2003年

3月28日

都民芸術フェスティバル・オーケストラシリーズの最終夜を聴く。在京8オケのラストを飾ったのは新日本フィル

指揮は西本智実。デビューの頃都響で聴いて以来2度めだが、指揮者としての実力というか個性はいまひとつ良く分からない。しかし人気はある人だ。確かに、指揮姿を見るに人気があるのは頷けるものがある(ロビーで写真集を売っていた)。1曲めのドビュッシーはなかなか良かったが、私の大好きな2曲めのプーランクが何か食い足りない。ショスタコーヴィチも最初は普通の演奏だなと思っていたが、3楽章の真ん中へん、木管3人がエレジー風のソロを呼び交わすところから俄然惹き込まれて、以後は生き返ったように最後まで集中して聴くことができた。あそこで何かが起こったんですね。私だけかもしれないが。
それにしても、新日本フィル、いいオーケストラだ。都民芸術フェスティバルで聴いた7つの在京オケの中で、(ファンの耳で聴いてしまう都響を別にすれば)一番好印象だったかも。なんといってもオーボエが素晴らしい。オケでも吹奏楽でも、オーボエが上手いと聴き映えがすることだ。

終演後、芸劇の長大エスカレーターを降りる途中、バルコニーから知り合いに見つけられて手を振られたり、ステージに顔見知りが乗ってたり(そうか…新日フィルの団員だったのか…知らなかった)(←謎)、一昨年のイ●ールオケのヴィオラの女性に再会したり、いろいろ。

という訳で、3月も終わりになってしまいました。仕事激忙&父親の入院騒ぎとかがあったりして(両者未だ継続中)、今月分はこれ以上の更新は出来そうにない。楽しみにされている方がもしいらっしゃったら申し訳ありません。せっかくウチのサイトがパイパーズにも紹介されたところなのに。…しかし、Sax吹きでも何でもない編集者がこのサイトを見て、いったいどういうふうにまとめるんだろうと思っていたが、ああいうふうに来ましたか。うーむ、さすがプロの編集者。お見事。
この「日記」のあり方については、今いろいろと考えているところ。読んでお判りの通り、毎日徒然なることをちょろちょろ書くような所謂日記とはちょっと違って、手間もかかるし、サイト内の各コンテンツとの関係もあるし。どうしたもんでしょう。

今月買ったCDについては、また機会があったらご紹介する予定。でもこれだけは今書いておきたい。
ひとつは激安レーベルBrilliantから出た、インバル/フランス国立管によるラヴェル管弦楽曲全集(DENON原盤、4枚組)。HMVで1490円だった。
Brilliantからは、最近同じくDENON原盤のインバルのマーラー交響曲全集(「大地の歌」とクック版「10番」も含む)が5000円足らずで出たところで(私がまともにマーラーを聴き始めた80年代中頃、話題の最新録音だった。当時の日本クラシック界のマーラー・ブームを盛り上げた重要アイテムでもあったのだ。あれがもう、「歴史」になっちゃったのね…)ちょいとショックを受けていた矢先のことだった。
以前、私の信頼するあるフランス音楽聴き巧者の方が、「ラヴェルの管弦楽曲CDのオススメは?」との問いに「インバルとロザンタールの両全集」と答えていたのが長いこと気になっていたのだ。ラヴェルの「仕掛け」が最もよく読める、それぞれ新旧世代の演奏なのだそうだ(ちなみにその方に言わせると「ブーレーズ? せめてもう少しフランス色の出るオケで再録音してほしい」ということになる)。ロザンタールは最近再販されて聴くことができたが、インバルはなかなか(全部は)見つけられずにいたところ。

もうひとつはサクソフォンのCD。The History of the Saxophone / in Words and Music と題する2枚組(Clarinet Classics)。既出の様々なレーベルにわたる各種音源を収録し、英国の若手サクソフォニスト(デルタSax.Q.のリーダー)Stephen Cottrellの手になる80ページのブックレットと共に、サクソフォンという楽器のこの百年の歴史を概括するというもの。同レーベルから出ているマルセル・ミュールやルディ・ウィドフトは当然入るとして、シドニー・ベシェ(ジャズでサクソフォンを使った元祖か?)、コールマン・ホーキンス、レスター・ヤング、チャーリー・パーカー、或いはスタン・ケントン・オーケストラのサクソフォンアンサンブルといったJazz分野の歴史的録音のさわりも聴くことができる。
このCDには(私が考えるに)ある重要な音源が収録されている。シガード・ラッシャーSigurd Rascherの演奏によるエリック・コーツのSaxorapsodyがそれである。CDではPearlのGEMM CD9973という型番で出ていたもので、同盤の記載によると1937年1月15日の録音とのこと。イベールやグラズノフのコンチェルトの委嘱者として名のみ高いこの人物の、演奏における真骨頂を伝える名演である。サクソフォンの歴史に関心のある向きは是非聴かれたし。
アメリカに於けるクラシカルサクソフォンのパイオニア、セシル・リースン(Cecil B. Leeson, 1902-89 ミシガン大学のラリー・ティールの前任者で、クレストンのソナタの初演者である)のソロも興味深く聴いた。なんと原盤はDeccaだ。

3月8日

土曜日。仕事の途中に、中抜けしてサントリーホールへ行き(徒歩10分なのです)、午後2時開演の都響プロムナードコンサートを聴く。忙しいと言いながら何やってんだか、って感じだけど、そこはまあ、1人で休日出勤している気楽さ。

ゲヴァントハウスの元コンマス、ドイツ音楽の生き証人ゲルハルト・ボッセの指揮による、「クラシック音楽」の精華。
いや〜、『田園』っていい曲ですねえ。改めて感じ入ってしまった。サントリーホールの暖かい響きで聴く、200年前の田園生活の讃歌と神への感謝の響き。あ〜、仕事に戻りたくないよ〜、と心底思った。モーツァルトもなかなか良かった。タッチのきれいなピアニストだ。

3月7日

今週は忙しいです。日記もぜんぜん書けましぇん。仕事は7時15分で強制終了、残りは明日、てんで池袋へ。都民芸術フェスティバル第5回、東京シティフィル飯守泰次郎指揮)。
曲目はシューマンの特集。結局休憩後の交響曲第4番しか聴けなかったが、これがもう物凄い演奏だった。確信に満ちたアゴーギグとイントネーション、14型の編成が嘘のようなダイナミクス、これぞシューマン、これぞドイツロマン派!という超・本格な響き。これが日本のオーケストラで、日本人の指揮者で、会場が東京芸術劇場なの? と、戸惑ってしまうほどだ。素晴らしい演奏だった。前半も聴きたかった。地味な曲目だからか、雨模様の肌寒い天気のせいか、お客さんが少なくて残念。今まで聴き比べた4つのオケ(第4回の読響は聴けなかった)の中ではとにかく、力の入れ方が違うという感じだったのだが。
ステージ上に補助マイクを立てていたり、かなりちゃんとした録音セッティングがなされていた。ひょっとしてライヴCDが出るのかな。

3月2日

3月になった。とはいえ、まだまだ冬の寒さ。

昼、用事を片付けたあとリサーチの練習へ。
遅れて着いたら、『サンタフェ・サガ』(モートン・グールド)の分奏をしていた。途中から加わる。うーむ、知らない曲だ(タイトルしか知らなかった)。しかし、ちょっと吹いてみただけで、いかにもグールドというか、コープランドの親戚というか、そういう響きがする。
後半は、グラズノフのコンチェルトの木管分奏(というか、もとの編成自体ほとんど木管しかいないんだけど)の指導を頼まれて、またしても初見のスコア相手に慣れない棒を振ることになる。いやはや、ソロの代吹きをしたり指揮をしたり、我ながら忙しいことよのう。まあ、スコアは初見だが曲自体は熟知しているので、何とかならないことはない。

昨日も午前は15日の本番のためのカルテット練習(うむ、ジャンジャンはいい曲だ!)、午後は「なめら〜か」のラージ練習。珍しくも若い子たちに大挙囲まれての合奏だった。楽器漬けの週末。うれしいうれしい。

小澤征爾の60〜80年代のEMI録音が一気に10枚、東芝EMIから1枚1000円で再発売された。

http://www.toshiba-emi.co.jp/classic/release/index_j200302.htm

これらは、個人的な好みとしては小澤の録音の中でも最も好ましく聴けるもので、シカゴ響を振ったバルトーク、ルトスワフスキの両「オケコン」、ヤナーチェクのシンフォニエッタなど、これらの曲の名盤を語る際は今なお外せないだろう。
私は以前内外で発売された際にほとんど入手済なのだが、たまたま持っていなかったサン=サーンス/交響曲第3番(フランス国立管)をこの機会に購入。
フランス国立管による3枚のフランス物は、いわば「日本人的繊細さ」でフランス音楽を解釈したものとして独自の価値を持つ録音だと思う。Diskyから出ていたボックス以外では長いこと入手不能だった「アルルの女」は、たしかデファイエが来日時に「私の参加した録音」と言ったものではないか(当サイトのデファイエのページでも紹介済)。音像が遠くてディテールは掴みづらいが、オケ全体の響きの作り方は聴くべきものがある。
「火の鳥」がボストン響との新盤なのが残念だな。パリ管との旧録音のほうがずっといい演奏なのだが。