LM380とLM386
2003年10月18日   初UP
2003年10月19日   simulation UP
2003年10月19日夜  実測値 UP
2003年10月25日夕  エレ工房 さくらい でキット購入UP
2003年10月30日   一番下に写真UP
2003年10月31日   左チャンネル入力ショート時のノイズ(8Ω)最下部にUP
2003年11月13日朝  アルミのシャシーに組み入れる(写真は最下部)UP
2003年11月13日夜  WaveSpectra による歪み率(1KHz)を最下部にUP
2003年11月14日朝  ヘッドフォンアンプとしてもOK! を7)に
2003年11月15日朝  NFB量を増すと大出力で波形のマイナス側が歪むを
              最下部8)にUP
2003年11月16日   最下部に20KHz方形波応答 追加UP
2003年11月17日   最下部にnoiseの大きさと電池の持ち 追加UP
2003年11月23日   最下部に最終的な回路図 UP

discreteアンプを自作する人(私も)はIC:LM380やLM386を使用した
アンプを歯牙にもかけないだろうし苦労して作った自作の
ディスクリートアンプの性能がこれらのICを使用したアンプを
圧倒的に凌駕していると信じたい

でもそれはすがりつく信仰のようなものかも知れない
で、実際に作ってみようかと

LM380とLM386のpdf形式のデーターシートは
http://www.national.com/pf/LM/LM380.html#Datasheet

http://www.national.com/pf/LM/LM386.html#Datasheet
にある

等価回路で考えてsimulatorで波形を確かめ実際に作り
実際に音を出してみる。それで基本的な回路やさらに
トランジスタやダイオードの物性を詳しく学んで見ようと思う
いや
さらに数学自身を学ぼうとさえ思えるから
小さなアンプは広い理系世界の入り口

1)
これを使用したアンプを作る前にまず解析
LM386の簡略等価回路をさらに簡略化して
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こうして正相入力端子から出力への電圧ゲインは21倍
無信号時にちょうど電源電圧Vccの半分の電圧に保たれる
ことも同時に判る

帰還回路網だけを見て仕上りゲインが判るのは
i2=j2と見なしてvirtual shortを使う、例の論法(下)と同じである
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以上2003/10/18 up

2)
この簡略等価回路をいつものブルーバックスのSpice
blue_backs_spice.htmでsimulateする。負荷抵抗は8オームでなくて
800オームとして100mVppを入力して出力(A点)を見てみた
直流電圧Vcc=6VとしてVcc/2+0.6とほぼ等しいものが出ている
出力信号の振幅は2080mVpp

定電流源の値はいくらか判らないがLM380の等価回路をみて
Vcc/(R4+R5)=0.2mAとした

位相補償用のコンデンサを考慮してないのに理想的なアンプは動く


同じ事をSpiceOpusでやるには
下の*ではじまる行から.endcで終わる行までを名前を例えば
eq386.cirとしてc:\spiceopusに保存して
spiceopusを立ち上げて
source c:\spiceopus\eq386.cir
と打ち込んで走らせる

*Spice netlist for Circuit: C:\SpiceOpus\eq386.cir
V2 8 0 DC 6V
V1 3 0 DC 0 SIN(0 50m 1k 0 0) AC 1 0
D2 7 5 DDIODE
D1 4 7 DDIODE
Q9 0 5 11 QPNP
Q8 8 4 11 QNPN
Q7 5 6 0 QNPN
Q6 6 13 0 QNPN
Q5 13 13 0 QNPN
Q4 6 15 12 QPNP
Q3 0 3 15 QPNP
Q2 13 16 9 QPNP
Q1 0 14 16 QPNP
Is1 8 4 0.2mA
R7 0 11 800
R6 11 12 15k
R5 10 8 15k
R4 9 10 15k
R3 12 9 1.5k
R2 0 3 50k
R1 0 14 50k

* Models/Subcircuits Used:
*DIODE Default diode
.MODEL DDIODE D()

*PNP Default PNP BJT
.MODEL QPNP PNP()

*NPN Default NPN BJT
.MODEL QNPN NPN()

.END

.control
tran 20u 5m 0 20u
plot v(11)
.endc

それで出てくるグラフは

以上2003/10/19昼 up

3)

そして実測。LM386を使用したモノラルアンプを作った(1999年)
上のpdfカタログのアプリケーション例の中の最小部品で利得20倍と
あるもの。電源ピンには100uFのパスコンを入れた

ただし十年以上前のLM386Nである。最新のロットでは無い
電源電圧はアルカリ単三4本で6.2V(動作時)、1pinと8pinはオープン
8オーム負荷に125mW(片側ピーク値は約1.4V)、987Hz出力時の様子は
いつものAD212/3を使って(23.4*2)KHzサンプリングでBlackman窓、4096点FFTで

今までに作った真空管やトランジスタアンプの中で最も歪みの大きいアンプ
しかし最も電源電圧の低いアンプでもある

8オーム負荷時の20KHz方形波応答は


8オーム負荷に並列0.12μF時の20KHz方形波応答は


この時点で閉ゲインは約20倍である
このアンプで曲を鳴らしながらこれを書いた
以上2003/10/19夜 up
             
4)
エレ工房 さくらい
http://www.interq.or.jp/www-user/ecw/lineup.htm
よりLM386N-1を使用したモノラルアンプキットを購入
送料込みで750円(2003/10/22現在)

   現代にも電気工作少年達はきっといる。そういう少年少女達が
   わずかな小遣いで注文して買えるキットがエレ工房 さくらい にはある

専用基板キットで、アンプケースや配線材、ネジ、電池等はなし
しかし
電池ケース、入力VR、同つまみ、電源SW、ICソケットあり
パスコンは470uFと0.1uFの並列で手抜きは無い!
回路図や写真など詳しくは上記サイトで

キットの20倍アンプ用配線のうち入力部のLPFが
10KΩ、2200pF (Fc=7.2KHz)となっている
   これはゲルマニウムラジオの出力を増幅して
   スピーカを鳴らしたりする目的では当然かと思う
これを自分で用意した部品(キットには付属しない)
1KΩ、220pF (Fc=720KHz)に変え、デカップリング用の10μFを使用せず測定
測定条件は前と同じ。8Ωに125mW。電源はアルカリ単三4本、約6.2V

歪み率が3倍くらい良くなっている

そこで3)で使った昔のLM386Nをこっちのソケットに差し込んでみたら
歪みの大きさはほぼ同じ-50dB位になる(むしろわずかに良い)

こっちの新LM386N-1を3)のソケットに入れて測ると歪みは
前回の3)のグラフとほぼ同じだった

どうやらわずかな回路の違いに原因があるらしい
以上2003/10/25夜 up

実はこれを二組購入してステレオアンプとして作った(バラック)

3)、4)どちらのICも入力ショート時の出力はホワイトノイズで20MHzアナログオシロで
見ると3mVpp(8Ω負荷)あるのでヘッドフォンで聞くとサーという音が聞こえる
これをかなり抑圧することも可能でそれは7)と8)と9)

同程度のノイズが出るアンプは真空管、トランジスタ、FETを問わず
今まで作ったことは無い。しかしスピーカーで聞くときは問題無い
この時点で閉ゲインは約20倍である
以上2003/10/29夜 up

バラックの写真

RCAピンとスピーカー端子と電池と1KΩと220pFは自前

花王石鹸の紙箱。上下重ねて間にアルミフォイルを入れてそこに入力部からアース
以上2003/10/30 up

左チャンネル入力ショート時の出力のノイズのAC成分(8Ω)
3MHzサンプリング、Blackman,4096点FFT

以上2003/10/31 up

5)
ずっとバラックで聞いてみてアルミのシャシーを購入して組む価値ありと判断

高輝度赤LED(5.6KΩの抵抗で左chの6Vに接続)のパイロットランプをつけ
密閉式のVRに変えて組んだ。SWも穴あけの楽なものに変更

いつものように入力は前面パネルから出力と電源SWは後ろ
アースは出力のスピーカ端子からまとめてシャシーに落した


シールド線は未使用
電池ボックスはまだテープで止めたのみ

「信号経路に直列に電解コンデンサが入るアンプは・・・」という人もいる
しかし
等価回路で学び、SPICEで解析して、バラックで組んで、とうとうアルミシャシーに
入れたアンプには愛着がある

先行者達が
容易に作れるIC使用のアンプをピュアオーディオアンプとしては「音が悪い」と
さげすみ、その結果
少年少女達をもの作りの楽しみから遠ざけてしまったらどうなるだろう

この時点で閉ゲインは約20倍である
以上2003/11/13朝 up

6)
パソコンの外部マイク端子に信号を絞っていれれば(十数ミリボルト)あとは
FFTしてくれるフリーソフトがある。それは
http://www.ne.jp/asahi/fa/efu/
で "efu" さんが公開されているWS (Wave Spectra)。これを使えばリアルタイム
で時間軸情報もFFT結果も見れる
私も何度も使用させてもらっている(note_fft3.htmなど)

ダミーロード8Ωに約2.8Vpp(125mW)の出力を出して15KΩと100Ωで分圧
してからノートパソコンの外部マイク端子に信号を入れてWave Spectraで
分析したのが下

基本波と2次高調波との差が52dB=40dB+12dB=400倍とわかる
4)での測定と比べると基本波と2次高調波についてはよく合致してる
この時点で閉ゲインは約20倍である
以上2003/11/13夜 up

7)
ヘッドフォンアンプとしてはダメみたいに私は書いたが
NSの代表的なアプリケーションを見れば
1pinと5pinを0.033uFと10KΩで接続してやれば
高域の帰還量が増して高域のノイズも減るはず

エレ工房さくらいの基板はこのための部品も付属してる!
基板にも穴が開いていて部品をさし込むだけである

それを今やってみた。かすかにノイズは残るがヘッドフォンアンプとして
充分に使える。これから仕事。でも明日はノイズレベルや歪み率を調べたい
以上2003/11/14朝 up

8)
1pinと5pinを0.033uFと10KΩで接続した後の測定(全て左チャンネル)
こうすると
fc=1/{2・π・0.033・10^(-6)・10^(4)}=482Hzを境の目安にして
高域fへ行くに従ってNFBを深くして閉ゲインを下げる
  (1KHz正弦波でのgain測定例=920mVpp/116mVpp=7.93
  LM386のアプリケーションヒントにはしかし閉ゲイン9倍以上で
  動作を補償としてあるのでギリギリではある
低域fへ行くに従ってNFBを浅くして閉ゲインは元のまま約20

まず入力ショート時の出力(8Ωダミーロード)
3MHzサンプリング、Blackman窓,4096点FFT

ノイズの天井は-90dBになって4)での測定より半減している

しかし以前とほぼ同じ振幅の1KHz正弦波を入れて見ると

波形のマイナス側が歪む---(*)

そこで基本波に対して第2次高調波の歪みの大きさが-52dB位になるまで
入力を小さくしてみたら
(右は23.4×2KHzサンプリング、4096点FFT,Blackman窓)

耳で判る部分について今回のNFBのご利益は
ノイズの低減と低域の強調にとどまった---(#)

(*)と(#)に関してLM386 Headphone Ampとしてgoogleで調べると
丹精こめてのLM386ヘッドフォンアンプ製作を紹介するサイト
http://www.minidisc.org/headbanger.html
に行き当たる

そこには
---文言一部省略引用開始---
Due to low bias voltage at pin 1 of LM386, the amount of feedback voltage allowed there is limited. Although the amp could operate at lower gain , this would increase feedback voltage. At low power supply voltages this has the effect of causing a snap-back on large negative half-cycles of the output signal.
---引用終了---
と書いてあるではないか!

というわけでヘッドフォンで聞いてノイズが気にならないレベルにすると
こんどはスピーカーで聞くときに大きな出力で歪むことになる
(四畳半オーディオ生活の私には影響は無いけど)
以上2003/11/15朝 up

1pinと5pinを0.033uFと10KΩで接続した後の
8Ω負荷での20KHz方形波応答が下
( 3)での測定と比べて振幅は半分にして測定 )

マイナス側のオーバーシュートが気になる

8Ω//0.12uF負荷での20KHz方形波応答が下

帰還量が増した分、安定性は損なわれている

9)
そこで1pinと5pinを0.033uFと手持ちの20KΩで接続に変更
fc=1/{2・π・0.033・10^(-6)・20・10^(3)}=241Hzを境の目安にして
高域fへ行くに従ってNFBを深くして閉ゲインを下げる
  ただし10KΩ時よりNFBは浅く閉ゲインは高い
  (gain測定例=1057mVpp/94mVpp=11.2
低域fへ行くに従ってNFBを浅くして閉ゲインは元のまま約20になる

8Ω//0.12uF負荷での20KHz方形波応答が下


すぐ下の波形を見て頂く
(右は23.4×2KHzサンプリング、4096点FFT,Blackman窓)
今度は正弦波を入れて8Ωに1Vrms=125mWを出しても波形の下が
歪む現象は見えない。
しかし2倍高調波は基本波に対して-45dB位ある
帰還量は1pinと5pinに何も接続してない時より倍増してるのに
歪みは半減どころか倍以上に増えてる

電源用のアルカリ単三電池を新品に換えても(6.20V)
基本波に対して2倍高調波は-48dB位あって
1pinと5pinに何も接続してない時の-52dBにはほど遠い


正弦波の振幅を小さくして測定すると


入力ショート時の出力(8Ωダミーロード)
3MHzサンプリング、Blackman窓,4096点FFT

こちらは1pinと5pinに何も接続してない4)のグラフ値より減少しているが
1pinと5pinに0.033uFと10KΩを接続して帰還量の多い8)のグラフよりは
ノイズの天井は上昇している

結局、ノイズと帰還時の安定性と歪み率を考慮して
スピーカーもヘッドフォンも使用する人は
  0.033uFと20KΩを1pinと5pinに繋ぐ
  この時、低域の閉ゲインは約20倍
  中域以上の閉ゲインは約11倍である

スピーカーのみ使用する人は
  1pinと5pinを開放して使うのがベスト
  この時、閉ゲインは約20倍である
以上2003/11/16 up

googleでLM386を調べるとnoiseが耳につくとの記述が多いが
それは1pinと8pinに電解コンデンサをつないでゲインを200倍で使用
してるからではないだろうか

先にも書いたLM386ヘッドフォンアンプ製作を紹介するサイト
http://www.minidisc.org/headbanger.html
に ヘッドフォンで聞くと
Noise: Inaudible in quiet room
と書いてある。私の回路だと微かにノイズは聞こえる
それでも音楽を邪魔するレベルでは無い
どちらも
1pinと8pinは無接続
1pinと5pinに18KΩ(22KΩ)とコンデンサを入れているから

アルカリ単三電池4本を各チャンネルで別々に用意して(計8本)使用
しているが電池は結構もつ
この項目を書き始めて測定や視聴してまだ電池を交換してない
以上2003/11/17 up

最新の回路は下(右チャンネルのみ表示)

以上2003/11/23 up

以下2004/1/12
ヘッドフォンを新しく購入
SONY MDR-Z300、密閉ダイナミック型
24Ω、102dB/mW,16〜22,000Hz
これでホワイトノイズがはっきりとまとわりついて聞こえます

しかしアンプは低域のブーストがあるので
オーディオに素人の方には受けが良い!(私のことですよ)
改めて言いますがスピーカーで聞く時にノイズは聞こえません

以下2004/2/05
なんだか↑の書き方だと否定的に見えるけれども
独特の低域ブーストは心地よくて最近は寝る前にヘッドフォンで
聞く時にはいつもLM386アンプです。ノイズ?
そんなもの好きな曲を聴くときには気になりません

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