2001年

10月31日

今日はフロートの練習再起動、のはずだったのだが、会社を退ける直前に中止連絡が入った。事情はとめちゃん氏が掲示板に書いた通り。う〜む(=_=)、御愁傷さまです…

予定外に早く帰れることになったので、山野楽器とHMV数寄屋橋店に寄る。待望の、NAXOSの日本管弦楽曲選集の1枚めが出ていたので購入。おそらく全50枚以上のシリーズとなる予定のものの記念すべきトップバッターである。演奏が沼尻竜典指揮の都響というのもいい。ジャケットがいかにもって感じだが、海外マーケットを考えたら仕方ないか。1枚790円というのはそれにしても安いぞ。これで本当に儲けが出るのだろうか。
他、Chandosのヤン=パスカル・トルトゥリエ指揮BBCフィルによるデュティユー管弦楽作品全集を購入。トルトゥリエという指揮者は超弩級の実力の持ち主なので(CDもChandosからたくさん出しているし、都響の客演で何度か生でも聴いている)演奏が良いであろうことは間違いないのだが、4枚組で9490円というのは輸入盤にしては高いのでどうしようかと思っていたところ、一割引になっていたので意を決して買った。デュティユーという人の作品は以前から気になっているが、分かりそうで分からないところがあるのでこれをキッカケに楽しめるようになるといいんだけど。

家に帰ってから、聴き残していたCDにも手をつけ始める。
雲井雅人(Sax)「ドリーム・ネット(CAFUA/CACG0022)、先週19日の奏楽堂で買ったデュオ服部「Embraceable You」とファブリス・モレッティ(Sax)「SONATA!(共にMomonga Records)、を一気呵成に聴く。どれも素晴らしい。大お薦め。私自身がこういうCDを聴きたい、と常々思っていたそのままのようなアルバムばかりだ。

雲井さんのアルバムは、私自身もそのいくつかを実際に会場で聴いている過去のライブの集成。ホール備え付けの吊りマイクで録ったような音源がほとんど、というのが信じられないような完成度と音質。
特記すべきはムジクケラー室内合奏団との共演で収録されている『ブランデンブルグ協奏曲第2番』か。パブロ・カザルスとマルセル・ミュールの故事にならい、トランペットパートをソプラニーノサックスで吹いた録音で、フルートの渡瀬さんもそうだが、楽器の音色の変化よりもまずとにかく基音の美しさで勝負、という潔さがバッハにふさわしい。

服部さんとモレッティは同じレーベルから2枚同時発売、お互いのアルバムにそれぞれ1曲ずつ友情出演しているというアルバム。両方でピアノを弾く服部真理子さんの存在と合わせて、完成された音楽家同士の化学反応の記録、という感じで、ある種フランス人同士の室内楽みたいな雰囲気がする。それにしてもモレッティは巧い。殊更にテクニックを売り物にするタイプの演奏家ではないけれど、ちょっとこれはすごい。

それにしてもここ最近の面白いCDというのは(Saxに限らず)マイナーレーベルばかりだ。メジャーは何をやってるんだろうか。そもそもクラシックなんてそんなに売れるもんじゃないから、結局不景気の影響なんだろうな。
近年のクラシカル・サックス界の最大傑作、トルヴェールQの「マルセル・ミュールに捧ぐ」(東芝EMI、バリバリのメジャー)だって、「売れない」と須川さんが嘆いていたのを聞いた。これが売れないせいで次作が作れないでいるのだそうだ。ちょっと信じられない話だが、須川さんほど「売れる」人ですら現在のメジャーの基準からするとそうなってしまう、としたら、おそらくメジャーレーベルのクラシックはもう駄目だと言っていいのかもしれない。…

10月30日

フランス国立トゥールーズ・カピトル管弦楽団を聴く(すみだトリフォニーホール)。

指揮はミシェル・プラッソン。プラッソン=トゥールーズの録音には、私の好きなフランス物の珍しいレパートリーやこの演奏でしか手に入らない曲目が多く、LP時代から本当にお世話になってきた。ざっと思い出しただけで、フォーレの管弦楽曲全集(代表的名盤!)、シャブリエ、サティ、ソーゲの管弦楽曲集、ルーセルの『エヴォカシオン』、デュパルクの『レノール』『星たちに』、グノー、ショーソン、マニャールの交響曲などなど。勿論、ドビュッシーやラヴェル、ベルリオーズ、フランクといったスタンダードなフランス物も。今回はすみだトリフォニーホール主催の三夜連続のラヴェル・,ツィクルスのための来日であり、今日は第2夜。
昨日の第1夜(オペラ『スペインの時』演奏会形式ほか)はガラガラだったそうだが、今日はそれほどでもない。それでも空席は多い。本当にこれを聴きたい人だけが集まっている演奏会という、ある意味贅沢な時間を過ごした感じがした。海外オケの公演というと、マナーの悪い招待客が良い席に陣取ってたり、「動員」が多くて雰囲気がシラけてたりということが多かれ少なかれあるものだが、今回のような商売っ気のない公演というのは本当に珍しい。私だって本当は三夜とも聴きたかったんだが、この時期では仕方ないわなあ。

たしかに、「巧い!」というオーケストラではない。特にプログラム前半は意外とアバウトな箇所が多くて(後半は良かった)、巧さで言えばつい先日の新日本フィルのほうが上だが、この音色と独特なローカルっぽさは真似できない(フランスの大阪フィル、と言った人がいた)。倍音成分までコントロールしているかのような精妙な音色はフランスのオケを聴く楽しみだけど、『ダフニス』の「夜明け」の光の明暗、葉擦れの音や風の音まで聞こえてくるかのような響きの見事さは、自分が普段いかにカラーコピーみたいな演奏ばかり聴いているかを改めて考えさせられるものがある。(掲示板にも書いたけど)たとえデュトワが振ったって、N響ではこういう音は出ない。

『ボレロ』のSax奏者はプログラムに名前は載っていなかった。アンコールが3曲(アルルの女のアダージェット、カルメンのアラゴネーズと前奏曲)もあって大盛り上がりのうちに終演。オケメンバーが引っ込んだ後も拍手が止まらず、指揮者一人をステージに呼び戻して拍手を浴びせる朝比奈さん状態。開演が7時半だったので、全部終わったのは10時近くだった。

そういえばこないだの朝日新聞にプレビュー記事が載ってたけど…表記がツールーズ管弦楽団のラベル、だった(^_^;)。新聞ってのはこれだからもう。

10月28日

昼間、都響倶楽部主催のサロン・コンサートを聴きに行く。会場は東京文化会館の第1リハーサル室。ホール入口の当日券売り場の横の階段を降りて、隣のリハーサル棟に入る。都響が普段練習会場として使っている部屋だ。組まれたままのヒナ壇や、部屋の隅に並ぶハープやコントラバスのハードケース、無造作に積まれた椅子や譜面台が「現場」、という雰囲気をかもし出している(高輪のN響練習所には何度か入ったことがあるけど似た印象)。お客さんは100人弱といったところか。

演奏は都響の5人の金管奏者(トランペット福田善亮(首席奏者)、内藤知裕、ホルン西條貴人、トロンボーン小田桐寛之(首席奏者)、テューバ佐藤潔)によるクィンテット。ガブリエリやバッハに始まって、各楽器のソロピースをはさみ、ガーシュウィンの3つのプレリュードで締める休憩なし1時間のプログラム。
プロのブラスアンサンブルをあれだけ近くで聴いたのは初めてだが、さすがに圧倒された。ああいう演奏、ああいう音が出せてこそのプロフェッショナルなのだ、と心底思ったのだった。皆巧いけれど、とくにホルンの西條さんのとてつもない巧さには驚いた。首席奏者ではないので、オケの中ではそんなに目立っていないのだ。
自分たちのアンサンブル演奏会のプログラムを考える上で何か参考になるかとも思っていたのだが、ああいう音を出されては曲目が何だろうと関係ないというものだ。うーむ、やはり「音」そのものに説得力がなければ何やっても無駄、という当り前の事実を実感…

終演後はちょっとした質問コーナーなど。出演者の皆さんの受け答えというのが飄々としていてなかなか楽しかった。

10月27日

演奏会後最初の「なめら〜か」練習。
アンコン季節への突入を控えての準備として(フロートのテナー吹きとして)、午前の個人練習タイムはテナーをさらう。こないだの本番で、最近ソプラノばかり吹いていたせいかテナーを吹けなくなっていることに危機感を抱いたせいもある。リードを慎重に選びながら、トレバー・ワイのメソード1巻(フルートのエチュードだが、某K氏のレッスンでは必ず使われる)で2時間音出しをしたらだいぶ感覚が戻ってきた。要は、ウォームアップはちゃんとやらんと駄目だということだ。10分くらいパラパラと音出しをしただけですぐ合奏、なんてことを1週間に一、二度しかしないんじゃ、吹けなくなるのも当り前か。

結局午前中はずっと1人。午後になっても集まったのは4人。しかもソプラノ2とバリトン2(^_^;)。ははは、ひとつ本番が終わると途端にこうなんだから。楽器だけは4種類あったので、ラージの新着譜面をカルテット編成で音出ししてみたが、それなりにまともな音がした。

夜は隣のランドマークタワー13階(フォーラムよこはま)に移り、団員総会を開催。2人増えて6人。今回は紛糾するようなネタもないのでサクサク終わり、最後の1時間は雑談だった。

今日は車で来ている人がいなかったので、誰ともなく「飲みに行くぞ〜!」てことになって、ドックヤードガーデン地下のビアドック(ニュートーキョー系のパブレストラン)に皆で入り、10時半の閉店まで騒ぐ。「歩く横浜ガイド」H君お薦めの店だけあって、食事メニューもなかなか美味しい。私も久々に旨いビールを飲んだ。とめちゃん氏はiichikoをボトルで頼み、「あの、本当によろしいんですか?」とウェイトレスの姉ちゃんが確認に戻ってきたり。

店を出るとそこはランドマークタワーの真下。華やいだ週末のみなとみらい地区はまだまだ夜は更けない。「ここって、観光地なんだねえ、」と言ったらそりゃそうでしょと笑われた(^_^;)。

10月26日

コンサート三昧の先週のツケが回ってきたか(というか最初からそういう予定だったのだが)、今週は仕事に追いまくられた。
やっと開放された週末は都響の今季最後の定期(サントリーホール)。

渋い曲目。指揮はゲヴァントハウスのコンマスを長年務めたドイツ音楽の生き証人、ゲルハルト・ボッセ。霧島音楽祭を主宰したり、芸大の客員教授を勤めたり日本では馴染み深い人なのだが(新日本フィルの客演指揮者でもある)、都響との昨年6月の初顔合わせには行けなかったので実際に聴くのは初めて。そのキャリアからして何となく謹厳実直そうなイメージを持っていたのだが、実際にステージに現れたのは天衣無縫な棒を振る小柄なおじいちゃんだった。しかしなんと音楽が自在で生き生きとしていることか。よく聴くと、テンポからフレージングの設定から、メロディの中に現れる非和声音の扱いに至るまで揺るぎなく考えられているのだが、それでいて窮屈な感じが全くなく、「『クラシック音楽』とはこういうものだよ、キミたち!」と言われてるような気がしてくる。いやあ、いい演奏だった。地味な曲目だけど、1シーズンに1回くらいはこういうプログラムも聴きたいものだ。

10月21日

コンサート6連戦の仕上げは、クラノワ・カルーク・オーケストラ定期演奏会(江戸川東部フレンドホール)。「なめら〜か」より差し入れとしてウエスト目黒店でドライケーキを買って持ってゆく。
都営新宿線をエンエンと乗って瑞江という駅で降りる。「なめら〜か」メンバーではH事務局長、ジモティのK女王様が来ていた。もう少し来ているかと思ったが。(自分の演奏を聴いてもらおうと思ったら、他人の演奏も聴きに行かなきゃ駄目だぞお。>皆の衆

ソリストとして日フィルの伊藤寛隆さんが登場し、ウェーバーの2番のコンチェルトを吹いたのだが、いやはや、めちゃくちゃに巧い。指が回るばかりか、豊かで落ち着いた響きと華やかさを共に備えた希有な音色を持っており、東京のオーケストラのクラリネット奏者の中でも一二を争う上手さだと思う。アンコールを2曲も吹く大サービス。これが入場無料というのはお得だった。

ただ、第1部で登場した専属アレンジャーのような立場の人の編曲というのが、去年からそうなのだがどうにもこうにも私の感性と合わないので困ってしまう。たしかに才能はあるんだけどね。なまじっかあるだけに余計困りモノだ。珍しくアンケートも書いたのだが、おかげで普段だったら気にならないようなつまらないことにまで文句をつけるような書き方になってしまい、あとから自己嫌悪に陥っているのだった。

10月20日

小川有紀子ヴァイオリンリサイタル(カザルスホール)。実は親戚(従姉妹)なので、動員されて聴きに行った。紀尾井シンフォニエッタでもよく弾いているのを見ている。

と、曲目もなかなか意欲的で、客入りもよく盛況だったが、昨日のデュオ服部リサイタル(旧東京音楽学校奏楽堂)からそうなのだが、どうも体調が今一つで集中して聴けないのが残念だった。なめら〜か本番の疲れが取れないのかな。だったらコンサートばかり通ってないで家で寝てろという話もあるのだが。

10月18日

新日本フィル定期(すみだトリフォニーホール)。今月2回目のフルネ。

フルネの演奏を聴いたあとは言葉を探すのに苦労する。そこで鳴っている音楽が本当に充足しているから、聴き了えたあとはもうどうでもよくなって心静かに家に帰るだけだったりする。言葉では表現しきれず、無理やり言ったら嘘になってしまうのが分かっているからでもある(と言いながら書いてるけど)。
それにしても1曲目の『おもちゃ箱』は本当に美しい演奏だった。抑制された雰囲気、艶やかな美しさと魔法にかかったような繊細さ。新日フィルの木管セクション(特にオーボエ、コーラングレ、クラリネット)の上手さもあって、こういう演奏が毎回聴けるなら定期会員になりたいと思ったほどだ。
休憩後はダンディの『思い出』。高貴で痛切な曲だ。同じ作曲者による、私の大好きなピアノ曲『山の詩』の一部分がほとんどそのまま引用されている。馴染みのない曲だからか、客席の緊張感が途切れがちなのが残念だった。

問題は最後に登場した若いピアニストで、2楽章の腰の座らないヘロヘロなルバートはちょっと勘弁してくれの世界だった。リズムの骨格まで無くなっちゃってるし、右手と左手ですらテンポが違うんだよ(まあ、こういう演奏を「詩的で繊細な、独自の境地」とかなんとか言う人もいるのかもしんないけどねぇ)。かと思うと後半の美しい16分音符のオブリガートは、今度は早く終われとばかりの義務的な弾き方で、どんどん先に行ってしまう。オーケストラは好演だったのが救いだが…(この曲の伴奏オケパートは難しいのだ。ナマで無事故な演奏というのはほとんど聴いたことがない)。そこまでは本当に素晴らしい演奏会だったのに、最後に至ってドッチラケとなってしまった。うーむ、このやりきれなさを何としよう。最後がコンチェルトというプログラムは問題があるなあとつくづく思ったのだった。オーケストラの定期演奏会なんだもの、最後はオケが責任を持って締めるべきじゃないかな。

10月17日

都響定期(東京文化会館)。

指揮は小泉和裕。休憩後のヴォーン=ウィリアムズが面白かった。イギリス民謡組曲やトッカータ・マルツィアーレなどの吹奏楽曲、あるいは「オペラ座の怪人」(これもイギリス音楽だ)、どこかで聴いたような素っ気ないような懐かしいようなフレーズ横溢の50分。こういう曲はやはりナマに限る。
前半のソリストはアルゲリッチお薦めのピアニストだそうだ。たしかにやたらと元気よくドカンドカンとピアノを弾くお兄ちゃんで、うぉーっと思ったけれども、コンサートが終わって時間が経つにつれて感銘が薄れていったような。

会場で売っていたジャン・フルネ指揮都響の新譜CD、ビゼー/交響曲第1番&ブラームス/交響曲第3番(Fontec)を買う。ビゼーは昨年5月(サントリーホール)、ブラームスは今年6月(東京芸術劇場)のライブ。私は両方とも会場にいたけれど、CDになったものを聴くと実演の感銘には及ばないような気がするのは仕方ないか。しかしこの格調高さはやはり別格だ。最初は気になった(演奏会場でもそうだった)ビゼーのテンポの遅さも、何度か聴き返すにつれてじわじわと効いてくる。

10月16日

東京フィル定期を聴く(サントリーホール)。

指揮は沼尻竜典。見ての通りマニアックな選曲で、あまり客入りは良くなかったが(とくに1階のS席一帯はガラガラだったが、バックステージ席はじめ安い席は結構埋まっていた)、演奏はとても良かった。6月以降の東フィルの定期の中では最高かもしれない。アンサンブルが隅々まで整頓されているし、沼尻さんの、曲の抑揚や構造をそのまま見た目に描き出すような指揮ぶりもすごい。
ツェムリンスキーは実は初めて聴いたのだが面白い曲だった!マーラー+ドビュッシー+R.シュトラウス、という雰囲気の飽きない45分。こんなに面白い曲を知らずにいたのは不覚だった。実はこないだもCDを探していたのだがその時は見つからなかったのだ。もう1回探してみようっと。

10月15日

昨夜は0時過ぎまで打ち上げで騒いだ後、ヨコハマ・グランドインターコンチネンタルホテルに投宿。高級ホテルというイメージだったけれど、ホテル業界も不況で苦労しているようで、いろいろと裏技を使ってびっくりするほど安いお値段で泊まれた。

横浜トリエンナーレとやらの出品作品として、昨日の昼間横浜に着いた時にはホテルの壁面に巨大なバッタ(いちおう芸術作品だそうだ)が張りついていたのだが、夜には取り払われていた。う〜む
19階の部屋からの朝の景色はこんな感じ。真横上から眺めるコスモワールドの観覧車。

チェックアウトして帰宅、一休みして11時頃職場に出勤、午後から仕事に復帰。眠気と昨日の興奮の続きが治まらず、能率が上がらないことおびただしい。1日休めば良かったと後悔。実は明日からコンサート通い6連戦なのだが、果たして完遂出来るだろうか?

10月14日

サクソフォンアンサンブル・なめら〜か第1回定期演奏会(横浜みなとみらい小ホール)本番。

暖かく晴れた絶好の運動会日和(ん?)。午後1時、会場入り。楽屋口でギャルドの団員らしき(今日の昼の大ホールはギャルドの横浜公演)外人さんの一群とすれ違う。サックスのケースを2つ(テナー、ソプラノ)も担いでいたせいか、いっせいに振り返られた。

小ホールに入る。舞台から見ると(客席に座ったときの印象と比べて)小ぶりな感じだが、天井の高さとシャンデリアがなかなか上品でゴージャスな雰囲気(これをupするのと同時くらいに「なめら〜か」のページに写真が載る、はず)。残響は豊かだが例えば川口リリアほど風呂場状態ではなく落ち着いており、いい響きだ。演奏上の特別な工夫がほとんど必要ない。とりあえずリハーサルをどんどん進める。舞台と楽屋と練習室の位置関係がなかなか把握できず何度もうろうろしてしまった。

午後7時、開演。始まった後はあまりの出番の多さに息つく暇もなく、ひたすら楽屋と舞台袖とステージを行ったり来たりする。大きな本番がいつもそうであるように、どんな演奏だったのか、どんな演奏会だったのか、自分では客観的な判断が全くつかない。何ヶ所か間違えて吹いたところとか、初演のA.リード作品の4楽章のソプラノの低音に苦労したこととか、第2部フロートのステージで吹いたテナーが全然思いどおりに鳴ってくれなかったこととか、そんなことばかり鮮明に覚えている。

アンコールの『クラーケン』を吹き終え、午後9時ちょっと過ぎ、タイムテーブル通りに!終演。舞台裏で、「音の輪」をはじめとするたくさんの仲間たちの迎撃を受ける。終わった、終わった。
昨年5月の「音の輪コンサート」の打ち上げの席上、ほとんど勢いだけで始めたようなグループだったけれども(そもそもリード博士にSaxカルテットの曲を委嘱する話にしたって、その時の音の輪本番のロビーで聴いた博士のホルン四重奏曲がきっかけだったのだ。まさしく何の計画も勝算もないまま走り出した、という感じ)、本当にあっという間の1年半だった。
冗談のような話に乗ってここまで一緒に活動してきてくれた団員諸氏をはじめ、いろいろな皆さんにひたすら感謝。みなとみらいの日曜の夜が更けてゆく。

10月13日

スピーカーはちょうど正午頃届いた。重さ14kgのスピーカー本体を2台と、1個3.5kgの置き台4個を大騒ぎの末2階に上げセッティング。今日のところはあんまり時間がなくて聴き込んでいないが、やはり大きな箱に大きな口径(といっても20cmウーファーだが)のユニットだけあって落ち着いた音がする。店の人の話によると、エージングに400時間程かかるそうだ。1日1時間聴いて約1年か。さて早いとこ300Bのアンプ作らなきゃ。

明日の本番のための楽器の最終調整にヤナギサワクロッシュへ行く。今日はどこかの楽器店で出張調整会をやっているそうで、スタッフが出払っており鈴木さんがひとりで作業していて、なかなか混み合っていた。テナーとソプラノの2本を持ち込んだのだが、かなり状態が悪くなっていたようで(「これで本番をやろうだなんて、いい加減にしろ、って感じだぞ」と言われた(^_^;)、手間をかけさせてしまった。

楽器を新宿駅アルプス広場のコインロッカーに突っ込み、そのまま渋谷オーチャードホールへ。ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団日本公演(指揮:フランソワ・ブーランジェ)を聴きに出る。

いきなり『ペリ』の輝かしい金管の音、フランス式バスーンのなめら〜かなソノリティ(ファゴットというよりサックスに近い)、指揮者の指示を無視して勝手には参考程度に自分たちでつくり上げるアンサンブル等、昔とは変わったとはいえ、やはりフランスの楽団だ。須川FC経由で買ったチケットのせいか、1階の前から6列め真ん中というソリスト御用達席。響き全体は捉えづらいが、舞台が近くて面白い。楽器のロゴマーク(Saxは全員セルマーだった)、アンコールの『くまばちの飛行』での指の動きまではっきり見える。
注目の須川さんの『英雄の時代』。今日もまた、いかにも須川さんらしい超人的な熱演だったけれど、長生さんの曲というのは場合によって面白く聴けるかどうかは微妙なところがあるなあ…。すごい曲であることは確かなんだけど。アンコールのピアソラ(オブリビオン)のほうが(客にも楽員にも)受けていたような。
それにしても、演奏終了後のステージのまん中でギャルドの全員をバックに挨拶をしている須川さんの姿は、一種の感慨を持って眺めざるを得なかった。21世紀がやって来たなあ、というか。

会場で合流した「なめら〜か」仲間のA君、K女王様と帰り道の文化村通り沿いにあるステーキ店で夕食。今日の演奏のこと、明日の本番のこと、「なめら〜か」の今後についての話題で盛り上がった。さあ、いよいよ明日だ。

10月10日

新日本フィル定期を聴く(オーチャードホール)。指揮者は6月の都響客演も記憶に新しいジャン・フルネ、再びの来日。

いつ、どんなオーケストラで聴いても変わらないフルネさんの音する。明晰で繊細な響き、テンポは遅めだけれど決して重くならない、「粛々と進む」という感じがぴったりの音楽の流れ。『クープランの墓』はクリュイタンスの録音を思い出させる懐かしさと高貴さがあった(古部さんのオーボエはさすがに上手い!)。ドビュッシーは、若い時の習作とはいえ、『海』そっくりの細部のオーケストレーションなど興味津々で聴いた。実は大好きな曲なので、生で聴けただけでも嬉しい。休憩後はフルネ十八番のフランク。
本日のプログラムに、フルネの談話(インタビュー)が載っているが、フランクの交響曲についての話には私も同感するものがある(数年前に東京のあるプロオーケストラの定期で、当時そこの常任だった若い日本人指揮者Tが振ったフランクの酷かったこと!)。フルネさんには是非この曲を録音してほしい。昔都響とのCDが出ていたが今は廃盤のようだ。今日はステージに結構たくさんのマイクが立っていたから、もしかしたらライブ収録しているかもしれない。
18日(&19日)のトリフォニーシリーズ定期も聴きに行く予定。ドビュッシーの『おもちゃ箱』、ダンディの『思い出』、という曲目がたまらない。

これから1ヶ月の間、ギャルドは来るし、パリ管はプレートルと来るし、プラッソン&トゥールーズ国立管は3夜連続のラヴェル・チクルスをやるし、と、フランス音楽好きにとっては嬉しい悲鳴というか、スケジュールと金額を見比べながらタメ息をつく日々が続くのであります。パリ管は仕方なく(^_^;買ったし、須川さんがソロで登場する13日のギャルドも須川展也FC経由で買ったけれど、トゥールーズどうしようかな。この時期でなければ絶対3夜連続券を買ったと思うんだけど。

10月9日

本番が近づいて思うこと。

演奏には、客観的に評価可能な「技術レベル」というものがある訳ではなく、まずは表現したいと思う内実があって、その表現が可能なだけの技術がありさえすればよい…というのは一般論でありその通りなのだが、その前にまず、「当り前のこと(昨日書いたような)」が「当り前に出来る」という大前提が必要なのである。「素人レベル」の演奏とそうでない演奏を分ける基準というのは、実のところそれだけのことかもしれない。

翻って他人を観察するに、「なめら〜か」に限らず、アマチュアのプレイヤーには様々なレベルの人がいる。明らかに問題点を抱えているが、自分で(薄々と、あるいは明確に)気付いていてなんとかしようと模索している人もいるし、気付いていない、あるいは気付いてはいるかもしれないが自分の腕前はこんなもんだと思って特に何もしようとしない人も多い(これが一番多数派かもしれない)。一丁前な意見を持っていて演奏も一見上手そうだが、自らの根本的な問題に気付いておらず、いざ吹かせてみると使い物にならないという人もいる。このパターンが始末が悪いのは、自分の欠点には自分では思い至らないような仕組みの思考回路を自ら作り上げてしまっている場合が多いからだ。勿論、本当に上手な人というのも少なからずいるし、ただのヘタクソはもっと沢山いる。という具合に多種多様な人々の間を泳ぎつつ、自分でも問題を抱えながらも自分のしたいことを追求してきた今までだったけれど、時々、なんだってオレはこんなメンドクサイことをしなきゃならんのだ、というやり場のない思いに駆られることもある。
ま、いろいろだけど、プレイヤーたる者、少なくとも他人様と一緒に演奏をしようという以上は、自分自身について謙虚に認識をして欲しいな、とは思うのだった。ちゃんと意識している人とそうでない人とが一緒に演奏した場合、一方的に迷惑を被るのは意識している方なのだから。

自分がフロートの練習で全くストレスを感じないというのは、フロートという団体がとりあえずそういうレベルはクリアしたメンバーの集まりだからだろうと思う。余計な気遣いが要らず、練習中やりとりされる音と言葉、自分と他のメンバーのプレイだけに集中していられる。それでうまくいかなかったらさらえば良い、というだけのことだ。
もしかしたら自分の敵は、この日本にどっかりと根を下ろしたアマチュアリズムそのものなのかもしれない…

などと大きなことを言ってるが、23日の演奏の自分のピッチ最悪だったなあ。音程感覚が良くてピッチが安定しているというのはプロフェッショナルな演奏の最低条件なんだけど。(ハッ!?)

レコード軽術」秋の号が届いた。年に2回、この雑誌が届くと、ああ、もうそんな季節なのだな、と思うのだった。なんと素早くも、先日の米国テロ事件絡みのネタが満載。ブッシュ弦楽四重奏団の『アメリカ』…うーむ、タイムリー過ぎ。

10月8日

「なめら〜か」最終練習。二俣川のサンハートホールで朝9時からA.リードのカルテットの練習。これは、やればやるほど大変な曲だ。ゴマカシのきかない、オーソドックスきわまりない音楽。勿論、たいしたことを要求されている訳ではなくて、始まったテンポは走らずキープするとか、細かい音符は転ばずに吹くとか、fは鳴らすとか、pは落とすとか、音はちゃんとタイミングで立ち上げるとか、レガートは繋げるとか、スタカートはちゃんと離すとか、その程度のことなんだけど、それだけのことがなんと難しいことか。デザンクロやラクールを吹いてたってそんなふうには全然思わないんだけどなあ。この状態で世界初演をしなきゃならないのかと思うと頭が痛くなることだ。

昼頃から雨が降り出す。午後はラージの練習及び全曲通し。隣駅の希望ヶ丘に住んでいるという楽友協会のKさんが今日も現れ、通しの録音をしてくれた。先日23日の本番の時よりはマシな出来にはなったと思う。
しかしこのホール、初めて入ったけど変な音のするホールだなあ。「音楽ホール」という小ホールがもうひとつあって(そちらには入ったことがある)、そこはすごく良い響きがするのだが。

ちなみに来年の「なめら〜か」第2回定期演奏会は、2002年10月13日(日)のやはり夜間、みなとみらい小ホールで決定の模様。三連休の中日だ。

10月7日

昼間は秋葉原へ。懸案だったステレオのスピーカーを購入。予算の関係でビクター等の国産品を考えていたのだが、いくつか聴き比べた海外製品の魅力には抗し難く、少々予算オーバーながらスペンドール(英国製)のSP2/3に決定。13日に届く。さて自分の部屋ではどんな音がするだろうか。

今回は案内を戴かなかったので忘れていたのだが、たまたま音楽の友を立ち読みで読んでいたら今日はアンサンブル・ムジカの定期演奏会だったことを思い出し、カザルスホールに寄って当日券で入る。開演ぎりぎりだったのでバルコニーには座れなかった。メインプロはドヴォルザークの交響曲第6番。初めて聴く曲だがなかなか良い曲だ。個人的には重たい「7番」より気に入ったかもしれない。演奏は曲の良さを伝えるには充分なものだった。カザルスホールの平土間(1階席)の音というのはあまり好きではなかったが、このくらいの大編成のアンサンブルだったら良い響きが聴けることがわかった。

10月6日

今日はコンサートのダブルヘッダー。昼はフランス歌曲のスペシャリスト・村田健司さんのサロンコンサート(原宿・アコスタディオ)へ。土曜日の原宿駅というのはあんまり降りたことがなかったが、いやはやすごい人出だ。

全曲フォーレ作曲・ヴェルレーヌ詩
村田健司(バリトン・レジェ)、上原ひろ子(ピアノ)

村田さんのサロンコンサートは毎回ワインサービス付なのだが、会場に着いたらいきなり受付に座っていた村田さん自らのお出迎えで、「いらっしゃい!まあ一杯」と勧められた。「駆けつけ一杯ですか。まるで演奏会じゃなくて宴会ですね」「そうですよ。知らなかったんですか?」知らなかった(^_^;。主役の出演者自らの一献を有難く一杯飲んだところ、ここのところの疲れのせいもあってすっかり眠くなってしまい、第1部は半覚半睡で気持ちよく聴けた(^_^;。休憩後の『優しき歌』全曲は気を取り直して聴く。いや、改めて、すごい曲だ。

終演後は地下鉄千代田線で赤坂へ移動。
地下鉄の売店で見つけたクッキーの缶がなかなか可愛かったので、思わず買ってしまった。税込630円(他に銀座線バージョンと日比谷線バージョンもあるらしい)。

バックは本日会場で購入した村田健司氏のデビューLP(フォーレ歌曲集・1980年録音)。
LPレコードなんか買ったの何年ぶりだろう?

夜はサントリーホールで、サントリー音楽財団コンサート〜作曲家の個展・吉松隆。演奏は藤岡幸夫指揮の都響。

現代音楽のコンサートとしては異例なほどの客入り。このテの演奏会の客席は業界の方々(現代作曲家のセンセイ)が多くを占めるのだが、今日は一般のお客さんも多い。やはり人気のある人なのね。
私自身のお目当てだった『サイバーバード』がやはり最大の聞き物だった。ナマで聴くのは読響(初演)、新日本フィル、新星、芸大オーケストラときて5回めだが、演奏レベルが回を重ねる毎に上がっていることが聴いてとれる。オーケストラのレパートリーとして定着しつつある作品となっているのだろう。須川さんの超人的な集中力にもますます磨きがかかっている。終演後はオケメンバーも須川さんに大喝采を送っていた(頭の上で手を叩きまくっている人も何人もいた)。
初演の『5番』。全4楽章、「ダダダダーン」というtuttiの3連符で始まり、大々的な長三和音で終わるという、明らかにベートーヴェンの5番を意識した曲で、いかにも的吉松ワールドだった。面白かったが、演奏時間45分はしかしちょっと長いな。もう少し短ければ「傑作」と呼ぶにやぶさかではないのだが。

10月5日

フロート練習。ここのところ9/25、10/2と練習が2回連続中止となり、しかも仕事もやたら忙しく連日深夜帰宅でかなり鬱積していたが、やっと練習ができて少しホッとした。
ヘンデルはだいぶ吹けてきたせいか、演奏中に主にM山氏がいろいろと「仕掛け」、それに対しTセンセととめちゃん氏が「やり過ぎだよ〜」と文句を言ったり笑い物にしたり(M山氏に言わせると「周りに煽られるからだ」ということになるのだが)、という典型的なフロートの練習時現象が立ち現れてきて、よい傾向である? ラクールも、3楽章は一昨年のアンコンで吹いた時の感覚がかなり戻ってきたが、大変なのは2楽章で、あと1回の練習で本番というのは厳しいなあ。本番で途中で止まってしまったとしても全然不思議じゃない状態。しかし今度の「なめら〜か」演奏会、あっちもこっちも問題山積って感じで、どうなることやら。