20. くぐるトンネル二十六 ともし火うすく昼くらし
いずれば天地うちはれて 顔ふく風の心地よさ
21. 夏のあつさもわすれゆく 旅のたもとの
軽井沢
はや
信州路のしるしとて 見ゆる
浅間の夕煙
22. くだる道には
追分の 原とよばるる広野あり
桔梗かるかや
女郎花 秋の旅路はおもしろや
23.
御代田 小諸とすぎゆけば 左に来る
千曲川
立科山をながれ出て 末は
越後の海に入る
24. 諏訪の湖水をみる人は
大屋をおりて
和田峠
こえれば五里の道ぞかし 山には馬も
駕籠もあり
25.
上田をあとに走りゆく 汽車は
坂城に早つきぬ
川のかなたにながめやる 山は
姨捨月見堂
26.
田毎の月の風景も 見てゆかましを秋ならば
雲をいただく
冠着の 山は左にそびえたり
27.
屋代 篠ノ井うちすぎて わたる
千曲と
犀川の
間の土地をむかしより
川中島と人はよぶ
28. ここに竜虎のたたかいを いどみし二人の英雄も
おもえば今は夢のあと むせぶは水の声ばかり
29.
長野に見ゆる
大寺は 是ぞしなのの
善光寺
むかし
本田の
義光が ひろいし仏なりとかや
30. ここにどとまるひまあらば
戸隠山にのぼり見ん
飯綱の原のほととぎす なのる初音もききがてら
31.
豊野と
牟礼と
柏原 ゆけば
田口は
早越後
軒まで雪の降りつむと ききし
高田はここなれや
32. 雪にしるしの
竿たてて 道のしるしも此あたり
ふぶきの中にうめらるる なやみはいかに冬の旅
33. 港にぎわう
直江津に つきて見そむる海のかお
山のみなれし目には叉 沖の
白帆ぞ珍しき
34.
春日新田 犀潟を すぎれば
来る
柿崎の
しぶしぶ茶屋は
親鸞の 一夜宿りし跡と聞く
35.
鉢崎すぎて
米山の くぐるトンネル七つ八つ
いづれば広きわたの原
佐渡の国までくまもなし
36.みわたす空の
青海川 おりては
汐もあみつべし
石油のいづる柏崎 これより海とわかれゆく
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