『経済ってそういうことだったのか会議』



2001年11月 記


 2000年から2001年にかけて、わたくしはとある事情から「経済」のお勉強をしなくてはなりませんでした。高校の時にやったようなやってないような、あるいはやったけど全然憶えてないような、、とにかく難しそうだなぁというのが経済に対する率直な感じ方でした。実際、経済を理解するのにはなかなかオツムが必要で、最初のうちはほとんどチンプンカンプンでした。しかし勉強を進めていくうちに、いつ頃からかちょっとコツがつかめてきて、そしたら途端に面白く感じられるようになってきたのです。
 そこで、ちょっとこの機会に経済についての本でも読んで、さらにパワーアップしちゃおうかな、なんて思って本屋に繰り出して見つけたのが、この本です。

 著者は、今を時めくクリエーターの佐藤雅彦ちゃん&経済なんとか大臣(2001年11月現在)の竹中平蔵ちゃんです。佐藤雅彦ちゃんと言えば、「♪ドンタコスったらドンタコス」や「バザールでござ〜る」などの誰でも一度は目に耳にしたことのあるCM群や、プレステのゲーム『I.Q.』や、やたら売れてた曲『だんごブラザーズ(3個)』の作者として知られています。どエライぼっちゃん顔です(笑)。もう一人の竹中平蔵ちゃんは、もうこりゃ皆さん知ってますね。あの竹中さんです(なんだよそれ…笑)。この二人による対話形式で書かれています。竹中さんがやっぱり先生で、雅彦ちゃんが(やたら物分りが良くて出来の良すぎる)生徒って感じになってます。だからとても読みやすい。『だんご〜』風味のイラスト付きで尚更とっつきやすいです。

 具体的な内容ですが、全部で10の章から成っています。とりあえず各章のテーマを挙げておきましょう。1:貨幣と信用、2:株の話、3:税金の話、4:アメリカ経済、5:円・ドル・ユーロ、6:アジア経済の裏表、7:投資と消費、8:起業とビジネス、9:労働と失業、プラス終章となっています。順番どおりでなくても興味のあるところから読んでよいという形になっています。

 この本の”はじめに”に当たる部分と”おわりに”に当たる部分で、それぞれ雅彦ちゃん・平蔵せんせが言っていますが、「経済=economics」という英語の語源(注:「経済」という日本語の語源は、中国のある古典中に出てくる「経世済民」という言葉から来ているといいます。)は、ギリシャ語の「オイコノミコス=oikonomikos」から来ているのだそうです。そしてこの「オイコノミコス」の意味が重要なんです。「共同体のあり方」という意味なのだそうです。経済とは、共同体のあり方のことだったんですね(あ、ここからこの本の「”経済ってそういうことだったのか”会議」というタイトルが出てきてるんだな、多分…今発見。)。
 実際、経済は、個別的な部分だけを見ていてはダメで、その部分を取り巻く全体を見なければ事の全てを理解し把握することは不可能です。経済のことを少しでも勉強した人なら、このことは良くわかるはずです。「カネは天下の回りもの」という言葉がありますが、これは全く正しいのです。いわば、この経済の全体性こそが、つまり全体を見ないと個々の部分も理解できないという点こそが、人々に経済を難しいと感じさせる要因なのではないだろうかと思います。

 読んだ中で、私が面白いなぁと思った話をいくつか紹介しましょう。第7章の「投資」の話のなかで書かれていたことですが、「投資」と「消費」は似ていて違うものだということです。共に或るモノやコトに対してお金を出す行為です。しかし、消費は文字通りそのまま費えて消えてしまいます。ピザまん喰いたいっちゅーてからにコンビニ行ってピザまん買います。大体1個98円ぐらいですよね。んで税込みで100円ぐらい払ってピザまんもらって喰います。喰ったら、ウマイッッ!!このトマトソースの酸味と中華まんの甘味がなんつーかこー微ッ妙にからまりよってからに、その、あの、これ、た、たまらんッッ!!!むみゃ〜やっぱワテ酸っぱいもの好きやからな〜♪♪なんて思ったりしますが(スタニスラフスキー氏=これ書いてる人は、程好く酸味のきいてるものが好きです。)、しかし、それで終わりです。これが消費です。

 一方で「投資」はというと、わかりやすいのが「設備投資」です。よく聞きますでしょう、設備投資って言葉。実は読んで字の如く、設備に対する投資のことなんです。私これ、この本読むまで知りませんでした…笑。職場でパソコン使って仕事をします。3年前に買ったパソコンを使って今までず〜っと、10の仕事を10時間かけてやっていたとします。そしてこの度、最新型のパソコンを買いました(最新型なら何でもいいかっていうとそうではありませんが、まぁ例ですから。)。性能、特に処理スピードが上がったので、以前と同じ10の仕事を5時間で終わらせるようになりました(実に極端…でもわかりやすい。)。そして余った5時間で別の10の仕事をするようになりました。結果、同じ10時間のうちに前よりも倍の仕事をこなせるようになりました。わーゐ♪ これが投資です。見返りがあるんです。お金出すと何らかの形で返ってくるんです。直接返って来る場合もあるし、まわりまわって返って来るのもあります。
 ちなみに設備投資の額の増減というのは、景気をはかる上でのバロメーターになるのだそうです。なぜ設備投資をするのかという所を考えればわかります。「どうもこの先うまく行きそうなので、もっと沢山売りたい、もっと事業の規模を拡大したい」、そのように思って設備投資するのです。しかし、景気が悪くてお金の回りが悪くなると、「ど〜しよっかな〜、なんかヤバそうだな〜、あんまこの先無さそうだし…、設備良くして製品たくさん造っても、売れなきゃ話にならないしな〜…」ってな風に思うようになって設備投資を控えるようになります。だから景気のバロメーターになるのです。

 さて、他に興味深かった話ですが、そうそう、8章の起業の話のところですが、カ○ボウと資○堂の話です。あるいは○池屋と○ルビーと言っても同じです。化粧品市場においてカ○ボウと資○堂を比べたら(カ○ボウは元々食品会社です。)、ちょっと前まではもう圧倒的に資○堂の方が上だったのです。しかし、カ○ボウは知恵を絞りました。資生堂が春に口紅のキャンペーンを始めると、マネして口紅のキャンペーンを始めました。同様に、資○堂が秋にアイシャドウのキャンペーンを始めると、カネボウも負けじとアイシャドウのキャンペーンを始めました。すると、実際には10対1(仮)の戦いなのに、広告なんかを見ている消費者の側からすると「10対10」のように見えるのです。そうしてカ○ボウ側も売上を伸ばし、実質的に10対3〜4ぐらいの形になっていくのです。「巨大なものには対等なフリをしろ」、これが小企業が生き残り、のし上がっていく上での常套の戦法なのだそうです。

 ○池屋も似たようなことをしているのだそうです(そういえば雅彦ちゃんが手がけたCMの中に、○池屋のって結構あったような気がする。)。湖池屋というのは、決して大きくない工場で手作り的に製品を作っている(いた?)のだそうです。対する○ルビーは、ちょっと前までは○池屋と比べたら10倍ぐらいに大きい大企業だったのだそうです(注:現在の売上比は4:1だそうです。)。しかしイメージ的には「カルビー:○池屋=せめて2:1」ぐらいに見えるわけです。しかし面白いのが、雅彦ちゃんによれば、実際には○池屋は○ルビーのことはあまり意識していなくて、それどころかナビ○コやフリト○ーといった世界的な大企業の方をより意識しているのだとか。。「まずその前に○ルビーがあるだろうと…(笑)。」とは雅彦ちゃんの談。(笑)
 この戦法はビジネスの世界のみならず、国際政治の場においても有効なようです。マレーシアのマハティール首相が、国際的な舞台で散々アメリカの悪口言いまくってるうちに、当のアメリカも黙っていられなくなって本腰でマレーシアに相手するようになってきたという話です。小さいものは、ある程度の所まで行くまでは大きいものに乗っかっていればいい、とのことです。(笑)


 まぁ、この本にはこんな感じで面白いネタも一杯盛り込まれています。ムズそうだけど重要そうな「経済」ってやつについてちょっと知りたい、しかしムズそうだ、しかしやはり一冊ぐらいは本を読んでおきたいなぁなんて思ってる方に超オススメです。ハタチ過ぎてもほとんど経済観念が育ってなかったあっしですら楽しく読めたんですから、ぜったい大丈夫です。本屋で数ページ立ち読んでみてください。上の写真で出てるような緑の表紙が目印です。


 ほな。