負性抵抗領域でLED点滅
2003年11月03日 初UP
2003年11月05日 訂正して項目6)を追加UP

1)
事の起こりはlm380_lm386.htmを書いた時に
LM386モノラルアンプキットをエレ工房さくらいのサイトに
注文しに行ったことである。そこで櫻井氏が通販商品ではなく
実験のコーナー
http://www.interq.or.jp/www-user/ecw/shiryou/small/ikenai-1.htm
でリバース接続したトランジスタにLEDとコンデンサと抵抗でLED点滅回路を
示されているのを見たこと

LEDは無いが同じ事は
黒田 徹著 はじめてのトランジスタ回路設計 CQ出版社
にもアバンランシェ・モード弛張(しちょう)発振器の項目で書かれてある

さらに同じ原理にもとづくネオン・ランプのウィンカーの記事が
西田和明著 新電子工作入門 BLUE BACKS 講談社にもある
  そこでのコンデンサC1の耐圧は16Vではなく160Vの誤記
  なので実験する人は注意すること。これは西田氏のサイトの
  本のコーナーにも書いてある
   http://www2u.biglobe.ne.jp/~kazuchan/

2)
櫻井氏の回路で回路を製作した。電源電圧は変更

この電界コンデンサの両端の電圧は下。測定はいつものad212/3


約0.76秒周期の のこぎり波が8Vから10Vまでの振幅2Vpp(peak to peak)で
見える

のこぎり波発振の原理は上のどれにも書いてあるが
(i) 抵抗を通じて定電流的にコンデンサは充電されて行く

(ii) 或る電圧VSまでは逆接続のトランジスタやネオン・ランプは電流が
流れずそれを越えるとドット流れ込む

それでコンデンサにチャージされた電荷はたちまち放出されて
トランジスタの両端の電圧は下がりコンデンサへのチャージがまた始まる

この(i)と(ii)の繰り返しで のこぎり波が作られLEDは点滅する

3)
2SC3421Yのnegistor特性はnegistor.htm
で調べたがそこでは横軸が電流、縦軸が電圧電圧であったので
これを逆にして負性抵抗領域に入るまでを考慮してグラフを再記すると

(この図の中のIS0とVSは適当な値なので6)で再考した)

この特性をI=f(V)と書く
回路図を

として
電源電圧E
コンデンサの両端電圧をV,流れる電流をi1
LEDとトランジスタを流れる電流をi2とすると
V=E-(i1+i2)R
i1=C(dV/dt)
i2=f(V)


これから微分方程式
dV/dt=-V/(CR)-f(V)/C+E/(CR) ---(1)
を得る

t=0で突入する電流にとってコンデンサのインピーダンスは
0なので初期条件はt=0でV=0 ---(2)

4)
あとはnegistor_osc.htmの時のように実測値から
関数f(v)を折れ線近似して解くのかというと違うのである

I=f(V)を
V<VSでI=0
VS≦VでI=IS0(例えば0.5Aの大きな定数値)
という二値関数で近似するのである
(ここのところは正確には項目6)を参照)

すると微分方程式(1)は
V<VSで
  dV/dt=-V/(CR)+E/(CR) ---(3a)

VS≦Vで
  dV/dt=-V/(CR)-IS0/C+E/(CR)---(3b)
と近似される

後はこれをWSH+VBSでプログラムしてCSVファイルを書き出させ
エクセルでグラフにするという何時もの段取りである

rem ************** LED点滅初期化 ********************
dim x(10000)

n=5000

rem 充電用抵抗10KΩ
R=10*10^3

rem コンデンサ220uF
C=220*10^(-6)

rem 電源電圧:16V
E=16

rem スレッショルドの電圧値:10V
VS=10

rem スレッショルドの電流値:0.5A
IS0=0.5

rem 係数1
K1=1/C/R

rem 定数2
K2=IS0/C

rem 刻み幅
h=1e-3

rem 電圧初期値
V0=0

rem ************** Euler法 ********************
x(0)=V0

for j=0 to n-1
    if (x(j)<VS) then
        K=K1*(-x(j)+E)
     else
        K=K1*(-x(j)+E)-K2
     end if  
    x(j+1)=x(j)+h*K
next

rem ************** fileに保存 ********************
set fs=CreateObject("Scripting.FileSystemObject")
set f1=fs.CreateTextFile("LED.csv",true)

for j=0 to n-1
    f1.writeline( j*h&","&x(j) )
next

f1.close
rem 後はこのプログラムと同じフォルダ内のファイル
rem LED.csvを開いてエクセルの描画機能を使い
rem グラフにすればよい

上のremからremまでがプログラムで
これをLEDOSC.VBSとでも名をつけて保存しダブルクリックで実行され
右クリック編集で定数を変更など出来る

そして実行しても表面的には何も起きないがLEDOSC.VBS
を置いてある同じフォルダにLED.CSVというファイルが出来ているので
それをダブルクリックしてグラフ化する

5)

のこぎりの振幅は約2V、周期は約0.7秒

数値の検証
のこぎり波の周期について
  式(3a)から定常後にコンデンサを充電してゆく過程では
  dV/dt=(E-V)/(CR) ---(4)
  だったから
  dV=2、CR=220uFと10KΩの積=2.2、E-V=16-9=7
  として
  2/dt=7/2.2
  dt=4.4/7=0.63(秒)

VS≦VでI=IS0=0.5Aとした根拠について
  式(3b)でIS0が充分大きいと
  dV/dt≒-IS0/C
  絶対値をとりEuler法の時間刻みdtを0.001秒とした事
  dV=2、C=220uFを代入して
  IS0=C(dV/dt)=220・10^(-6)・2・10^3=0.44(A) ---(5)

のこぎり波は理論においても大切である。なぜならsaw2poisson.htmだから

6)
しかし上の"simulation"simulationではない
のこぎり波の振幅が測定値の約2Vppになるようにコンデンサから電流を
吸い込むような素子を仮定したのだった。そこの部分を詳しく書くため
もう一度2SC3421Yのnegistor特性を抵抗を100Ωにして再測定した


これで可変電源の電圧を上げて行きその時の
EC間電圧と100Ω両端の電圧を2台のディジタルテスタで測定した
それが第1列と第2列である
100Ωを流れる電流が105mAになったところで逆に
可変電源の電圧を下げて得た値が第3列である

EC間電圧 100Ω端電流mA(上がり) 100Ω端電流mA(下がり)
2.731 0.002
4 0.004
5.06 0.005
6.02 0.006
7.22 0.007
7.05 0.007
8 0.008
8.37 0.009
6.64 6.58
6.51 8.77
6.45 10.12
6.41 11.25
6.3 15
6.2 19.47
6.18 20.91
6.17 21.7
6.15 22.93
6.14 24.52
6.13 25.06
6.12 22.9 25.96
6.11 27.32
6.1 26.35 28.1
6.08 29.07 29.07
6.07 30.5 30.5
6.06 31.92 31.92
6.04 34.2 34.2
6.01 39.3 39.3
6 42.4 42.4
5.99 45 45
5.98 51 51
5.95 104.5 104.5

これを散布図でグラフにすると


電源電圧を上げて行くと電流値は第1,2,3地点と上昇して
EC間電圧が8.37V辺りを越えると突然第4地点
約2.25Vの電圧降下してジャンプ
そこはEC間電圧が6.12Vで22.9mA
以後
電源電圧を上げてゆくとEC間電圧は下がり電流は増して
第5点では5.95V104.5mA流れる

逆にそこから電源電圧を下げてゆくとほぼ来た値をたどりつつ
(第6,7地点)
さらにEC間電圧は増し電流は減り(第8地点)
とうとう第9地点では
EC間電圧7.22V
で流れる電流は0.007mAくらいになる

以上は定電圧電源と100Ωを使った実験だったが
実際には充電されたコンデンサで駆動するLED点滅回路なので
第6地点辺りで電流がどっと流れてTrのEC電圧が約6Vより低下して
1,2,3,4,5,6
2,3,4,5,6
2,3,4,5,6
.....

と巡回するだろう
だから負性抵抗領域に足は突っ込んでいるが片足だけで
外へ舞い戻るのを繰り返していると表現できる


またLED点滅回路ではLED両端の電圧降下が約1.8V位とオシロで判るので
8.37V+1.8V=10.17V位を越えると電流がどっと流れる
そしてLED+reverseTRの両端の電圧は約7.8Vから10.2Vで振動を繰り返す

プログラム内では
(i)VS=10Vとして
(ii)その瞬間起きる約2.25Vの電圧降下=約2V については
 式3b)と式(5)で採り込む
これが項目4)と5)でやったこと

トップページへ戻る