伊予鉄道唱歌(1番〜25番・松山〜立花〜森松/松山〜郡中)
1. 名も
常磐
ときわ
なる
松山
まつやま
の 市街を中に取巻きて
葛
(
かずら
)
の如く
縦横
(
たてよこ
)
に
蔓
(
つる
)
さし延ばす伊予鉄道
2.
先
(
ま
)
づ乗り
出
(
いだ
)
す高浜の 港の海の朝げしき
櫓
(
ろ
)
を押し連れて
出
(
い
)
でて行く 船は落葉か笹の葉か
3. 波なき水に影ひたす 伊予の小富士の
興居島
(
こごしま
)
は
桃の産地の名も高く こなたにあるは
四十島
(
しじゅうしま
)
4. 夏は賑わう潮あみの 客もて
埋
(
うず
)
む
梅津寺
(
ばいしんじ
)
過ぎればここぞ
朝毎
(
あさごと
)
に 魚市開く
三津が浜
(
みつがはま
)
5. 浜の松原はや跡に なりて迎うる
古町
(
こまち
)
駅
まぢかく仰ぐ勝山の 城に昔ぞ忍ばるる
6. 伊予鉄道の本社ある 松山駅の近くには
役所兵営女学校
出
(
い
)
で入る列車の
数繁
(
かずしげ
)
し
7. 間もなく渡る石手川 左右の広き堤には
枝さしかはす木々高く さながら自然の公園地
8. 立花
出
(
い
)
でて久米の駅 名高き神社仏閣は
日尾
(
ひお
)
の八幡
三蔵院
(
さんぞういん
)
四国霊場
西林寺
(
さいりんじ
)
9. 送り迎える程もなく 平井
田窪
(
たのくぼ
)
打ち過ぎて
片手の薬師浮島の
社
(
やしろ
)
も跡になりにけり
10.
津吉
(
つよし
)
上松
(
うえまつ
)
松茸の 産地とかねて音に聞く
処
(
ところ
)
はあれぞあの山ぞ 秋は来て見ん打ち連れて
11. 終点駅の
横河原
(
よこがわら
)
おりて進めば
讃岐道
(
さぬきみち
)
夏
白糸
(
しらいと
)
を繰り
出
(
い
)
だす
白猪唐岬
(
しらいからかい
)
滝近し
12. 立花駅に立ち戻り
森松
(
もりまつ
)
線に乗り換えて
南に向かえば星の岡 勤王義士の古戦場
13. 椿の森に神さびて 祭られ
給
(
たま
)
う
伊予豆比古
(
いよつひこ
)
立つや石井の大鳥居 居ながらそれと拝み行く
14.
森松
(
もりまつ
)
下れば土佐街道 伊予名産の一つなる
雪より白き
砥部焼
(
とべやき
)
の 産地南に約一里
15.
郡中線
(
ぐんちゅうせん
)
は松山を
出
(
い
)
でて
余戸
(
ようご
)
駅
出合
(
であい
)
駅
余戸
(
ようご
)
には
履脱天神
(
くつぬぎてんじん
)
と
日招八幡
(
ひまねきはちまん
)
名も高し
16.
出合
(
であい
)
は石手
重信
(
しげのぶ
)
の 二流
出
(
い
)
で合う
処
(
ところ
)
にて
河原は白く水清く 青きは岸の松林
17. 夏は涼みに秋は月 柳の花の散る頃は
鮎釣る人の影見えて 景色ぞあかぬ四つの時
18.
松前
(
まさき
)
の港賑わいて 妻も乙女も朝毎に
いただき
出
(
い
)
づる
御用櫃
(
ごようびつ
)
売り行く
魚
(
うお
)
は
何魚
(
なにうお
)
ぞ
19.
松前
(
まさき
)
の城は田の中に 埋もれて跡は知らねども
しるきは
義農作兵衛
(
ぎのうさくべえ
)
の 誉れを残す
墓所
(
はかどころ
)
20. 砂糖の
出
(
い
)
づる
地蔵町
(
じぞうまち
)
過ぎて下車する
郡中
(
ぐんちゅう
)
の
浜は
五色
(
ごしき
)
の名も高く 一望はてなきわたの原
21. 名残は残れど松山に 帰りて城の西北を
古町木屋町
(
こまちきやまち
)
打ち過ぎて 行けば道後の温泉場
22. 代々の
帝
(
みかど
)
の
大御幸
(
おおみゆき
)
ありし歴史をいただいきて
浴室清く町広く 天下に知らるる湯の
験
(
しるし
)
23. 浴後の散歩試みる 道後公園あたたかに
春風
(
はるかぜ
)
木々を吹く時は 満山さくら
満地雪
(
まんちゆき
)
24. 花の木の間に見渡せば ただ
一幅
(
いっぷく
)
の図となりて
ながめやらるる松山市 あれ見よ
三津
(
みつ
)
も
興居島
(
こごしま
)
も
25. 湯の神社にも
詣
(
もう
)
でたり いざ又汽車に打ち乗りて
一番町に
疾
(
と
)
く行かん
約
(
やく
)
せし友も待つべきに
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