10.汽車より逗子をながめつつ はや横須賀に着きにけり
見よ
軍港の雄大を 下に東海のしずめなり
11.
また本線に立ちかえり
藤沢茅ヶ崎平塚も
過ぎて名高き大磯や 海水浴のはじめの地
12.国府津おりれ
ば電車あり 小田原熱海行くもよし
箱根八里の山道も あれ見よ雲の間より
15.ここ
は御殿場夏ならば われも登山をこころみん
高さは一万数千尺 十三州
はただ一目
16.三島
駅には官弊の 三島神社の宮居あり
伊豆鉄道に乗りかえて 一夜泊まらん修善寺に
19.世に
も名高き興津鯛 鐘の音ひびく
清見寺(きよみでら)
清水に続く江尻より ゆけば程なき久能山
32.
大高おりて桶狭間 ゆきて昔のあととわん
熱田の宮に伏おがむ その草薙の神つるぎ
33.つづく名古屋は中京と世にうたわるる大都会
名高き金の鯱は 今なお城の光なり
34.伊勢路の旅はまたの日と 木曽川越えて美濃に入る
地震のはなしまだ消えぬ 岐阜の鵜飼を見てゆかん
35.父やしないし養老の 滝は今なお大垣を
三里へだてて流れたり 考子の
ほまれともろともに
37.山はうしろに立ち去りて 前に来るは琵琶の海
ほとりに
沿える米原は 北陸道の分岐
点
40.瀬田の長橋
左に見 ゆけば石山観世音
紫式部が筆のあと のこすはここよ月の夜に
46.東寺の塔を左にて とまれば七条ステーション
京都京都と呼びたつる
車掌の声も
なつかしや
57.
帝国第二に位して 商工さかゆる大阪市
安治川口に入る船の 煙はたゆるひまもなし
58.ここぞ昔の難波の津 ここぞ高津の宮のあと
千古の英雄秀吉の おもかげ城に残りたり
62.神戸
に今はつきにけり 帝国第二の大港
集る船の船じるし 見れば世界の旗ずくし
65.おもえば夢か時のまに
百五十里はしりきて
神戸の宿に身をおくも げに文明のたまのもよ
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