当日を含めわずか6回、初顔合わせのメンバーで行う演奏会としてはあまりに少なくて未達成感はどうしても残るけど、しかし「音の輪」というのは単なる寄せ集めバンドではなく、サイトウ・キネン・オーケストラみたいなもんで、参加する各自のホームの楽団なりアンサンブルで日頃切磋琢磨した成果を1年に一度、それぞれ持ち寄ることによって成立するのだと思う。

今年、どこに自分の「成長」の証を見出すのか。
そして、今回の「音の輪」で得た何を、自分のホームへ持ち帰るのか。
問われるのは、これからだ。